家なき子 13
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問題文
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(やっとあさになりました。ゆきがふったあとのすばらしいおてんきでした。)
やっと朝になりました。雪が降った後の素晴らしいお天気でした。
(でも、じょりくーるのからだはいくらあたためても、ふるえがとまりません。)
でも、ジョリ・クールの体はいくら温めても、震えが止まりません。
(「むらへでよう。ここにいてはじょりくーるがしんでしまう」)
「村へ出よう。ここにいてはジョリ・クールが死んでしまう」
(びたりすじいさんはそういうと、じょりくーるをもうふでしっかりつつんで)
ビタリス爺さんはそう言うと、ジョリ・クールを毛布でしっかり包んで
(うわぎのしたにいれました。)
上着の下に入れました。
(こやをでてさんじゅっぷんほどあるくと、ひろいみちにでました。)
小屋を出て三十分ほど歩くと、広い道に出ました。
(そこをどんどんあるいていくと、むこうからにばしゃがやってきました。)
そこをどんどん歩いて行くと、向こうから荷馬車がやってきました。
(「いちばんちかいむらまで、どのくらいありますか」おじいさんがたずねると)
「一番近い村まで、どのくらいありますか」お爺さんが尋ねると
(「いちじかんくらいでいけますよ」と、にばしゃをひいていたひとはおしえてくれました。)
「一時間くらいで行けますよ」と、荷馬車を引いていた人は教えてくれました。
(それをきいて、ぼくたちはほっとしましたが、)
それを聞いて、僕たちはほっとしましたが、
(ゆきのつもったみちをあるいていくのはたいへんでした。)
雪の積もった道を歩いて行くのは大変でした。
(「じょりくーるはどう?」きになって、ぼくがおじいさんにきくと)
「ジョリ・クールはどう?」気になって、僕がお爺さんに聞くと
(「ずっとふるえっぱなしだよ」と、しんぱいそうにおじいさんはいいました。)
「ずっと震えっぱなしだよ」と、心配そうにお爺さんは言いました。
(やがて、さかのしたにまっしろいやねがいくつもみえてきました。)
やがて、坂の下に真っ白い屋根がいくつも見えてきました。
(もうすぐむらでした。ぼくたちはむらにつくと、いつでもいちばんちいさなやどやを)
もうすぐ村でした。僕たちは村に着くと、いつでも一番小さな宿屋を
(さがしてとまりましたが、そのひ、おじいさんはりっぱなやどやにはいっていき)
探して止まりましたが、その日、お爺さんは立派な宿屋に入っていき
(やどやのしゅじんに「だんろのあるへやにとめてほしい」とたのみました。)
宿屋の主人に「暖炉のある部屋に泊めてほしい」と頼みました。
(しゅじんはみすぼらしいびたりすじいさんのみなりをみて、)
主人はみすぼらしいビタリス爺さんの身なりを見て、
(さいしょはばかにしていましたが、おじいさんのくちのききかたがりっぱなので)
最初は馬鹿にしていましたが、お爺さんの口の利き方が立派なので
(おてつだいに、よいへやへあんないするようにいいつけました。)
お手伝いに、良い部屋へ案内するように言いつけました。
など
(ぼくたちがへやにはいると、おじいさんは、さっそくぼくにいいつけました。)
僕たちが部屋に入ると、お爺さんは、さっそく僕に言いつけました。
(「すぐにべっどにはいって、ねていなさい」「ぼく、ねむくなんかないよ」)
「すぐにベッドに入って、寝ていなさい」「僕、眠くなんかないよ」
(「いいから、はやくしなさい」そして、おじいさんははねぶとんを)
「いいから、早くしなさい」そして、お爺さんは羽根布団を
(ぼくのあごまでかけてくれました。)
僕の顎までかけてくれました。
(それから、おじいさんはじょりくーるをだんろのひであたためていましたが)
それから、お爺さんはジョリ・クールを暖炉の火であたためていましたが
(「どうだ、あたたまったかね?」と、ぼくにききました。)
「どうだ、温まったかね?」と、僕に聞きました。
(「あつくて、いきがつまりそう」ぼくがこたえると)
「暑くて、息がつまりそう」僕が答えると
(「それでよし」といって、じょりくーるをぼくのべっどにいれ)
「それでよし」と言って、ジョリ・クールを僕のベッドに入れ
(しっかりむねにだいているようにと、ぼくにいいつけました。)
しっかり胸に抱いているようにと、僕に言いつけました。
(それから、おじいさんはだいどころにおりていって、あたたかいさとういりのぶどうしゅを)
それから、お爺さんは台所におりて行って、暖かい砂糖入りの葡萄酒を
(もってくると、それをすぷーんでじょりくーるにのませようとしました。)
