仄暗い水の底から①
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問題文
(よしみはおさないころ、しごとにいそがしいははにそだてられてこどくな)
淑美は幼い頃、仕事に忙しい母に育てられて孤独な
(しょうじょじだいをすごしました。そのためこうふくなかていを)
少女時代を過ごしました。そのため幸福な家庭を
(もつことにあこがれていました。しかしじっさいにはおっと・はまだと)
持つことに憧れていました。しかし実際には夫・浜田と
(うまくいかず、けっこん6ねんめにしてかていさいばんしょでりこんの)
うまくいかず、結婚6年めにして家庭裁判所で離婚の
(ちょうていちゅうです。5さいになるひとりむすめ・いくこのしんけんをめぐって)
調停中です。5歳になる一人娘・郁子の親権をめぐって
(はまだとあらそっていました。さいばんですこしでもゆうりにしようと、)
浜田と争っていました。裁判で少しでも有利にしようと、
(よしみはちゅうこのぶんじょうまんしょんをこうにゅうし、みつばしゅっぱん)
淑美は中古の分譲マンションを購入し、三ツ葉出版
(へのしゅうしょくをきめます。しかしいくことくらしはじめた)
への就職を決めます。しかし郁子と暮らし始めた
(よしみは、まんしょんできみょうなことになやまされはじめます。)
淑美は、マンションで奇妙なことに悩まされ始めます。
(まんしょんのへやは3かいにもかかわらず、とうしょから)
マンションの部屋は3階にもかかわらず、当初から
(しっけがひどいところでした。くらしはじめてすぐ、しんしつの)
湿気がひどいところでした。暮らし始めてすぐ、寝室の
(てんじょうからあまもりがはじまります。かんりにんやふどうさんやに)
天井から雨漏りが始まります。管理人や不動産屋に
(いってもききいれられません。ずつうやくをふくようしようと)
言っても聞き入れられません。頭痛薬を服用しようと
(すいどうすいのじゃぐちをひらくと、みずにかみのけが1ぽんはいっている)
水道水の蛇口を開くと、水に髪の毛が1本入っている
(こともありました。305ごうしつにすむよしみは、あまもりが)
こともありました。305号室に住む淑美は、雨漏りが
(ひどいのでまうえの405ごうしつをほうもんしましたがるすです。)
ひどいので真上の405号室を訪問しましたが留守です。
(しかしなにかがいるけはいはしました。おなじころ、ちかくの)
しかし何かがいる気配はしました。同じ頃、近くの
(ようちえんにかよいはじめたいくこのようすもきみょうになります。)
幼稚園に通い始めた郁子の様子も奇妙になります。
(ひとりごとがおおくなり、おくじょうでみつけたうさぎの)
ひとりごとが多くなり、屋上で見つけたうさぎの
(ぷりんとされたあかいばっぐにしゅうちゃくしました。)
プリントされた赤いバッグに執着しました。
(きんじょのでんちゅうのはりがみで、よしみはいくことおなじようちえんに)
近所の電柱の貼り紙で、淑美は郁子と同じ幼稚園に
(かようしょうじょ・みつこが2ねんまえにゆくえふめいになったことを)
通う少女・美津子が2年前に行方不明になったことを
(しります。みつこはまうえのかいにすんでいたじゅうにんでした。)
知ります。美津子は真上の階に住んでいた住人でした。