未 本編 -37-

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師匠シリーズ
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問題文

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(じゅうびょうほどのまをあけて、かねのねはやすまずつづく。にかいめ。さんかいめ・・・・・)

十秒ほどの間を空けて、鐘の音は休まず続く。二回目。三回目・・・・・

(さいしょのさんかいはすてがね。そしてつぎからがくれむっつだ。)

最初の三回は捨て鐘。そして次からが暮れ六つだ。

(よんかいめ。ごかいめ。ろっかいめ・・・・・)

四回目。五回目。六回目・・・・・

(しつないにいるだれもがおしだまっている。ただかすかにきこえるかねのおとに)

室内にいる誰もが押し黙っている。ただ微かに聞こえる鐘の音に

(みみをすましていきをのんでいた。)

耳を澄まして息を飲んでいた。

(ななかいめ。はっかいめ。きゅうかいめ・・・・・)

七回目。八回目。九回目・・・・・

(さいごのかねがなりやんで、そのよいんがみみのおくにわずかにのこり、)

最後の鐘が鳴り止んで、その余韻が耳の奥にわずかに残り、

(まぼろしのようにはんきょうしている。)

幻のように反響している。

(「さて」)

「さて」

(ししょうがくちをひらく。いちばんおくのえんにいて、ただひとりこちらをむいている。)

師匠が口を開く。一番奥の円にいて、ただ一人こちらを向いている。

(ほかのぼくたちとむかいあうかっこうだ。)

他の僕たちと向かい合う格好だ。

(「くれむっつがなりおわりました。ここからはかくりよのうちにある)

「暮れ六つが鳴り終わりました。ここからは幽世(かくりよ)のうちにある

(じかんたいです。そこではひとはとてもかよわいそんざいです。うつしよの)

時間帯です。そこでは人はとてもか弱い存在です。現世(うつしよ)の

(ものならぬものたちが、)

ものならぬモノたちが、

(ほんのひとなでするだけでいのちのとうかがきえてしまうような・・・・・)

ほんのひと撫でするだけで命の灯火が消えてしまうような・・・・・

(くれぐれもおきをつけください。これからなにがおこっても)

くれぐれもお気をつけください。これからなにが起こっても

(けっしてわれをなくし、このはりのけっかいからでるようなことをしてはいけません」)

決して我を無くし、この針の結界から出るようなことをしてはいけません」

(いいですね?)

いいですね?

(ししょうはささやくようなこえでそういった。)

師匠は囁くような声でそう言った。

(みんなしずかにききいっていて、すなおにうなずいている。なんだかぼくもぞくぞく)

みんな静かに聞き入っていて、素直に頷いている。なんだか僕もぞくぞく

など

(してきた。もったりぶるのはししょうのつねだったが、きょうはとくにねんがはいっている。)

してきた。もったりぶるのは師匠の常だったが、今日は特に念が入っている。

(「わたしは、このおんせんりょかんにでるというかんぬしすがたのゆうれいのもんだいをかいけつするために)

「わたしは、この温泉旅館に出るという神主姿の幽霊の問題を解決するために

(よばれました。いらいをうけたじてんでははんしんはんぎでしたが、)

呼ばれました。依頼を受けた時点では半信半疑でしたが、

(じっさいにこちらにやってきて、ゆうれいをみたというひとのはなしをじかにききとり、)

実際にこちらにやってきて、幽霊を見たと言う人の話を直に聴き取り、

(げんちをみてまわったあとのいんしょうはちがいました。ここにはなにかがいます。)

現地を見て回った後の印象は違いました。ここにはなにかがいます。

(かくじつに、このよのものではになにかが。それがなんであるのかをたしかめ、)

確実に、この世のものではになにかが。それがなんであるのかを確かめ、

(どうすればでなくなるのか、そのほうほうをさぐる。それをなしとげるために)

どうすれば出なくなるのか、その方法を探る。それを成し遂げるために

(このふつかまがありました。)

この二日間がありました。

(まずだいいちのひとはかんぬしすがたであるということ。ここからすべてがはじまります。)

まず第一の人は神主姿であるということ。ここからすべてが始まります。

(しかし、このちいきゆいいつのじんじゃであるわかみやじんじゃでは、そんなゆうれいに)

