未 本編 -40-
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
関連タイピング
-
プレイ回数891歌詞831打
-
5分間の速度部門の模擬試験です。打つ速度で級が決まります
プレイ回数92万長文300秒 -
テトリスサビ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
プレイ回数11万歌詞かな167打 -
世界は恋に落ちている.ᐟ.ᐟ
プレイ回数132歌詞386打 -
タイピングに慣れてきた人におすすめ
プレイ回数111万長文かな1008打 -
ビリミリオン 優里の曲
プレイ回数96歌詞382打 -
Mrs.GREEN APPLEの青と夏です!
プレイ回数14万歌詞1030打 -
Mrs.GREEN APPLEのナハトムジークです!
プレイ回数2576歌詞869打
問題文
(「たかはしながおきはぐんじてきしんこうのさいに、いぜんのりょうどでしんこうしていたはちまんじんじゃを)
「高橋永熾は軍事的侵攻のさいに、以前の領土で信仰していた八幡神社を
(このちにかんじょうしてきます。これはほかのせんごくぶしょうにもおうおうにしてあったことです。)
この地に勧請してきます。これは他の戦国武将にも往々にしてあったことです。
(そうしてかんじょうされたわかみやをまつるしゃ、「わかみやじんじゃ」となづけられたそれは)
そうして勧請された若宮を祀る社、「若宮神社」と名付けられたそれは
(このちのひとびとをうじことしてとりこみ、たかはしながおきのやぼうがやぶれたあとも)
この地の人々を氏子として取り込み、高橋永熾の野望が破れた後も
(のこりつづけ、げんざいまでみゃくみゃくとしんこうがうけつがれています。)
残り続け、現在まで脈々と信仰が受け継がれています。
(きょうけいだいもはいけんしてきましたが、たいへんにりっぱなものだとおもいます。)
今日境内も拝見してきましたが、大変に立派なものだと思います。
(しかし、ひごしゃであったたかはしけのえんじょがたたれたにもかかわらず、)
しかし、庇護者であった高橋家の援助が絶たれたにも関わらず、
(これだけのしゃかくのじんじゃをいじできたのもうじこしゅうのきしん、)
これだけの社格の神社を維持できたのも氏子衆の寄進、
(そしてちからぞえがあってこそです。)
そして力添えがあってこそです。
(いまでこそ、このまつのきさとはにしかわまちのはずれにあり、さびれたいんしょうをもってしまう)
今でこそ、この松ノ木郷は西川町の外れにあり、寂れた印象を持ってしまう
(ようなけいけんです。しかしとうじはかなりのじんこうをかかえていたであろうことが、)
ような経験です。しかし当時はかなりの人口を抱えていたであろうことが、
(このじんじゃのおおきさからもすいそくできるのです。)
この神社の大きさからも推測できるのです。
(だからこそ、たかはしながおきはきょがくをとうじてこのちにためいけをけんせつしようとも)
だからこそ、高橋永熾は巨額を投じてこの地に溜め池を建設しようとも
(したのです。すると、ここにきみょうなことがあらわれてきます。)
したのです。すると、ここに奇妙なことが現れてきます。
(それだけのかずのうじこしゅうは、わかみやじんじゃがやってくるまでは)
それだけの数の氏子衆は、若宮神社がやってくるまでは
(いったいなにをしんこうしていたのでしょう」)
いったい何を信仰していたのでしょう」
(はっ、としたようなくうきがひろまにみちた。)
はっ、としたような空気が広間に満ちた。
(これからじけんのほんだいにはいることがわかったからだ。)
これから事件の本題に入ることが分かったからだ。
(「そのじょうほうは、これまでまったくみみにしませんでした。めいじしょきの)
「その情報は、これまでまったく耳にしませんでした。明治初期の
(じんじゃせいりせいさくのかちゅうで、さいじんもわからないようなむかくしゃのちいさなやしろは)
神社整理政策の渦中で、祭神も分からないような無格社の小さな社は
(つぎつぎとわかみやじんじゃにとうごうされていきました。)
次々と若宮神社に統合されていきました。
(そのなまえのないかみたちは、いまではわかみやじんじゃのけいだいにあるまっしゃでねむっています。)
その名前のないカミたちは、今では若宮神社の境内にある末社で眠っています。
(しかし、のちにそのわかみやじんじゃをささえたうじこしゅうはそんなとるにたりない)
しかし、のちにその若宮神社を支えた氏子衆はそんな取るに足りない
(かみたちをこぞってしんこうしていたのでしょうか。)
カミたちをこぞって信仰していたのでしょうか。
(いいえ。ちがいます。ちがうのです。ためいけがどうしてつくられたのか、)
いいえ。違います。違うのです。溜め池がどうして作られたのか、
(もういちどそのいみをかんがえてください。たかはしえいおきのりょうどてきやしん?ひゃくねんのたいけい?)
