桜雨 -8-

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師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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問題文

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(「せんせい。まちへいくときにとおるこうえんで、ほーむれすがいるでしょう」) 「先生。街へ行くときに通る公園で、ホームレスがいるでしょう」 (「ああ。いるな」) 「ああ。いるな」 (「めずらしいですよね。このへんでほーむれすなんて」) 「珍しいですよね。この辺でホームレスなんて」 (ざびえるもこのへんがじっかだときいたことがあった。) ザビエルもこの辺が実家だと聞いたことがあった。 (むかしからひろさんのことをしっているのかもしれない。) 昔からヒロさんのことを知っているのかも知れない。 (「ひとにはことじょうがあるんだ。じろじろみたりするんじゃないぞ」) 「人には事情があるんだ。じろじろみたりするんじゃないぞ」 (どうやらしってはいるようだ。しかしふきげんそうにあっさりはなしをうちきった。) どうやら知ってはいるようだ。しかし不機嫌そうにあっさり話を打ち切った。 (おとなにとっては、ほーむれすなどちいきのふあんようそにすぎないのだろう。) 大人にとっては、ホームレスなど地域の不安要素に過ぎないのだろう。 (かかわりたくない、かべのむこうのじゅうにんだ。ましてきょうしにとっては、) 関わりたくない、壁の向こうの住人だ。まして教師にとっては、 (せいとにおしえたくないしゃかいのむじゅんそのものなのかもしれない。) 生徒に教えたくない社会の矛盾そのものなのかも知れない。 (「そんなことより、やまなか、おまえちょっとそのかみ、ながすぎないか」) 「そんなことより、山中、おまえちょっとその髪、長すぎないか」 (ざびえるはそういいながらいきなりうでをのばして、わたしのあたまをさわろうとした。) ザビエルはそう言いながらいきなり腕を伸ばして、私の頭を触ろうとした。 (「さわるな」) 「触るな」 (おもわずするどいくちょうでそのてをはらう。ばしんというつよいしょうげきがあった。) 思わず鋭い口調でその手を払う。バシンという強い衝撃があった。 (しかしすぐにわれにかえり、「すみません」とあやまった。) しかしすぐに我に返り、「すみません」と誤った。 (せっかくおわりかけたせっきょうがのびるかもしれない。) せっかく終わりかけた説教が伸びるかも知れない。 (ざびえるはおどろいたようすでふりはらわれたじぶんのてとわたしのかおをこうごにみていたが、) ザビエルは驚いた様子で振り払われた自分の手と私の顔を交互に見ていたが、 (「とにかく、かみはあまりながくならないようにしなさい」と、) 「とにかく、髪はあまり長くならないようにしなさい」と、 (とりつくろうようにいってたちあがった。) 取り繕うように言って立ち上がった。 (わたしはほっとしてあたまをさげる。よかった。) 私はホッとして頭を下げる。よかった。
など
(でもよーこのせいだ。じょしせいとがすきなどとへんなことをいうから、) でもヨーコのせいだ。女子生徒が好きなどと変なことを言うから、 (とっさにそれがあたまをよぎってしまった。) とっさにそれが頭をよぎってしまった。 (じぶんにもあんなにけんおかんがあるなんておもわなかった。) 自分にもあんなに嫌悪感があるなんて思わなかった。 (あたまをかるくさげてしょくいんしつをでて、きょうしつにもどると、) 頭を軽く下げて職員室を出て、教室に戻ると、 (まばらになったくらすめーとたちのなかによーこのすがたもあった。) まばらになったクラスメートたちの中にヨーコの姿もあった。 (どうやらまってくれていたらしい。) どうやら待ってくれていたらしい。 (「だいじょうぶだった?いっしょにかえろうぜい」) 「大丈夫だった?一緒に帰ろうぜい」 (そのあたまにちょっぷをくらわす。) その頭にチョップを食らわす。 (「いたっ」) 「痛っ」 (「まち、いこう」) 「街、行こう」 (きょうしのせっきょうなど、しったことではない。) 