ガリバー旅行記 36 馬の国の旅

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原作 スウィフト
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(あしげは、どこまでもあるいていきました。) あし毛は、どこまでも歩いて行きました。 (うまはあしがはやいので、わたしはどうしてもおくれてしまいます。) 馬は足が速いので、私はどうしても遅れてしまいます。 (そのたび、あしげはわたしをはげますらしく「ふうん、ふうん・・・」というこえをだし) そのたび、あし毛は私を励ますらしく「フウン、フウン・・・」という声を出し (ときどき、たちどまってわたしをやすませたりしました。) 時々、立ち止まって私を休ませたりしました。 (そのようすからして、このうまはまほうつかいではないとしても) その様子からして、この馬は魔法使いではないとしても (ただのうまではありません。) ただの馬ではありません。 (それに、このしまには、あのかいぶつとうましかすんでいないのでしょうか。) それに、この島には、あの怪物と馬しか住んでいないのでしょうか。 (あしげとあるくあいだ、わたしはとうとう、ひとりのにんげんのすがたもみることができませんでした) あし毛と歩く間、私はとうとう、一人の人間の姿も見ることができませんでした (あしげはようやく、いっけんのいえのまえでとまりました。) あし毛はようやく、一軒の家の前で止まりました。 (ひくいわらぶきやねのきのいえです。) 低いわらぶき屋根の木の家です。 ((さあ、はいりなさい)あしげにてまねきされ、はいってみておどろきました。) (さあ、入りなさい)あし毛に手招きされ、入ってみて驚きました。 (かべぎわに、かいばだなやかいばおけがずらりとならんださいしょのへやでは) 壁際に、飼い葉棚や飼い葉おけがずらりと並んだ最初の部屋では (たくさんのうまたちが、かいばをきざんだり、みずをくんだりして) たくさんの馬たちが、飼い葉を刻んだり、水を汲んだりして (いそがしくはたらいていたのです。) 忙しく働いていたのです。 ((うまをこんなふうにかいならすとは、かいぬしはいったいどんなにんげんだろう)) (馬をこんなふうに飼いならすとは、飼い主は一体どんな人間だろう) (と、わたしはおもい、にんげんにあえるのをきたいしていました。) と、私は思い、人間に会えるのを期待していました。 (だいいち、みちでにんげんのあしあとをみています。) 第一、道で人間の足跡を見ています。 (ところが、あしげにあんないされて、いちばんおくのへやへとおされたとき) ところが、あし毛に案内されて、一番奥の部屋へ通された時 (そのきたいはみごとにきえうせました。) その期待は見事に消え失せました。 (あんないされたそのへやには、きれいなむしろのうえに、) 案内されたその部屋には、きれいな筵の上に、
など
(つややかなけなみのりっぱなおすうまとめすうまと、にとうのこうまが) つややかな毛並みの立派な牡馬と雌馬と、二頭の子馬が (あとあしをまげて、きちんとすわっていました。) 後足を曲げて、きちんと座っていました。 (どうやら、このいえのしゅじんとおくさんとこどもたちのようです。) どうやら、この家の主人と奥さんと子供たちのようです。 (かれらは、あしげからなにかはなしをききながら、わたしをじろじろとながめ) 彼らは、あし毛から何か話を聞きながら、私をじろじろと眺め (おくさんうまはしきりに「やふー、やふー」とあのことばをくりかえしました。) 奥さん馬はしきりに「ヤフー、ヤフー」とあの言葉を繰り返しました。 (やふー。それがなんのことかは、すぐにわかりました。) ヤフー。それが何のことかは、すぐにわかりました。 (わたしはしゅじんいっかといっしょに、なかにわへつれていかれたのですが) 私は主人一家と一緒に、中庭へ連れて行かれたのですが (そこには、わたしがしまでさいしょにあった、あのいやなかいぶつがさんびきいました。) そこには、私が島で最初に会った、あの嫌な怪物が三匹いました。 (かれらは、くびをふじづるでつながれ、くさのねっこやくさったようなにくを) 彼らは、首を藤づるでつながれ、草の根っこや腐ったような肉を (まえあしでつかんでがつがつとたべていました。) 前足でつかんでがつがつと食べていました。 (やふーとは、このかいぶつのことであり、わたしがにんげんのあしあととおもったのは) ヤフーとは、この怪物のことであり、私が人間の足跡と思ったのは (やふーのあしあとで、うまたちはわたしがやふーとおなじしゅるいだとおもったらしいのです。) ヤフーの足跡で、馬たちは私がヤフーと同じ種類だと思ったらしいのです。 (そのしょうこに、しゅじんたちはやふーをいっぴき、わたしのそばへつれてこさせ) その証拠に、主人たちはヤフーを一匹、私のそばへ連れてこさせ (わたしをならべてみくらべました。) 私を並べて見比べました。 (つくづくとみるにつけ、やふーはまったくみにくいいきものでした。) つくづくと見るにつけ、ヤフーは全く醜い生き物でした。 (おちくぼんだめ、ぶあついくちびる、どすぐろいはだ、のびほうだいのけ、それにいやなにおい。) 落ちくぼんだ目、分厚い唇、どす黒い肌、伸び放題の毛、それに嫌な匂い。 (こんなかいぶつとおなじだとおもわれるのは、たいへんめいわくですが、) こんな怪物と同じだと思われるのは、大変迷惑ですが、 (ざんねんながらやふーは、ぜんたいのかたちがにんげんとあまりちがっていないのです。) 残念ながらヤフーは、全体の形が人間とあまり違っていないのです。 (わたしじしん、あしあとをまちがえたくらいですから、) 私自身、足跡を間違えたくらいですから、 (どうしゅるいとおもわれてもしかたありません。) 同種類と思われても仕方ありません。 (あしげが、やふーとおなじたべものの、くさのねっこやくさったにくをもってきて) あし毛が、ヤフーと同じ食べ物の、草の根っこや腐った肉を持ってきて (たべろとおしつけましたが、わたしがかおをそむけると、) 食べろと押し付けましたが、私が顔をそむけると、 (どうやら、やふーとすこしちがうとわかったようです。) どうやら、ヤフーと少し違うとわかったようです。 (あしげは、ひづめでわたしのくちもとをさし、) あし毛は、ひづめで私の口元をさし、 ((なにがほしいか?)とたずねるみぶりをしました。) (何が欲しいか?)と尋ねる身振りをしました。 (ちょうどよく、そのとき、なかにわのさくのむこうを、めうしがとおったので) ちょうどよく、その時、中庭の柵の向こうを、牝牛が通ったので (わたしはそれをゆびさし、ちちをしぼるかっこうをしてみせました。) 私はそれを指さし、乳を搾る格好をして見せました。 (すると、あしげは、しゅじんになにかいい、わたしをまたいえのなかへつれていきました。) すると、あし毛は、主人に何か言い、私をまた家の中へ連れて行きました。 (いえのなかには、みるくがいっぱいはいったうつわが、いくつもならんでいて) 家の中には、ミルクがいっぱい入った器が、いくつも並んでいて (すっかりのどがかわいていたわたしは、それをのんだとき、) すっかりのどが渇いていた私は、それを飲んだ時、 (いきかえったようなきがしました。) 生き返ったような気がしました。
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