透明人間１８号

(はれたそらのあおさだけじゃ)

晴れた空の蒼さだけじゃ

(もはやかばいきれはしなくて)

もはやかばいきれはしなくて

(このままではぼろがでると)

このままではボロが出ると

(くろくそまりいろをしまいこんだ)

黒く染まり色を仕舞いこんだ

(されどくろにみをあずける)

されど黒に身を預ける

(ほどのふところなどなくて)

ほどの懐などなくて

(どちらにせよいさぎよさがもとめられることをしった)

どちらにせよ潔さが求められることを知った

(せいじゃもぼくもどうように)

聖者も僕も同様に

(てらしてくれるのがすくいだよ)

照らしてくれるのが救いだよ

(たいようがてらすあいてえらんだら)

太陽が照らす相手選んだら

(きっとぼくにいろはあたえられない)

きっと僕に色は与えられない

(ただひとつをつらぬくひといくいろにもまみれるひと)

ただ一つを貫く人　幾色にも塗れる人

(それぞれなけなしのただしさを)

それぞれなけなしの　正しさを

(ふりしぼっているのにぼくは)

振り絞っているのに　僕は

(しろとくろのはざまできょうもみごとなまでのはいのいろ)

白と黒の狭間で今日も　見事なまでの灰の色

(なみだひとつこぼしてみても)

涙一つこぼしてみても

(いろはおしえてはくれない)

色は教えてはくれない

(けんじゃもそらもぼんじんも)

賢者も空も凡人も

(それぞれのいろにそまるなか)

それぞれの色に染まる中

(たいようのひかりまとったきみは)

太陽の光纏った君は

(むしょくとうめいにかがやいていた)

無色透明に輝いていた

(なんににもそまらぬように)

何ににも染まらぬように

(なんにでもとけるように)

何にでも溶けるように

(こころとこえとのすきまにはだかでたってられるように)

心と声との隙間に　裸で立ってられるように

(くろはつしろちゃくどんこうにのり)

黒発：白着　鈍行に乗り

(なんまんかいめかのさとがえり)

何万回目かの里帰り

(そのみちすがらのりこんできた)

その道すがら乗り込んできた

(きみにぼくはみつかったんだ)

君に僕は見つかったんだ

(するとはいのいろのぼくをながめきれいといったんだ)

すると灰の色の僕を眺め　綺麗と言ったんだ

(にじのいろをかきまぜるとおなじいろをしていると)

虹の色を掻き混ぜると　同じ色をしていると

(せいじゃのこえがこのぼくの)

聖者の声がこの僕の

(みみにもきこえるのはすくいだよ)

耳にも聞こえるのは救いだよ

(こえがとどくあいてえらんだら)

声が届く相手選んだら

(きっときみとぼくはであえぬまま)

きっと君と僕は出会えぬまま

(なんににもそまらぬように)

何ににも染まらぬように

(いろいろからにげるように)

色々から逃げるように

(これっぽっちのこのぼくに)

これっぽっちのこの僕に

(なにをえらべというのかい)

何を選べというのかい

(ぼくにもなれるかな)

僕にもなれるかな

(なにかきらいというにはなにもしらないから)

何か嫌いというには　何も知らないから

(ぼくにもできるかな)

僕にもできるかな

(このいのちのあいだにすべてのいろをてに)

この命の間に　全ての色を手に

(できるかな)

できるかな

(あいさないでめでよう)

愛さないで　愛でよう

(さぐらないでさがそう)

探らないで　探そう

(かたらないでしゃべろう)

語らないで　喋ろう

(あゆまないであるこう)

歩まないで　歩こう

(あいさないでめでよう)

愛さないで　愛でよう

(かざらないでかざろう)

飾らないで　飾ろう

(かわらないでかえよう)

変わらないで　変えよう

(なくさないですてよう)

失くさないで　捨てよう