怖い話《防災放送》

※このタイピングは、ランキング登録を受け付けていません。
関連タイピング
-
プレイ回数753長文1228打
-
テトリスサビ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
プレイ回数8.9万歌詞かな167打 -
タイピング練習に関する長文です
プレイ回数19万長文1159打 -
上級者向けタイピングゲームだよ
プレイ回数3万長文かな822打 -
プレイ回数602長文1102打
-
Mrs.GREEN APPLEの青と夏です!
プレイ回数13万歌詞1030打 -
めっちゃいい曲....
プレイ回数2.1万歌詞かな200打 -
米津玄師のLemonです
プレイ回数127万歌詞かな1119打
問題文
(おれはよなかにはいかい、というかさんぽをするのがしゅみだ。)
俺は夜中に徘徊、というか散歩をするのが趣味だ。
(きせつもあきにさしかかり、まだまだひるまはあついが)
季節も秋に差し掛かり、まだまだ昼間は暑いが
(よなかにもなるとうすでのぱーかーをはおるくらいでちょうどいいきおんになる。)
夜中にもなると薄手のパーカーを羽織るくらいで丁度いい気温になる。
(おれのじもとはそこまでいなかってわけでもなく、)
俺の地元はそこまで田舎ってわけでもなく、
(すこしあるいてじゅうたくがいをはなれるとまっすぐなたんぼみちがあらわれる。)
少し歩いて住宅街を離れると真っ直ぐな田んぼ道が現れる。
(つきのあかるいひなんかにあるくと、つきあかりにてらされたいなほたちが)
月の明るい日なんかに歩くと、月あかりに照らされた稲穂達が
(すずしいかぜにおとをたてながらなびいてなんともきもちがいい。)
涼しい風に音を立てながらなびいてなんとも気持ちがいい。
(くるまどおりもとおくにみえるこくどうにちらほららいとがみえるくらいで)
車通りも遠くに見える国道にちらほらライトが見えるくらいで
(ちかくをよこぎることもほぼない。)
近くを横切ることもほぼない。
(さんぽしているそのときだけはじぶんひとりだけのせかいにかんじられた。)
散歩しているその時だけは自分一人だけの世界に感じられた。
(そのひもつきあかりがきれいなひだった。)
その日も月明りが綺麗な日だった。
(いつもどおりじゅうたくがいをぬけてしばらくあるくとおきまりのたんぼみちがみえてくる。)
いつも通り住宅街を抜けてしばらく歩くとお決まりの田んぼ道が見えてくる。
(しばらくあるいてすこしはださむくかんじたおれはぱーかーのぽけっとに)
しばらく歩いて少し肌寒く感じた俺はパーカーのポケットに
(てをつっこみながらゆっくりとあるいていた。)
手を突っ込みながらゆっくりと歩いていた。
(ながいたんぼみちもはんぶんくらいまでさしかかったころ、ふとあることにきづいた。)
長い田んぼ道も半分くらいまで差し掛かった頃、ふとあることに気付いた。
(じぶんのあしおとにすこしおくれるようにもうひとつ、うしろからあしおとがきこえてくる。)
自分の足音に少し遅れるようにもう一つ、後ろから足音が聞こえてくる。
(さいしょはきのせいかとおもっていたが、そのひはかぜもよわくほかにおとはしない。)
最初は気のせいかと思っていたが、その日は風も弱く他に音はしない。
(おれとおなじくよなかにさんぽしているひとがたまたまうしろにいるのか?)
俺と同じく夜中に散歩している人がたまたま後ろにいるのか?
(だとしてもずっとついてきてるのもへんではないか?)
だとしてもずっとついてきてるのも変ではないか?
(そもそもいつからうしろに?)
そもそもいつから後ろに?
