桜雨 -3-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 ぎんなんまる 8457 8.7 96.4% 335.1 2943 109 58 2026/04/16
2 berry 8321 8.4 98.8% 346.7 2918 33 58 2026/04/16
3 HAKU 7994 8.2 96.8% 357.1 2950 95 58 2026/04/16

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問題文

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(ざびえるはわたしのくらすのたんにんだった。) ザビエルは私のクラスの担任だった。 (もちろんあだなだが、この「せんせいのあだな」というやつは) もちろんあだ名だが、この「先生のあだ名」というやつは (せんぱいからこうはいへとだいだいうけつがれるもののようだ。) 先輩から後輩へと代々受け継がれるもののようだ。 (いちどそのがっこうへふにんすれば、さいしょにつけられたあだなが) 一度その学校へ赴任すれば、最初につけられたあだ名が (ずっとついてまわるらしい。) ずっとついて回るらしい。 (ざびえるも、さいしょからざびえるだった。) ザビエルも、最初からザビエルだった。 (ぶかつのせんぱいがそうよんでいるのをきいたくらすめーとがひろめて、) 部活の先輩がそう呼んでいるのを聞いたクラスメートが広めて、 (みっかめにはかんぜんにくらすにていちゃくしてしまった。) 三日目には完全にクラスに定着してしまった。 (ざびえるじしんもそうよばれていることはしっているし、ていかんというのか、) ザビエル自身もそう呼ばれていることは知っているし、諦観というのか、 (めんとむかってよばれでもしないかぎり、) 面と向かって呼ばれでもしない限り、 (いちいちとりしまろうというきはないようだった。) いちいち取り締まろうという気はないようだった。 (わたしはこのざびえるにはしょうしょうふくむところがある。) 私はこのザビエルには少々含むところがある。 (こうこうせいになってさいしょのどようびに、わたしはよーことふたりではんかがいを) 高校生になって最初の土曜日に、私はヨーコと二人で繁華街を (ぶらついていたのだが、いきなりうしろからこえをかけられた。) ぶらついていたのだが、いきなり後ろから声をかけられた。 (ふりかえるとざびえるがいて、「こんなところでふらふらするんじゃない」とか、) 振り返るとザビエルがいて、「こんなところでフラフラするんじゃない」とか、 (「まちにはゆうわくがおおいから」とか、そういうくだらないせっきょうをはじめた。) 「街には誘惑が多いから」とか、そういうくだらない説教をはじめた。 (せいとしどうのたんにんでもないくせに、たまたままちでであったしふくのせいとを、) 生徒指導の担任でもないくせに、たまたま街で出会った私服の生徒を、 (どうしてめのかたきにするのだろう。) どうして目の敵にするのだろう。 (べつになにかわるさをしようというわけでもないのに。) 別になにか悪さをしようというわけでもないのに。 (すくなくともわたしのぜんあくかんにおいてはだ。むしろそっちこそ) 少なくとも私の善悪感においてはだ。むしろそっちこそ
など
(なにかやましいことがあって、そのてれかくしなんじゃないかとかんぐってしまう。) なにかやましいことがあって、その照れ隠しなんじゃないかと勘繰ってしまう。 (かんぐっただけではなく、よーこはそれをくちにしたので、) 勘繰っただけではなく、ヨーコはそれを口にしたので、 (せっきょうがながくなってしまった。) 説教が長くなってしまった。 (そんなこともあって、ざびえるはわたしのてきだった。) そんなこともあって、ザビエルは私の敵だった。 (たばこもがっこうではそうとうにきをつけてすわないといけなかった。) タバコも学校では相当に気をつけて吸わないといけなかった。 (しかし、あとでわかったのだが、ざびえるはぐうぜんまちにいたのではなく、) しかし、あとで分かったのだが、ザビエルは偶然街にいたのではなく、 (いつもはんかがいをけいかいしてあるいているらしい。) いつも繁華街を警戒して歩いているらしい。 (そういうたんにんでもないのに、じはつてきにせいとのひこうをみぜんにふせごうという、) そういう担任でもないのに、自発的に生徒の非行を未然に防ごうという、 (じつにすばらしいきょうしとしてのじかく、そしてこうどうだった。) 実に素晴らしい教師としての自覚、そして行動だった。 (こういういっぽうてきなぜんいがいちばんめいわくだ。) こういう一方的な善意が一番迷惑だ。 (いちどへいじつにほてるからでるところででくわしてしんぞうがとまりそうに) 一度平日にホテルから出るところで出くわして心臓が止まりそうに (なったことがあった。こちらがさきにみつけたので、すぐにみをかくして) なったことがあった。こちらが先に見つけたので、すぐに身を隠して (ことなきをえたが、こんなところまではっているとは、) 事なきを得たが、こんなところまで張っているとは、 (ほんとうにきがぬけない「せんこー」だった。) 本当に気が抜けない「センコー」だった。 (わたしのがっこうはまちなかにあり、そのちかくのこうえんにほーむれすがひとりすみついていた。) 私の学校は街なかにあり、その近くの公園にホームレスが一人住み着いていた。 (みんなからはひろさんをよばれていた。) みんなからはヒロさんを呼ばれていた。 (わずかなゆうぐがちらばるこうえんのいちばんすみにだんぼーるでじんちをはって) わずかな遊具がちらばる公園の一番隅にダンボールで陣地を張って (せいかつしていた。) 生活していた。 (とうげこうのさいにまちをぬけるるーとをとると、かならずそのこうえんのまえをとおるのだが、) 登下校の際に街を抜けるルートを取ると、必ずその公園の前を通るのだが、 (はじめはこういうせいかつをしているひとじたいがめずらしくてしげしげとみていて、) はじめはこういう生活をしている人自体が珍しくてしげしげと見ていて、 (やがてそのひろさんのきゃらくたーにひかれるようになった。) やがてそのヒロさんのキャラクターに惹かれるようになった。 (てれびでみるとかいのほーむれすたちは、どくじのせかい、) テレビで見る都会のホームレスたちは、独自の世界、 (そしててりとりーをつくっていて、じぶんたちいがいのしゃかいと) そしてテリトリーを作っていて、自分たち以外の社会と (めにみえないかべをけいせいしているようにおもえる。) 目に見えない壁を形成しているように思える。 (どちらがわからつくったかべなのかはわからないが、それをこえてくるものには) どちら側から作った壁なのかは分からないが、それを超えてくるものには (けいかいし、ひつようがなければそのかべのむこうのせかいは、「ない」ものとして) 警戒し、必要がなければその壁の向こうの世界は、「ない」ものとして (しせんをむけない。すくなくともわたしにはそうかんじられた。) 視線を向けない。少なくとも私にはそう感じられた。 (しかしこのひろさんは、いつもこうえんのまえをとおるひとにあいさつをするのだ。) しかしこのヒロさんは、いつも公園の前を通る人に挨拶をするのだ。 (あかるいこえで「おはようございます」と。) 明るい声で「おはようございます」と。 (わたしもはじめてこえをかけられたときは、ひとのせいかつくうかんをじろじろみていたという) 私も初めて声をかけられたときは、人の生活空間をじろじろ見ていたという (ざいあくかんで、へんじができなかった。) 罪悪感で、返事ができなかった。 (ただひろさんのほうにはいやみやあくいがないのはすぐわかった。) ただヒロさんの方には嫌味や悪意がないのはすぐ分かった。 (いつもにこにこしていて、そのまえばがかけたかおをみていると、) いつもにこにこしていて、その前歯が欠けた顔を見ていると、 (こちらまでつられてわらってしまう。) こちらまでつられて笑ってしまう。 (ただ、ひるでもよるでもその「おはようございます」というあいさつが) ただ、昼でも夜でもその「おはようございます」という挨拶が (かわらないので、「おや?」とおもった。) 変わらないので、「親?」と思った。 (そして、きがついてそういうふぃるたーをとおしてみると、なっとくした。) そして、気がついてそういうフィルターを通して見ると、納得した。 (ひろさんにはちてきしょうがいがあった。) ヒロさんには知的障害があった。
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