昨夜　～親不孝な人間のお話～

(まだおさないあなたをさくやってなづけた)

まだ幼いあなたを「咲夜」って名付けた

(よるにさきほこるかんじにもじでさくや)

夜に咲き誇る漢字２文字で「咲夜」

(みならいからめいどとしてはじめたころは)

見習いからメイドとして始めたころは

(まだひがさをもつてがふるえてたりしてた)

まだ日傘を持つ手が震えてたりしてた

(いつもいつもわたしたちはいっしょだったなぁ)

いつもいつも私たちは一緒だったなぁ

(せのびしてわたしのかみをといてくれたなぁ)

背伸びして私の髪をといてくれたなぁ

(おおきなむねによるいろのひとみかがやかせたなぁ)

大きな胸に夜色の瞳輝かせたなぁ

(あなたがそばにきてわたしはいっぱいわらったんだなぁ)

あなたがそばに来て私はいっぱい笑ったんだなぁ

(さくやさくやあいたいよいやだあさまでなんてまてないよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだ朝までなんて待てないよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいときのはりをもっとまわして)

天に輝く明星　お願い　時の針をもっと回して

(さくやさくやあいたいよいやだなつこいえがおまてないよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだ懐こい笑顔待てないよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいときのはりをはやくまわして)

天に輝く明星　お願い　時の針を早く回して

(いざよいのつきあなたのひがさはちかかった)

十六夜の月　あなたの日傘は近かった

(いまちのつきひざしがもれでるふるえるて)

居待の月　日差しが漏れ出る震える手

(ふけまちのつきだされるこうちゃはにがかった)

更待の月　出される紅茶は苦かった

(かげんのつきいつのまにとおくなるひがさ)

下弦の月　いつのまに遠くなる日傘

(ありあけのつきひざしをもらさぬしょうしゃなて)

有明の月　日差しを漏らさぬ瀟洒な手

(みそかのつきおかしなこうちゃをいれだした)

三十日の月　おかしな紅茶を淹れだした

(こもちのつきふたたびちかくなったひがさ)

小望の月　ふたたび近くなった日傘

(まんげつのよるさいごとなるあなたのこうちゃ)

満月の夜　最後となる貴女の紅茶

(さくやさくやあいたいよいやだあすもあなたをまちたいよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだ明日も貴女を待ちたいよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいさくやじゃなきゃせがたかいんだ)

天に輝く明星　お願い　咲夜じゃなきゃ背が高いんだ

(さくやさくやあいたいよいやだすましたえがおまちたいよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだすました笑顔待ちたいよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいひがさがとおくてまぶしいわ)

天に輝く明星　お願い　日傘が遠くてまぶしいわ

(そろそろみたいですとあなたはそっという)

「そろそろみたいです」と貴女はそっと言う

(そのこえをわたしはせをむけたままきいた)

その声を私は背を向けたまま聞いた

(じゅうしゃにみせちゃいけないかおだからだけど)

従者に見せちゃいけない顔だから、だけど

(しあわせでしたあなたがそうつづけるから)

「幸せでした」貴女がそう続けるから…

(さくやさくやあいたいよいやだずっとあなたをまちたいよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだずっと貴女を待ちたいよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいときのはりをとめてしまって)

天に輝く明星　お願い　時の針を止めてしまって

(さくやさくやあいたいよいやだあなたのえがおまちたいよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだ貴女の笑顔待ちたいよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいときのはりをすすませないで)

天に輝く明星　お願い　時の針を進ませないで

(さくやさくやあいたいよいやだずっとあなたをまちたいよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだずっと貴女を待ちたいよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいときのはりをさかさにむけて)

天に輝く明星　お願い　時の針を逆さに向けて

(さくやさくやあいたいよいやだあなたのえがおまちたいよ)

咲夜　咲夜　会いたいよ　いやだ貴女の笑顔待ちたいよ

(てんにかがやくみょうじょうおねがいわたしのときをとりかえして)

天に輝く明星　お願い　私の時を取り返して

(まだおさないあなたをさくやってなづけた)

まだ幼いあなたを「咲夜」って名付けた

(よるにさきほこるかんじにもじでさくや)

夜に咲き誇る漢字２文字で「咲夜」

(あなたがさりおかしなおちゃはでなくなるけれど)

貴女が去りおかしなお茶はでなくなる　けれど

(しょっぱいこうちゃはやはりおいしくないわねさくや)

しょっぱい紅茶はやはり美味しくないわね　咲夜