(いろいろなしこうをめぐらせていくうちにせなかにつめたいものがながれるかんかくになっていく。)
色々な思考を巡らせていくうちに背中に冷たいものが流れる感覚になっていく。
(よなかというじこくといまのじょうきょうに、うつくしいとおもっていためのまえのけしきたちが)
夜中という時刻と今の状況に、美しいと思っていた目の前の景色たちが
(きゅうにふあんをかきたててくるようそにかわっていく。)
急に不安を掻き立ててくる要素に変わっていく。
(いやなよかんがしたがおもいきってうしろをふりかえろうとしたそのときだった。)
嫌な予感がしたが思い切って後ろを振り返ろうとしたその時だった。
(ぴーんぽーんぱーんぽーん)
ピーンポーンパーンポーン
(まちのぼうさいほうそうのちゃいむがあたりになりひびいた。)
町の防災放送のチャイムが辺りに鳴り響いた。
(ねっちゅうしょうたいさくのよびかけやろうじんのしっそうなどがあったときに)
熱中症対策の呼びかけや老人の失踪などがあった時に
(よくあるまちぜんたいにながすほうそうだ。)
よくある町全体に流す放送だ。
(だがおとわれがひどくおともおおきすぎる。)
だが音割れが酷く音も大きすぎる。
(みみがいたくなりおもわずみみをふさいだ。)
耳が痛くなり思わず耳をふさいだ。
(「・・・こちらは・・・ぼうさい・・・まちです・・・」)
「・・・こちらは・・・防災・・・○○町です・・・」
(よくようのないじょせいのこえでいっていのかんかくでひびきわたる。)
抑揚のない女性の声で一定の間隔で響き渡る。
(じこくはごぜんにじをすぎている。)
時刻は午前二時を過ぎている。
(なぜこんなじかんにほうそうが?)
何故こんな時間に放送が?
(おれのしこうなどおきざりにするようにほうそうはつづく。)
俺の施行など置き去りにするように放送は続く。
(「***がいます・・・じゅうみんのみなさまはうしろをみないでください・・・」)
「***がいます・・・住民の皆様は後ろを見ないでください・・・」
(・・・は?いみがわからない。)
・・・は?意味が分からない。
(こえがふめいりょうでかんじんなぶぶんがきこえなかった。)
声が不明瞭で肝心な部分が聞こえなかった。
(だが「うしろをみるな」それだけはきこえた。)
だが「後ろを見るな」それだけは聞こえた。
(ほうそうがとぎれたあと、たんぼみちはさっきまでいじょうにしずまりかえった。)
放送が途切れたあと、田んぼ道はさっきまで以上に静まり返った。
(むしのこえやかぜのおともとまり、かんぜんなちんもくになる。)
虫の声や風の音も止まり、完全な沈黙になる。
(うしろのなにかにうごきはない、こえをかけてみるがはんのうはない。)
後ろの何かに動きはない、声を掛けてみるが反応はない。
(またいっぽ、あるいてみる。)
また一歩、歩いてみる。
(やはりおれのあしおとのあとにもうひとつのあしおとがひびいてくる。)
やはり俺の足音のあとにもう一つの足音が響いてくる。
(しんぞうがうるさいほどたかなり、こきゅうもあらくなっていく。)
心臓がうるさいほど高鳴り、呼吸も荒くなっていく。
(そのとき、みみがこわれるようなちゃいむのあとにふたたびほうそうがはいった。)
その時、耳が壊れるようなチャイムの後に再び放送が入った。
(「・・けっして・・・はしらないでください・・にげられなくなります・・」)
「・・決して・・・走らないでください・・逃げられなくなります・・」
(ぜんしんのちがぎゃくりゅうするようなかんかくにおそわれ、あしがきゅうになまりのようにおもくなっていく。)
全身の血が逆流するような感覚に襲われ、足が急に鉛のように重くなっていく。
(はしるなといわれてもこのじょうきょうでへいじょうしんをたもてるはずがない。)
走るなと言われてもこの状況で平常心を保てるはずがない。
(おれはふるえるあしをひきずるようにしてできるだけゆっくりとあるきつづけた。)
俺は震える足を引きずるようにしてできるだけゆっくりと歩き続けた。
(いっぽいっぽごとにはいごのあしおとがちかづいてくるのをかんじる。)
一歩一歩ごとに背後の足音が近付いてくるのを感じる。
(つまさきがつちをするようなしめったおとがまじりはじめる。)
つま先が土を擦るような湿った音が混じり始める。