教師の説教など、知ったことではない。 (かみはのばすし、たばこはすうし、ふりょうこういもいろいろする。) 髪は伸ばすし、タバコは吸うし、不良行為も色々する。 (そのどれも、じぶんがじぶんであるために、あたりまえにしているだけのことだ。) そのどれも、自分が自分であるために、あたりまえにしているだけのことだ。 (じぶんのなかで、まもるべきぜんあくのきょうかいをもって、なにがわるいんだ?) 自分の中で、守るべき善悪の境界を持って、何が悪いんだ? (「なによう」) 「なによう」 (よーこはあたまをかばいながらわらっていた。) ヨーコは頭を庇いながら笑っていた。 (ういういしいしがつもおわり、わたしたちもどうやらこのこうこうせいかつとやらが) 初々しい四月も終わり、私たちもどうやらこの高校生活とやらが (しばらくつづくらしいということをじっかんしはじめていた。) しばらく続くらしいということを実感し始めていた。 (がっこうのそとにも、ようやくあたたかさがでてきた。ことしはさくらのかいかもおそく、) 学校の外にも、ようやく暖かさが出てきた。今年は桜の開花も遅く、 (まちをあるくひとたちのふくそうもどこかおもたかったが、つきがかわるとどうじに) 街を歩く人たちの服装もどこか重たかったが、月が替わると同時に (あかるいいろあいのかるめのよそおいがみられるようになった。) 明るい色合いの軽めのよそおいが見られるようになった。 (ぺこり、というかみのへこむおとがする。) ペコリ、という紙のへこむ音がする。 (ほうかご、こうもんのそばにかくれるようにたっておもてどおりをうかがいながら) 放課後、校門のそばに隠れるように立って表通りを伺いながら (かみぱっくのこーひーぎゅうにゅうをのみつつ、そんなことをかんがえていた。) 紙パックのコーヒー牛乳を飲みつつ、そんなことを考えていた。 (きょうはよーこがそうたいしている。かぜをひいたらしい。しかしちょうどよかった。) 今日はヨーコが早退している。風邪を引いたらしい。しかしちょうどよかった。 (あのさわがしいこがいると、きょうはいろいろとめんどくさい。) あの騒がしいコがいると、今日は色々とめんどくさい。 (こーひーぎゅうにゅうをのみきったころ、ざびえるのすがたをみつけた。) コーヒー牛乳を飲みきったころ、ザビエルの姿を見つけた。 (きたくするせいとたちのあいさつに、「まっすぐかえれよ」などとかえしながら) 帰宅する生徒たちの挨拶に、「まっすぐ帰れよ」などと返しながら (まちのほうへあしをむけている。) 街の方へ足を向けている。 (わたしはそのせなかがみえなくなるまえにこうもんからでて、そっとあとをつける。) 私はその背中が見えなくなる前に校門から出て、そっと後をつける。 (びこうだ。けいじどらまでやっているようなやつ。) 尾行だ。刑事ドラマでやっているようなやつ。 (そんなひまなことをしているのにはすこしりゆうがあった。) そんな暇なことをしているのには少し理由があった。 (あのしょくいんしつによびだされたときいらい、わたしはざびえるにかなりまーくされていた。) あの職員室に呼び出された時以来、私はザビエルにかなりマークされていた。 (にしゅうかんとたたないあいだに、まちでにかいもでくわしたのだ。) 二週間と経たない間に、街で二回も出くわしたのだ。 (とくにうしろめたいこともないのに、そのたびによくわからないろんぽうの) 特に後ろめたいこともないのに、そのたびによく分からない論法の (せっきょうをされてきたくさせられた。それだけではなく、こうないでもなにかにつけて) 説教をされて帰宅させられた。それだけではなく、校内でもなにかにつけて (こえをかけてきて、じつにうっとうしかった。) 声をかけてきて、実にうっとうしかった。 (さいわいたばこはひかえるようにしていたので、そちらはなんとかばれては) 幸いタバコは控えるようにしていたので、そちらはなんとかバレては (いないようだったが、その、そこにいてもあんしんができない) いないようだったが、その、そこにいても安心ができない (いきがつまるかんじはすごくふかいだった。) 息が詰まる感じは凄く不快だった。 (そういうしているうちに、わたしはきづいた。) そういうしているうちに、私は気づいた。
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