しかし、この地域唯一の神社である若宮神社では、そんな幽霊に

(まったくこころあたりはなかった。それどころか、ぐうじがでむいてきて)

全く心当たりはなかった。それどころか、宮司が出向いてきて

(おはらいをおこなってもそのしゅつげんがやむことはなかった。)

お祓いを行なってもその出現が止むことはなかった。

(おてらにたのんでもそれはどうようでした。よほどつよいうらみねんをいだいているれい)

お寺に頼んでもそれは同様でした。よほど強い怨念を抱いている霊

(だったのでしょうか。いいえ。なにかちがうきがします。)

だったのでしょうか。いいえ。なにか違う気がします。

(そのかんぬしすがたのゆうれいは、これまでひとにきがいをくわえるようなじつがいを)

その神主姿の幽霊は、これまで人に危害を加えるような実害を

(なしていません。うったえたいことがあるのかもはんぜんとしないじょうたいです。)

成していません。訴えたいことがあるのかも判然としない状態です。

(どちらかというと、そのへんのどこにもでいる、)

どちらかというと、そのへんのどこにもでいる、

(よわよわしいふゆうれいのようなあらわれかたです。)

弱々しい浮遊霊のような現れ方です。

(しかしいちねんちかくにわたって、おなじたてものでひんぱんにもくげきされている)

しかし一年近くにわたって、同じ建物で頻繁に目撃されている

(というところには、なにかしゅうちゃくしんというか、しゅうねんのようなものを)

というところには、なにか執着心というか、執念のようなものを

(かんじます。ちぐはぐです。じつにちぐはぐなのです」)

感じます。ちぐはぐです。実にちぐはぐなのです」

(ししょうはくびをさゆうにふる。そしてそのばにこしをおとし、ほかのみんなにも)

師匠は首を左右に振る。そしてその場に腰を落とし、他のみんなにも

(すわるようにとじぇすちゃーをした。ながくなるといいたいのだろう。)

座るようにとジェスチャーをした。長くなると言いたいのだろう。

(それぞれおもいおもいのかっこうで、はりのえんのなかにすわりこむ。)

それぞれ思い思いの格好で、針の円の中に座り込む。

(「わたしはしんしょくやそうりょのように、れいをはらい、まをうちやぶるようなことは)

「わたしは神職や僧侶のように、霊を祓い、魔を打ち破るようなことは

(できません。しかし、あらゆるそんざいにはいんがというものがあります。)

できません。しかし、あらゆる存在には因果というものがあります。

(そのめにみえないいんがのいとをとけば、おのずとかいけつへのみちが)

その目に見えない因果の糸を解けば、自ずと解決への道が

(みえてくるものです。みなさん」)

見えてくるものです。みなさん」

(ししょうはしずかなこえでこちらによびかけてくる。)

師匠は静かな声でこちらに呼びかけてくる。

(「みなさんのなかに、この「とかの」でかんぬしのれいをみた、あるいは)

「みなさんの中に、この「とかの」で神主の霊を見た、あるいは

(どんなかたちでもそうぐうした、というかたがいたらてをあげてください」)

どんな形でも遭遇した、という方がいたら手を挙げてください」

(じぶんもてをあげながらしゅういをみると、みんなてをあげていた。ししょうをのぞいて。)

自分も手を挙げながら周囲を見ると、みんな手を挙げていた。師匠を除いて。

(おかしかったのは、しめなわのそとのかんすけさんまでたたみのうえにあぐらをかいたまま)

おかしかったのは、注連縄の外の勘介さんまで畳の上に胡座をかいたまま

(ぶっちょうづらでみぎてをぴょこんをあげていたことだ。)

仏頂面で右手をぴょこんを挙げていたことだ。

(みているだけでおもわずわらってしまいそうになる。)

見ているだけで思わず笑ってしまいそうになる。

(「いいでしょう。ひろこさんとかんすけさんはどんなふうにそうぐうしたのか)

「いいでしょう。広子さんと勘介さんはどんな風に遭遇したのか

(くわしくおききしていませんでしたね。ここでおはなしいただけませんか」)

詳しくお聞きしていませんでしたね。ここでお話しいただけませんか」

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