冬と春

(わたしをさがしていたのに)

私を探していたのに

(とちゅうでそのこをみつけたから)

途中でその子を見つけたから

(そんなばかみたいなおわりに)

そんな馬鹿みたいな終わりに

(なみだをながすかちはないわ)

涙を流す価値は無いわ

(まくはおりてながいはくしゅもおわって)

幕は降りて長い拍手も終わって

(なのにわたしはなんでまだみつめているの)

なのに私はなんでまだ見つめているの

(ああかれたはずのえだにつもった)

嗚呼 枯れたはずの枝に積もった

(ゆきさいてみえたのは)

雪 咲いて見えたのは

(あなたもおなじだとばかり)

あなたも同じだとばかり

(ああはるがそっとゆきをとかして)

嗚呼 春がそっと雪を溶かして

(いまみせてくれたのは)

今見せてくれたのは

(えらばれなかっただけのわたし)

選ばれなかっただけの私

(あんなにさがしていたのに)

あんなに探していたのに

(なぜだかあなたがもっていたから)

なぜだかあなたが持っていたから

(おとぎばなしのなかみたいに)

おとぎばなしの中みたいに

(おひめさまかなにかになれるものだと)

お姫様か何かになれるものだと

(めんどうくさくてもさいごまでえんじきってよ)

面倒くさくても最後まで演じきってよ

(がらすのくつをすてただれかと)

ガラスの靴を捨てた誰かと

(よごれたままのどれすのはなし)

汚れたままのドレスの話

(ああふゆがずっとゆきをふらせて)

嗚呼 冬がずっと雪を降らせて

(しろくかくしていたのは)

白く隠していたのは

(あなたとのみらいだとばかり)

あなたとの未来だとばかり

(ああはるがそっとゆきをとかして)

嗚呼 春がそっと雪を溶かして

(いまみせてくれたのは)

今見せてくれたのは

(しりたくなかったこのきもちのなまえ)

知りたくなかったこの気持ちの名前

(にあいもしないじゃけっときて)

似合いもしないジャケット着て

(ようとくちわるいよねあいつ)

酔うと口悪いよねあいつ

(でもわたしそこもすきなんですだって)

「でも私そこも好きなんです」だって

(いいこなのねでもねあのね)

いい子なのね でもねあのね

(そのていどのかくごならわたしにだって)

その程度の覚悟なら私にだって

(ああわたしじゃなくてもいいなら)

嗚呼 私じゃなくてもいいなら

(わたしもあなたじゃなくていい)

私もあなたじゃなくていい

(だきしめていうせりふじゃないね)

抱きしめて言う台詞じゃないね

(ああかれたはずのえだにつもった)

嗚呼 枯れたはずの枝に積もった

(ゆきさいてみえたのは)

雪 咲いて見えたのは

(あなたもおなじだとばかり)

あなたも同じだとばかり

(ああはるがそっとゆきをとかして)

嗚呼 春がそっと雪を溶かして

(いまみせてくれたのは)

今見せてくれたのは

(えらばれなかっただけのわたし)

選ばれなかっただけの私

(ひとりないているだけの)

ひとり泣いているだけの

(あなたがよかっただけのわたし)

あなたがよかっただけの私