パドドゥ

(やさしいかぜのねがほおなでる)

優しい風の音が頬撫でる

(くもまあざやか、ゆれはなしょうぶ)

雲間鮮やか、揺れ花菖蒲

(このばしょをぼくらはおぼえてる)

この場所を僕らは覚えてる

(たちくらみ、ぶかっこう)

立ちくらみ、不格好

(かぜにながされてこしをおろすはら)

風に流されて腰を下ろす原

(なつくさははだにこすれるまま)

夏草は肌に擦れるまま

(おもいでのなかにぼくらはいる)

思い出の中に貴方はいる

(やさしいかぜのねがほおなでる)

優しい風の音が頬撫でる

(どようのえんがわ、ことばたらず)

土用の縁側、言葉足らず

(くものしたへつづくいなかみち)

雲の下へ続く田舎道

(なつこだち、ぶかっこう)

夏木立、不格好

(かぜにながされてあしをはこぶまま)

風に流されて足を運ぶまま

(あのころゆびさしてすすむまま)

あの頃指差して進むまま

(「さぁさぁもっとおどっていようよ)

「さぁさぁもっと踊っていようよ

(うでをひかれるまま、なさけないかおのままで)

腕を引かれるまま、情け無い顔のままで

(いっしょうおどってくらしていようよ)

一生踊って暮らしていようよ

(もうかんがえないでいいよ」)

もう考えないでいいよ」

(やさしいかぜのおとがほおなでる)

優しい風の音が頬撫でる

(なつやすみ、こうしゃのななふしぎ)

夏休み、校舎の七不思議

(あのよるをぼくらはおぼえてる)

あの夜を僕らは覚えてる

(たちすくみ、ぶかっこう)

立ちすくみ、不格好

(かぜにながされてあるくながろうか)

風に流されて歩く長廊下

(よいやみははなにこすれるまま)

宵闇は花に擦れるまま

(「さぁさぁもっとおどっていようよ)

「さぁさぁもっと踊っていようよ

(むねをこがせいまはなきやんだかおのままで)

胸を焦がせ今は泣き止んだ顔のままで

(いっしょうおどってくらしていようよ)

一生踊って暮らしていようよ

(つかれたらねればいいよ」)

疲れたら寝ればいいよ」

(よるのこうてい、たったふたりだけのぶとうかい)

夜の校庭、たった二人だけの舞踏会

(さながらぶたいうらのぱ・ど・どぅ)

さながら舞台裏のパ・ド・ドゥ

(ぼくらあくたがわのしょうせつみたいに)

僕ら芥川の小説みたいに

(いまだけおもいでになろう)

今だけ想い出になろう

(「さぁさぁもっとおどっていよう)

「さぁさぁもっと踊っていよう

(ふかくいきをすうように)

深く息を吸うように

(いっしょうおどってくらしていよう)

一生踊って暮らしていよう

(さぁさぁもっとおどっていようよ)

さぁさぁもっと踊っていようよ

(いつかであえるならふざけたえがおのままで)

いつか出会えるならふざけた笑顔のままで

(いっしょうおどってくらしていようよ)

一生踊って暮らしていようよ

(そうかんがえたっていいよ)

そう考えたっていいよ

(さぁさぁもっとおどっていようよ」)

さぁさぁもっと踊っていようよ」