CURE①
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問題文
(あるさつじんじけんげんばであるほてるに、けいじのたかべは)
ある殺人事件現場であるホテルに、刑事の高部は
(そうさのためあしをはこんだ。とうちゃくすると、すでにげんばけんしょう)
捜査のため足を運んだ。到着すると、すでに現場検証
(がはじまっておりせいさんなじけんのようそうをへやのありさまが)
が始まっており凄惨な事件の様相を部屋の有様が
(ものがたっている。ひがいしゃはじょせい。しょうふである。じけんはっせい)
物語っている。被害者は女性。娼婦である。事件発生
(からはっけんとうじすでにかのじょのいしきはなく、べっどにあおむけ)
から発見当時すでに彼女の意識はなく、ベッドに仰向け
(になったじょうたいではっけんされた。いたいのくびすじにははものに)
になった状態で発見された。遺体の首筋には刃物に
(よるおおきなきりきずがあり、きずぐちがxじじょうになっている)
よる大きな切り傷があり、傷口がX字状になっている
(とくちょうてきなものだった。このひのじけんのようぎしゃはじけん)
特徴的なものだった。この日の事件の容疑者は事件
(がおきたどうほてるですぐにはっけんされ、みがらがかくほ)
が起きた同ホテルですぐに発見され、身柄が確保
(されている。この2かげつのあいだで、こんかいとどうようにとくちょうてき)
されている。この2か月の間で、今回と同様に特徴的
(なきりきずがひがいしゃのいたいにみられるじけんは、ほかに2けん)
な切り傷が被害者の遺体に見られる事件は、他に2件
(おきていてこんかいで3けんめだった。しかしそれぞれ)
起きていて今回で3件目だった。しかしそれぞれ
(さつがいしたはんにんはほか2けんのじけんでもそれぞれべつのにんげんが)
殺害した犯人は他2件の事件でもそれぞれ別の人間が
(ちょくせつてきなはんにんとしてあげられている。はんこうげんばの)
直接的な犯人として挙げられている。犯行現場の
(ようそうやてぐちはどうようであるのに、それぞれのじけんの)
様相や手口は同様であるのに、それぞれの事件の
(ようぎしゃどうしにはせってんがまったくなく、てぐちだけがこくじ)
容疑者同士には接点が全くなく、手口だけが酷似
(するというふかかいなものだった。たかべにはなかのいい)
するという不可解なものだった。高部には仲のいい
(ゆうじんでせいしんかいのさくまというおとこがいて、そうさの)
友人で精神科医の佐久間という男がいて、捜査の
(さんこうとしてよくはなしをきくなかだった。このじけんにかんしても、)
参考としてよく話を聞く仲だった。この事件に関しても、
(それぞれのじけんのようぎしゃのとりしらべちゅうのようすをうつした)
それぞれの事件の容疑者の取り調べ中の様子を映した
(びでおをみせ、かれらにせいしんてきないじょうやかんけいせいが)
ビデオを見せ、彼らに精神的な異常や関係性が
(みられないかみてもらっていた。しかしさくまの)
見られないか見てもらっていた。しかし佐久間の
(みたてでは、ようぎしゃたちにせいしんてきないじょうやかんれんせいは)
見立てでは、容疑者たちに精神的な異常や関連性は
(みられず、たんじゅんにまがさしたことによりはんこうにおよんだ。)
見られず、単純に魔がさしたことにより犯行に及んだ。
(じけんのてぐちがどうようにみられるのはあくまでぐうぜんであると)
事件の手口が同様に見られるのはあくまで偶然であると
(かんがえていた。いっぽうでたかべはぐうぜんにしてはできすぎて)
考えていた。一方で高部は偶然にしては出来過ぎて
(いるのではとけいじのかんもありなっとくできないでいた。)
いるのではと刑事の勘もあり納得できないでいた。
(たかべにはつまがいたが、こころをやんでしまっていてかれの)
高部には妻がいたが、心を病んでしまっていて彼の
(しんぱいごとのたねだった。つまのびょういんもさくまのしょうかいした)
心配事の種だった。妻の病院も佐久間の紹介した
(ところだったが、しょうじょうのかいぜんはみられなかった。)
ところだったが、症状の改善は見られなかった。
(かのじょをみまうばすのなかでたかべはいつもゆううつだった。)
彼女を見舞うバスの中で高部はいつも憂鬱だった。
(いっぽう、ひとけのないしらさとかいがんではきょうしのはなおかというおとこが)
一方、人気のない白里海岸では教師の花岡という男が
(きおくそうしつのおとことであっていた。はなおかはかれのもちものから、)
記憶喪失の男と出会っていた。花岡は彼の持ち物から、
(かれのなまえが「まみや」だということをしりじたくへと)
彼の名前が「間宮」だということを知り自宅へと
(まねいた。こまったひとをほっておけないせいかくのせいだ。)
招いた。困った人を放っておけない性格のせいだ。
(じたくにまねいてわかったことは、まみやはかこのきおくを)
自宅に招いてわかったことは、間宮は過去の記憶を
(なくしているだけではなくいまじぶんがはなしていることも、)
失くしているだけではなく今自分が話していることも、
(ほどなくしてわすれてしまうらしい。まみやはたばこにひをつけ、)
程なくして忘れてしまうらしい。間宮は煙草に火をつけ、
(いっぷくしながらはなおかとはなしていました。しだいにはなしは)
一服しながら花岡と話していました。次第に話は
(まみやのことではなくはなおかのわだいになり、はなおかも)
間宮のことではなく花岡の話題になり、花岡も
(かれのといかけにこたえていきました。かたりかけは)
彼の問いかけに答えていきました。語りかけは
(らいたーのひをながめながらすすんでいきます。)
ライターの火を眺めながら進んでいきます。
(そしてわだいははなおかのつまのことに。はなおかはかれにつまのことを)
そして話題は花岡の妻のことに。花岡は彼に妻のことを
(とわれ、ぴんくのねぐりじぇをきていることをはなします。)
問われ、ピンクのネグリジェを着ていることを話します。
(するとはっといしきがきりかわり・・・かれのつまはいたいで)
するとハッと意識が切り替わり…彼の妻は遺体で
(はっけんされました。かわりはてたつまののどもとにはおおきな)
発見されました。変わり果てた妻の喉元には大きな
(xのきりきず。つまをてにかけたのははなおかでした。)
Xの切り傷。妻を手にかけたのは花岡でした。