小さな魚

(あおいはるのせせらぎを)

青い春の　せせらぎを

(みずをけりしぶきをはね)

水をけり　しぶきをはね

(きらりきらりぎんいろのせをひからせておよいでいる)

きらり　きらり　銀色の　背を光らせて泳いでいる

(あらいなみをこえてきた)

荒い波を　こえてきた

(こごえそうなさむいふゆも)

凍えそうな　寒い冬も

(ひとつひとつこえていけばいつかあえるとしんじていた)

ひとつひとつ　こえていけば　いつか会えると信じていた

(あしたはもっときれいになる)

明日はもっと　きれいになる

(もっとつよくやさしくなる)

もっと強く　やさしくなる

(おとをたててわれていくこおりがじゆうなみずにかわる)

音をたてて割れていく　氷が自由な水にかわる

(きれいになったわたしをつれて)

きれいになった　わたしをつれて

(あいにいきたいひとがいる)

会いに　行きたい人がいる

(はるかなみずのながれをたどり)

はるかな水の　流れをたどり

(いつかあなたにわらいかける)

いつか　あなたに笑いかける

(いまわたしはちいさなさかなだけれど)

今　わたしは小さな魚だけれど

(あなたへとおよいでいく)

あなたへと　泳いでいく

(あなたがただそこにいて)

あなたが　ただそこにいて

(いきているそのことで)

生きている　そのことで

(わたしはきょうもいきていけるひざしにかおをあげていける)

わたしは今日も生きていける　陽射しに顔を上げていける

(あめふるあさにかぜのよふけに)

雨降る朝に　風の夜更けに

(わたしはいつもいのっている)

わたしは　いつも祈っている

(あなたのひたいにかがやくほしが)

あなたの額に　輝く星が

(どんなやみにもかげらぬよう)

どんな闇にも　翳（かげ）らぬよう

(いまわたしはちいさなさかなだけれど)

今　わたしは小さな魚だけれど

(あなたへとおよいでいく)

あなたへと　泳いでいく

(いまわたしはちいさなさかなだけれど)

今　わたしは小さな魚だけれど

(あなたへとおよいでいく)

あなたへと　泳いでいく