夏目漱石「こころ」2-22

こっちゃん様が(上)の方を上げて下さっていたものの続きでございます。
タイピングを投稿するのは初めてですので、誤字脱字等ありましたらご連絡何卒宜しくお願い致します。
次:https://typing.twi1.me/game/367911
こっちゃん様による(上)
https://typing.twi1.me/profile/userId/86231
すこし短めです。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Irene | 6439 | S | 6.8 | 94.3% | 167.4 | 1147 | 69 | 22 | 2025/02/01 |
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問題文
(ちちがへんなきいろいものをはいたとき、)
父が変な黄色いものを吐いた時、
(わたくしはかつてせんせいとおくさんからきかされたきけんをおもいだした。)
私はかつて先生と奥さんから聞かされた危険を思い出した。
(「ああしてながくねているんだからいもわるくなるはずだね」)
「ああして長く寝ているんだから胃も悪くなる筈だね」
(といったははのかおをみて、)
と云った母の顔を見て、
(なにもしらないそのひとのまえになみだぐんだ。)
何も知らないその人の前に涙ぐんだ。
(あにとわたくしがちゃのまでおちあったとき、あには「きいたか」といった。)
兄と私が茶の間で落ち合った時、兄は「聞いたか」と云った。
(それはいしゃがかえりぎわにあににむかっていったことをきいたかといういみであった。)
それは医者が帰り際に兄に向って云った事を聞いたかという意味であった。
(わたくしにはせつめいをまたないでもそのいみがよくわかっていた。)
私には説明を待たないでもその意味が能く解っていた。
(「おまえここへかえってきて、うちのことをかんりするきはないか」とあにがわたくしをかえりみた。)
「御前此所へ帰って来て、宅の事を管理する気はないか」と兄が私を顧みた。
(わたくしはなんともこたえなかった。)
私は何とも答えなかった。
(「おかあさんひとりじゃ、どうすることもできないだろう」とあにがまたいった。)
「御母さん一人じゃ、どうする事も出来ないだろう」と兄が又云った。
(あにはわたくしをつちのにおいをかいでくちていってもおしくないようにみていた。)
兄は私を土の臭を嗅いで朽ちて行っても惜しくないように見ていた。
(「ほんをよむだけなら、いなかでもじゅうぶんできるし、それにはたらくひつようもなくなるし、)
「本を読むだけなら、田舎でも十分出来るし、それに働らく必要もなくなるし、
(ちょうどいいだろう」)
丁度好いだろう」
(「にいさんがかえってくるのがじゅんですね」とわたくしがいった。)
「兄さんが帰って来るのが順ですね」と私が云った。
(「おれにそんなことができるものか」とあにはひとくちにしりぞけた。)
「おれにそんな事が出来るものか」と兄は一口に斥けた。
(あにのはらのなかには、よのなかでこれからしごとをしようというきがみちみちていた。)
兄の腹の中には、世の中でこれから仕事をしようという気が充ち満ちていた。
(「おまえがいやなら、まあおじさんにでもせわをたのむんだが、)
「御前が厭なら、まあ伯父さんにでも世話を頼むんだが、
(それにしてもおかあさんはどっちかでひきとらなくっちゃなるまい」)
それにしても御母さんは何方かで引き取らなくっちゃなるまい」
(「おかあさんがここをうごくかうごかないかがすでにおおきなぎもんですよ」)
「御母さんが此所を動くか動かないかが既に大きな疑問ですよ」
(きょうだいはまだちちのしなないまえから、)
兄弟はまだ父の死なない前から、
(ちちのしんだあとについて、こんなふうにかたりあった。)
父の死んだ後に就いて、こんな風に語り合った。