余裕欲　稲葉曇

(のみこんでいまのみこんで)

飲み込んで 今飲み込んで

(あさのぜんそうはじまるまえのこと)

朝の前奏 始まる前のこと

(できればこころのよこを)

できれば 心の横を

(きもちよくとおりぬけてほしい)

気持ち良く通り抜けて欲しい

(ねたふりをしていまのりこえて)

寝たふりをして 今乗り越えて

(あるきつづけるみみをふさぎ)

歩き続ける 耳を塞ぎ

(おもたくなったびょうしんはくしののーとおいかけっこ)

重たくなった秒針 白紙のノート 追いかけっこ

(あてないでいてあたしはていっぱい)

当てないでいて あたしは手一杯

(ここにいるだけでていっぱいなんだ)

ここにいるだけで手一杯なんだ

(もっともっとていねいにたべたかったけど)

もっともっと 丁寧に食べたかったけど

(うごけなくならないように)

動けなくならないように

(あたりまえをのこそうかなって)

当たり前を残そうかなって

(もっともっとていねいにたべたかったけど)

もっともっと 丁寧に食べたかったけど

(よゆうをのみこめるうちに)

余裕を 飲み込めるうちに

(あたしおさきにごちそうさま)

あたし お先に ごちそうさま

(ゆめからさめましておくちをこじあけて)

夢から覚めまして お口をこじ開けて

(おなかかきもちかどっちをえらぼうか)

お腹か気持ちか どっちを選ぼうか

(そうのみこんでいまのみこんで)

そう飲み込んで 今飲み込んで

(あるきつづけるみみをふさぐための)

歩き続ける 耳を塞ぐための

(なにかがたりなかったというより)

何かが足りなかった と言うより

(みんなのそばにはよゆうがついているってきづいた)

みんなのそばには 余裕がついている って気づいた

(ささりそうなびょうしん)

ささりそうな秒針

(ふるえるすぷーんでだましだまし)

震えるスプーンで だましだまし

(はかなかったあたしはもうげんかい)

儚かった あたしはもう限界

(これがあたしのせいいっぱいなんだ)

これがあたしの 精一杯なんだ

(もっともっとていねいにたべたかったけど)

もっともっと 丁寧に食べたかったけど

(めいわくにならないように)

迷惑にならないように

(つくえのうえをかたづけようかなって)

机の上を片付けようかなって

(もっともっとていねいにたべたかったけど)

もっともっと 丁寧に食べたかったけど

(よゆうをのみこめるうちに)

余裕を 飲み込めるうちに

(あたしおさきにごちそうさま)

あたし お先に ごちそうさま

(もったいないふれーばーわかりたかったけど)

もったいない フレーバー わかりたかったけど

(とっておきのでざーとは)

とっておきの デザートは

(だめになってからすてようかなって)

ダメになってから捨てようかなって

(もっともっとていねいにたべたかったけど)

もっともっと 丁寧に食べたかったけど

(よゆうをのみこめるうちに)

余裕を 飲み込めるうちに

(ごちそうさま)

ごちそうさま