星が降る夜に、君を想う2

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投稿者投稿者ぴょんころりいいね0お気に入り登録
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(きみがいなくなってから、じゅうねんがたった。) 君がいなくなってから、十年が経った。 (しごとでいやなことがあったひも。) 仕事で嫌なことがあった日も。 (だれかとけんかしたひも。) 誰かと喧嘩した日も。 (うれしいことがあったひも。) 嬉しいことがあった日も。 (わたしはよるになると、すこしだけそらをみあげた。) 私は夜になると、少しだけ空を見上げた。 (そしてまいとし、おなじことをおもう。) そして毎年、同じことを思う。 (「ことしもきたよ」) 「今年も来たよ」 (「ちゃんといきてるよ」) 「ちゃんと生きてるよ」 (「きみがいなくなったあとも、わたしはちゃんとわらえてるよ」) 「君がいなくなった後も、私はちゃんと笑えてるよ」 (むかしは、きみをわすれてしまうことがこわかった。) 昔は、君を忘れてしまうことが怖かった。
(こえも。) 声も。 (わらいかたも。) 笑い方も。 (いっしょにあるいたみちも。) 一緒に歩いた道も。 (すこしずつきおくがうすれていくことが、うらぎりみたいにおもえていた。) 少しずつ記憶が薄れていくことが、裏切りみたいに思えていた。 (でもいまはちがう。) でも今は違う。 (わすれないことだけが、たいせつにすることじゃない。) 忘れないことだけが、大切にすることじゃない。 (きみとすごしたじかんがあったから、わたしはきょうまであるいてこられた。) 君と過ごした時間があったから、私は今日まで歩いてこられた。 (きみがおしえてくれたことも。) 君が教えてくれたことも。 (きみとみたけしきも。) 君と見た景色も。 (きみがさいごにのこしてくれたことばも。) 君が最後に残してくれた言葉も。
など
(ぜんぶ、わたしのなかにのこっている。) 全部、私の中に残っている。 (だからわたしは、これからもいきていく。) だから私は、これからも生きていく。 (きみのいないせかいを。) 君のいない世界を。 (きみがくれたおもいでをかかえて。) 君がくれた思い出を抱えて。 (そのよるも、わたしはいつものようにほしぞらをみあげた。) その夜も、私はいつものように星空を見上げた。 (すると、ひとつのほしがいままでみたことがないくらいつよくまたたいた。) すると、一つの星が今まで見たことがないくらい強く瞬いた。 (「.....きれい」) 「.....綺麗」 (おもわずつぶやく。) 思わず呟く。 (そして、あのひのことばをおもいだした。) そして、あの日の言葉を思い出した。 (ーーーもしぼくがいなくなっても、よぞらをみればいいよ。) ーーーもし僕がいなくなっても、夜空を見ればいいよ。 (わたしはそらをみながら、すこしだけわらった。) 私は空を見ながら、少しだけ笑った。 (「うん、やっとわかったよ」) 「うん、やっと分かったよ」 (ほしは、いまここにないひかりでも、なんねんもなんじゅうねんもかけてだれかのもとへとどく。) 星は、今ここにない光でも、何年も何十年もかけて誰かのもとへ届く。 (だからきっと、きみがくれたことばもおなじだった。) だからきっと、君がくれた言葉も同じだった。 (あのひのきみは、もうここにはいない。) あの日の君は、もうここにはいない。 (それでも、あのひのきみがのこしたひかりは、) それでも、あの日の君が残した光は、 (じゅうねんたったいまもわたしのなかにある。) 十年経った今も私の中にある。 (わたしはそらをみあげたまま、ちいさくつぶやいた。) 私は空を見上げたまま、小さく呟いた。 (「.....ありがとう」) 「.....ありがとう」 (へんじはなかった。) 返事はなかった。 (ただ、かぜがほおをなでていった。) ただ、風が頬を撫でていった。 (むかしなら、それをきみのへんじだとおもいたかった。) 昔なら、それを君の返事だと思いたかった。 (でもいまは、そうおもわなくてもよかった。) でも今は、そう思わなくてもよかった。 (きみがここにいなくても、わたしはきみをおもえる。) 君がここにいなくても、私は君を想える。 (きみがもうこのそらをみていなくても、) 君がもうこの空を見ていなくても、 (わたしはきみをおもえる。) 私は君を想える。 (それだけでじゅうぶんだった。) それだけで十分だった。 (かえろうとしたそのとき。) 帰ろうとしたその時。 (よぞらのはしを、ひとすじのひかりがしずかにはしった。) 夜空の端を、ひとすじの光が静かに走った。 (わたしはあしをとめた。) 私は足を止めた。
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