もう一度その意味を考えてください。高橋永熾の領土的野心?百年の大計?
(そうしたそくめんのまえに、もっともそくぶつてきなりゆうがあります。)
そうした側面の前に、もっとも即物的な理由があります。
(みずです。みずがなかったのです。にほんちゅうのむらむらでいくどとなくおこってきたききん。)
水です。水がなかったのです。日本中の村々で幾度となく起こってきた飢饉。
(そのげんいんはみずぶそくです。あめがふらなければたは、はたけはひあがり、)
その原因は水不足です。雨が降らなければ田は、畑は干上がり、
(さくもつはかれていきます。みずをひいていたすいろも、かわなどのそのげんせんが)
作物は枯れていきます。水を引いていた水路も、川などのその源泉が
(ひあがればようをなしません。)
干上がれば用を成しません。
(いまでこそきんだいぎじゅつであるぼーりんぐでおんせんがわくようなとちがらですが、)
今でこそ近代技術であるボーリングで温泉が枠ような土地柄ですが、
(このまつのきごうをふところにいだくやまやまはひくく、おそらくふりそそいだあめを)
この松ノ木郷を懐に抱く山々は低く、おそらく降り注いだ雨を
(ゆっくりとあんていてきにちひょうにながしていくちしつではないのです。)
ゆっくりと安定的に地表に流していく地質ではないのです。
(とちをながれるえだかわのみずりょうはあんていせず、かんてんがつづくとみずはなくなり、)
土地を流れる枝川の水量は安定せず、干天が続くと水はなくなり、
(たびたびききんがはっせいしたことでしょう。だからこそためいきがつくられたのです。)
度々飢饉が発生したことでしょう。だからこそ溜め息が作られたのです。
(それほどみずにこまっていたひとびとが、かみにいのらなかったはずはありません。)
それほど水に困っていた人々が、神に祈らなかったはずはありません。
(そうしたせつじつないのりをうけとめるかみが、このちにいなかったはずはないのです」)
そうした切実な祈りを受け止める神が、この地にいなかったはずはないのです」
(りん・・・・・)
りん・・・・・
(またきこえた。なんだこのおとは。)
また聞こえた。なんだこの音は。
(ししょうはそのおとにまったくはんのうもせず、かんじがかかれたはんしを)
師匠はその音にまったく反応もせず、漢字が書かれた半紙を
(もういちどたかくかかげながらこえをはった。)
もう一度高く掲げながら声を張った。
(「あめのしたにくちをみっつとりゅうをかくこのじは、「おかみ」とよみます。)
「雨の下に口を三つと龍を書くこの字は、「オカミ」と読みます。
(ふるいやまとことばです。かこをひもとくとまんようしゅうにこんなうたがあります」)
古いやまと言葉です。過去を紐解くと万葉集にこんな歌があります」
(わがおかのおかみにいいてふらしめし)
わが岡のオカミに言ひて落(ふ)らしめし
(ゆきのくだけしそこにちりけむ)
雪の摧(くだ)けし其処に散りけむ
(「このおかみとはみずのかみです。みずはのめなどとならび、)
「このオカミとは水の神です。罔象女神(ミズハノメ)などと並び、
(かくちでひとびとのしんこうをあつめ、じゅうようなやくわりをはたしてきたすいじんです。)
各地で人々の信仰を集め、重要な役割を果たしてきた水神です。
(たかおかみとよぶばあいはやまのみずをつかさどり、)
高(たか)オカミと呼ぶ場合は山の水を司り、
(くらおかみとよぶばあいはあんきょ、)
闇(くら)オカミと呼ぶ場合は暗渠、
(つまりちのそこやたにをながれるみずをつかさどります。このおかみをまつったじんじゃは)
つまり地の底や谷を流れる水を司ります。このオカミを祀った神社は
(にほんちゅうにぶんぷしています。ひでりがつづくときには、このかみにあめをこうのです。)
日本中に分布しています。日照りが続くときには、この神に雨を乞うのです。
(そのさいにはあめをいのる、つまりきうのぎしきがおこなわれました。)
その際には雨を祈る、つまり祈雨の儀式が行われました。
(たとえばすもうをほうじたり、かぐらをまったりしてかみをよろこばせ、あるいはせいだいに)
例えば相撲を奉じたり、神楽を舞ったりして神を喜ばせ、あるいは盛大に
(まつりをもよおしてむらじゅうをねりあるいたり、やまにのぼっておおきなひをたいたり、)
祭りを催して村中を練り歩いたり、山に登って大きな火を焚いたり、
(といったさまざまなぎょうじです。)
といった様々な行事です。
(もちろんこらいよりのふうしゅうであるきうのたいしょうはおかみだけではありません。)
もちろん古来よりの風習である祈雨の対象はオカミだけではありません。
(さまざまなじんじゃがあまごいのぎしきをつかさどりました。)
様々な神社が雨乞いの儀式を司りました。