(「・・・うしろにいます・・・ふりかえらないでください・・・」)
「・・・後ろにいます・・・振り返らないでください・・・」
(ぼうさいほうそうのこえがこんどはまうえからきこえてきた。)
防災放送の声が今度は真上から聞こえてきた。
(ぞくりとせすじがこおる。)
ゾクリと背筋が凍る。
(ぼくははんしゃてきにたちどまっていきをころした。)
僕は反射的に立ち止まって息を殺した。
(そのしゅんかん、まうしろであしおとはぴたりととまった。)
その瞬間、真後ろで足音はピタリと止まった。
(まちがいなくそのなにかはてをのばせばおれにとどくきょりにいる。)
間違いなくその何かは手を伸ばせば俺に届く距離にいる。
(たえきれず、おれはきんじられたしょうどうにまけてふりかえってしまった。)
耐えきれず、俺は禁じられた衝動に負けて振り返ってしまった。
(そこにはにんげんのかたちをしているなにかがいた。)
そこには人間の形をしている何かがいた。
(じめんにつきそうなほどながいうでにおれのしんちょうよりもながいあし。)
地面に着きそうなほど長い腕に俺の身長よりも長い足。
(いようにながいくびをむかしまんがでみたろくろくびのようにくねらせおれのかおをのぞきこんできた。)
異様に長い首を昔漫画で見たろくろ首の様にくねらせ俺の顔を覗き込んできた。
(そのかおはぜんいもあくいもない、もじどおりなにをかんがえているかわからない。)
その顔は善意も悪意もない、文字通り何を考えているか分からない。
(がんきゅうをくりぬかれているそのめだけはしっかりとおれをみつめていた。)
眼球をくり抜かれているその目だけはしっかりと俺を見つめていた。
(「ふりかえらないでください」)
「振り返らないでください」
(おおきくひらいたくちからきこえてくるのはあのぼうさいほうそう。)
大きく開いた口から聞こえてくるのはあの防災放送。
(おれはひめいもだせず、ただあしをもつらせながらはしりだした。)
俺は悲鳴も出せず、ただ足をもつらせながら走り出した。
(ひっしであしをうごかしつづけた。)
必死で足を動かし続けた。
(こきゅうはもうげんかいで、はいがやけるようにいたい。)
呼吸はもう限界で、肺が焼けるように痛い。
(あのいけいがおれをおいかけてきているかもしれないというきょうふだけが)
あの異形が俺を追いかけてきているかもしれないという恐怖だけが
(おれのあしをまえにすすませている。)
俺の足を前に進ませている。
(にげているあいだ、ひとともけものともたとえられないような)
逃げている間、人とも獣とも例えられないような
(さけびごえとうなりごえがあのぼうさいほうそうからなりつづけていた。)
叫び声と唸り声があの防災放送から鳴り続けていた。
(とちゅう、なんどかふりかえってしまった。)
途中、何度か振り返ってしまった。
(あのにんげんばなれしたふうていで、ひつぜつにつくしがたいほど)
あの人間離れした風体で、筆舌に尽くしがたい程
(きもちのわるいうごきであとをついてきていた。)
気持ちの悪い動きで後をついてきていた。
(きがつくといえについていた。)
気が付くと家に着いていた。
(おれはあのいけいからにげきれたあんしんかんと)
俺はあの異形から逃げ切れた安心感と
(はしりつづけたひろうでそのままげんかんにへたりこんだ。)
走り続けた疲労でそのまま玄関にへたり込んだ。
(かわらずあのいけいはげんかんのまえでいみふめいなことばやうめきごえを)
変わらずあの異形は玄関の前で意味不明な言葉や呻き声を
(たれながしつづけていた。)
垂れ流し続けていた。
(そのままげんかんでふるえていると、あのぼうさいほうそうはじょじょにとおくへはなれていった。)
そのまま玄関で震えていると、あの防災放送は徐々に遠くへ離れていった。
(そのままきぜつするようにいしきがとぎれてしまった。)
そのまま気絶するように意識が途切れてしまった。
(そのあと、よなかのさんぽをすることはにどとなくなった。)
その後、夜中の散歩をすることは二度となくなった。
(いまでもよるねていると、おれにしかきこえないあのぼうさいほうそうがたんぼみちのほうから)
今でも夜寝ていると、俺にしか聞こえないあの防災放送が田んぼ道の方から
(きこえてくるようなきがする。)
聞こえてくるような気がする。