夏目漱石「こころ」2-21

こっちゃん様が(上)の方を上げて下さっていたものの続きでございます。
タイピングを投稿するのは初めてですので、誤字脱字等ありましたらご連絡何卒宜しくお願い致します。
次:https://typing.twi1.me/game/367900
こっちゃん様による(上)
https://typing.twi1.me/profile/userId/86231
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ちゃった | 5649 | A | 5.6 | 99.3% | 335.8 | 1910 | 13 | 38 | 2025/10/11 |
2 | ko | 3560 | D+ | 4.1 | 87.1% | 453.3 | 1894 | 280 | 38 | 2025/09/05 |
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問題文
(じゅうご)
十五
(「せんせいせんせいというのはいったいだれのことだい」とあにがきいた。)
「先生先生というのは一体誰の事だい」と兄が聞いた。
(「こないだはなしたじゃないか」とわたくしはこたえた。)
「こないだ話したじゃないか」と私は答えた。
(わたくしはじぶんでしつもんしておきながら、)
私は自分で質問して置きながら、
(すぐひとのせつめいをわすれてしまうあににたいしてふかいのねんをおこした。)
すぐ他の説明を忘れてしまう兄に対して不快の念を起した。
(「きいたことはきいたけれども」)
「聞いた事はきいたけれども」
(あにはひっきょうきいてもわからないというのであった。)
兄は必竟聞いても解らないと云うのであった。
(わたくしからみればなにもむりにせんせいをあににりかいしてもらうひつようはなかった。)
私から見ればなにも無理に先生を兄に理解して貰う必要はなかった。
(けれどもはらはたった。またれいのあにらしいところがでてきたとおもった。)
けれども腹は立った。又例の兄らしいところが出て来たと思った。
(せんせいせんせいとわたくしがそんけいするいじょう、)
先生々々と私が尊敬する以上、
(そのひとはかならずちょめいのしでなくてはならないようにあにはかんがえていた。)
その人は必ず著名の士でなくてはならないように兄は考えていた。
(すくなくともだいがくのきょうじゅくらいだろうとすいさつしていた。)
少なくとも大学の教授位だろうと推察していた。
(なもないひと、なにもしていないひと、それがどこにかちをもっているだろう。)
名もない人、何もしていない人、それがどこに価値を有っているだろう。
(あにのはらはこのてんにおいて、ちちとまったくおなじものであった。)
兄の腹はこの点に於て、父と全く同じものであった。
(けれどもちちがなにもできないからあそんでいるのだとそくだんするのにひきかえて、)
けれども父が何も出来ないから遊んでいるのだと速断するのに引きかえて、
(あにはなにかやれるのうりょくがあるのに、)
兄は何か遣れる能力があるのに、
(ぶらぶらしているのはつまらんにんげんにかぎるといったふうのこうふんをもらした。)
ぶらぶらしているのはつまらん人間に限ると云った風の口吻を洩らした。
(「いごいすとはいけないね。)
「イゴイストは不可いね。
(なにもしないでいきていようというのはおうちゃくなりょうけんだからね。)
何もしないで生きていようというのは横着な了簡だからね。
(ひとはじぶんのもっているさいのうをできるだけはたらかせなくっちゃうそだ」)
人は自分の有っている才能を出来るだけ働らかせなくっちゃ噓だ」
(わたくしはあににむかって、)
私は兄に向って、
(じぶんのつかっているいごいすとということばのいみがよくわかるかと)
自分の使っているイゴイストという言葉の意味が能く解るかと
(ききかえしてやりたかった。)
聞き返して遣りたかった。
(「それでもそのひとのおかげでちいができればまあけっこうだ。)
「それでもその人の御蔭で地位が出来ればまあ結構だ。
(おとうさんもよろこんでるようじゃないか」)
御父さんも喜こんでるようじゃないか」
(あにはあとからこんなことをいった。)
兄は後からこんな事を云った。
(せんせいからめいりょうなてがみのこないいじょう、わたくしはそうしんずることもできず、)
先生から明瞭な手紙の来ない以上、私はそう信ずる事も出来ず、
(またそうくちにだすゆうきもなかった。)
またそう口に出す勇気もなかった。
(それをははのはやのみこみでみんなにそうふちょうしてしまったいまとなってみると、)
それを母の早吞込でみんなにそう吹聴してしまった今となって見ると、
(わたくしはきゅうにそれをうちけすわけにいかなくなった。)
私は急にそれを打ち消す訳に行かなくなった。
(わたくしははにさいそくされるまでもなく、せんせいのてがみをまちうけた。)
私は母に催促されるまでもなく、先生の手紙を待ち受けた。
(そうしてそのてがみに、)
そうしてその手紙に、
(どうかみんなのかんがえているようないしょくのくちのことがかいてあればいいがとねんじた。)
どうかみんなの考えているような衣食の口の事が書いてあれば可いがと念じた。
(わたくしはしにひんしているちちのてまえ、)
私は死に瀕している父の手前、
(そのちちにいくぶんでもあんしんさせてやりたいといのりつつあるははのてまえ、)
その父に幾分でも安心させて遣りたいと祈りつつある母の手前、
(はたらかなければにんげんでもないようにいうあにのてまえ、)
働らかなければ人間でもないようにいう兄の手前、
(そのたいもうとのおっとだのおじだのおばだののてまえ、)
その他妹の夫だの伯父だの叔母だのの手前、
(わたくしのちっともとんじゃくしていないことに、しんけいをなやまさなければならなかった。)
私のちっとも頓着していない事に、神経を悩まさなければならなかった。