面白い話 ~20年後の彼ら~ 第終話-2
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問題文
(ゆっくりとふりかえる。)
ゆっくりと振り返る。
(どらえもん「やあ、のびたくん。ひさしぶり・・・・・・おおきくなったね」)
ドラえもん「やあ、のび太くん。久しぶり……大きくなったね」
(それからすうふんかんのことをのびたはよくおぼえていない。)
それから数分間のことをのび太はよく覚えていない。
(みんなからきくと「こどものようになきじゃくっていた」)
みんなから聞くと「子供のように泣きじゃくっていた」
(「「どらえもん、どらえもん」と)
「『ドラえもん、ドラえもん』と
(なんどもなんどもさけんでいた」とのことだ。)
何度も何度も叫んでいた」とのことだ。
(どうしてもたどりつけなかった、ねこがたろぼっと。)
どうしてもたどり着けなかった、ネコ型ロボット。
(けんきゅうしてもけんきゅうしてもつくることのできなかったむにのともだち。)
研究しても研究しても作ることの出来なかった無二の友達。
(それがどらえもんがかえってきたのだ。)
それが――ドラえもんが帰ってきたのだ。
(どらえもん「やっぱりのびたくんはだめなままだね。)
ドラえもん「やっぱりのび太くんは駄目なままだね。
(きみがしんぱいでたいむぱとろーるのひとにたのんでつれてきてもらったんだ」)
君が心配でタイム・パトロールの人に頼んで連れてきてもらったんだ」
(のびた「そんなこと・・・・・・ないよ。ぼくだってやるときはやるんだ」)
のび太「そんなこと……ないよ。僕だってやるときはやるんだ」
(できすぎ「そうだよ。どらえもん・・・・・・)
出木杉「そうだよ。ドラえもん……
(ぼくらはのびたくんにたくさんたすけられた。のびたくんはすごいよ」)
僕らはのび太くんにたくさん助けられた。のび太くんはすごいよ」
(どらえもん「それでも、まだまだだめだよ」)
ドラえもん「それでも、まだまだ駄目だよ」
(どらえもんはくすくすとわらう。)
ドラえもんはクスクスと笑う。
(そして、こごえでのびたにいった。)
そして、小声でのび太に言った。
(どらえもん「のびたくん、まだしずかちゃんに)
ドラえもん「のび太くん、まだしずかちゃんに
(”すき”っていってないでしょ?」)
"好き"って言ってないでしょ?」
(のびた「うん・・・・・・」)
のび太「うん……」
(どらえもん「だめだなぁ。きみがしずかちゃんとけっこんしないと、)
ドラえもん「だめだなぁ。君がしずかちゃんと結婚しないと、
(ぼくはつくられないんだよ?」)
僕は作られないんだよ?」
(のびた「え・・・・・・?それってどういうこと?」)
のび太「え……? それってどういうこと?」
(どらえもん「きみにはいってなかったけどね・・・・・・)
ドラえもん「君には言ってなかったけどね……
(ぼくらねこがたろぼっとがどうして)
僕らネコ型ロボットがどうして
(こういうでざいんになったかわかるかい?」)
こういうデザインになったかわかるかい?」
(のびたはくびをよこにふる。かんがえたこともなかった。)
のび太は首を横に振る。考えたこともなかった。
(どらえもん「いまからそれをおしえてあげるよ・・・・・・」)
ドラえもん「今からそれを教えてあげるよ……」
(そういって、どらえもんははなしはじめた。)
そう言って、ドラえもんは話し始めた。
(2049ねん、あるにほんじんがじんこうちのうをゆうするろぼっとのはつめいで)
2049年、ある日本人が人工知能を有するロボットの発明で
(のーべるしょうをじゅしょうすることになる。)
ノーベル賞を受賞することになる。
(おおきなぎじゅつかくしんにつながったそのろぼっとのでざいん。)
大きな技術革新に繋がったそのロボットのデザイン。
(そのいぎょうにけいいをはらって、そのろぼっとのでざいんが)
その偉業に敬意を払って、そのロボットのデザインが
(2112ねんにかいはつされたねこがたろぼっとにさいようされた)
2112年に開発されたネコ型ロボットに採用された――
(のびた「そのにほんじんが、ぼく?でもぼくはじぎょうにしっぱいして)
のび太「その日本人が、僕? でも僕は事業に失敗して
(せわしのだいまでしゃっきんをのこすんじゃ・・・・・・」)
セワシの代まで借金を残すんじゃ……」
(どらえもん「そうだよ。もちろんのーべるしょうを)
ドラえもん「そうだよ。もちろんノーベル賞を
(とるのはきみじゃない・・・・・・できすぎくんさ」)
とるのは君じゃない……出木杉くんさ」
(のびた「できすぎくんが?」)
のび太「出木杉くんが?」
(どらえもん「そう。きみとしずかちゃんがけっこんしたよくねん、)
ドラえもん「そう。君としずかちゃんが結婚した翌年、
(できすぎくんにさそわれてきみたちはふたたびきょうどうけんきゅうをはじめる。)
出木杉くんに誘われて君たちは再び共同研究を始める。
(けんきゅうのためにきみはたがくのしゃっきんをするんだけど、)
研究のために君は多額の借金をするんだけど、
(かんせいまぢかについにしきんがそこをついて、かいはつからてをひくんだ。)
完成間近についに資金が底を付いて、開発から手を引くんだ。
(でもできすぎくんはそのあともけんきゅうをつづけ、きみがてをひいた2ねんご、)
でも出木杉くんはその後も研究を続け、君が手を引いた2年後、
(かっきてきなaiとうさいこみゅにけーしょんろぼっと「dora-121」がかんせい。)
画期的なAI搭載コミュニケーションロボット『DORA-121』が完成。
(のーべるしょうをじゅしょうするのさ。その「dora-121」は)
ノーベル賞を受賞するのさ。その『DORA-121』は
(きみたちがつくってるこのdr-1のでざいんをそのままつかってる・・・・・・)
君たちが作ってるこのDR-1のデザインをそのまま使ってる……
(もう、あとはわかるよね?」)
もう、あとはわかるよね?」
(のびた「あのろぼっとが・・・・・・。でも、)
のび太「あのロボットが……。でも、
(ぼくとしずかちゃんがけっこんしないとどらえもんができないってのは?」)
僕としずかちゃんが結婚しないとドラえもんが出来ないってのは?」
(どらえもん「もしできすぎくんとしずかちゃんがけっこんしたら、)
ドラえもん「もし出木杉くんとしずかちゃんが結婚したら、
(きみはできすぎくんときょうどうけんきゅうができるかい?)
君は出木杉くんと共同研究が出来るかい?
(できすぎくんとかおをあわせたくなくて、ことわるんじゃない?」)
出木杉くんと顔を合わせたくなくて、断るんじゃない?」
(のびた「・・・・・・そんなきがする」)
のび太「……そんな気がする」
(どらえもん「そこへいくとできすぎくんはにんげんができてるから、)
ドラえもん「そこへいくと出木杉くんは人間が出来てるから、
(きみとしずかちゃんがけっこんしてもしっとせずにのびたくんを)
君としずかちゃんが結婚しても嫉妬せずにのび太くんを
(けんきゅうにさそってくれるってわけ。)
研究に誘ってくれるってわけ。
(できすぎくんひとりじゃのーべるしょうまではいけないからね」)
出木杉くん一人じゃノーベル賞まではいけないからね」