持ってくると、それをスプーンでジョリ・クールに飲ませようとしました。
(ところが、じょりくーるは、どうしてものもうとしません。)
ところが、ジョリ・クールは、どうしても飲もうとしません。
(そして、かたてをべっどからだして、なにかいいたそうにおじいさんのかおをみました。)
そして、片手をベッドから出して、何か言いたそうにお爺さんの顔を見ました。
(おじいさんは、ぼくにいいました。「じょりくーるはね、まえにはいえんになって)
お爺さんは、僕に言いました。「ジョリ・クールはね、前に肺炎になって
(うでからちをとってもらって、なおったことがあるんだ。)
腕から血を取ってもらって、治ったことがあるんだ。
(それでこんども、うでのちをとってくれといっているんだ。かわいそうに」)
それで今度も、腕の血を取ってくれと言っているんだ。かわいそうに」
(それから、おじいさんは「いしゃをよんでくるから、おまえはこのぶどうしゅをのんで)
それから、お爺さんは「医者を呼んでくるから、お前はこの葡萄酒を飲んで
(まっていなさい」といいました。)
待っていなさい」と言いました。
(しばらくすると、おじいさんはめがねをかけたおいしゃさんをつれてもどってきました。)
しばらくすると、お爺さんは眼鏡をかけたお医者さんを連れて戻ってきました。
(おじいさんは、さるのびょうきではきてくれないとおもって、いいかげんなことをいって)
お爺さんは、猿の病気では来てくれないと思って、いい加減なことを言って
(おいしゃさんをつれてきたのです。)
お医者さんを連れてきたのです。
(おいしゃさんは、べっどのなかであつさのためにまっかになっている)
お医者さんは、ベッドの中で暑さの為に真っ赤になっている
(ぼくのひたいにてをあてました。)
僕の額に手を当てました。
(「ぼくはびょうきじゃありません」あわてて、ぼくはいいました。)
「僕は病気じゃありません」慌てて、僕は言いました。
(「せんせいにみてもらいたのは、これなんです」)
「先生に診てもらいたのは、これなんです」
(べっどのなかから、じょりくーるをひきだしてみせると、)
ベッドの中から、ジョリ・クールをひきだして見せると、
(おいしゃさんはおこったようなかおつきをして、へやをでてゆこうとしました。)
お医者さんは怒ったような顔つきをして、部屋を出て行こうとしました。
(すると、びたりすじいさんはじょりくーるがびょうきになったわけをはなし)
すると、ビタリス爺さんはジョリ・クールが病気になった訳を話し
(「せんせい、どうかこのりこうなさるをなおしてあげてください。)
「先生、どうかこの利口な猿を治してあげてください。
(せんせいしかなおせるひとはおりませんので・・・」と、いっしょうけんめいにたのみました。)
先生しか治せる人はおりませんので・・・」と、一生懸命に頼みました。
(すると、おいしゃさんもやっときげんをなおして、じょりくーるをみてくれました。)
すると、お医者さんもやっと機嫌を直して、ジョリ・クールを診てくれました。
(そのあいだじょりくーるは、にんぎょうのようにおとなしくしていました。)
その間ジョリ・クールは、人形のようにおとなしくしていました。
(「はいえんになりかかっています」と、おいしゃさんはいいました。)
「肺炎になりかかっています」と、お医者さんは言いました。
(それから、おいしゃさんはじょりくーるのうでからちをとり、むねにしっぷをすると)
それから、お医者さんはジョリ・クールの腕から血をとり、胸にシップをすると
(くすりをおいてかえっていきました。)
薬を置いて帰って行きました。
(それからまいにち、ぼくはじょりくーるをかんびょうしました。)
それから毎日、僕はジョリ・クールを看病しました。
(じょりくーるはぼくをみると、とてもうれしそうなかおをしました。)
ジョリ・クールは僕を見ると、とても嬉しそうな顔をしました。
(なんにちかすると、じょりくーるはくるしそうに)
何日かすると、ジョリ・クールは苦しそうに
(ごほんごほんとせきをするようになりました。)
ゴホンゴホンと咳をするようになりました。
(ぼくがかわいそうになってあめをかってやると、ぬけめのないじょりくーるは)
僕が可哀想になって飴を買ってやると、抜け目のないジョリ・クールは
(あめをもらおうとおもって、わざとせきをしました。)
飴をもらおうと思って、わざと咳をしました。
(ぼくがあめをやらないと、こしをおり、おなかにてをあてて)
僕が飴をやらないと、腰を折り、お腹に手を当てて
(ありったけのちからをだしてせきをします。)
ありったけの力を出して咳をします。
(そして、しまいにはせきをしすぎて、いきができなくなってしまいました。)
そして、しまいには咳をしすぎて、息ができなくなってしまいました。
(びたりすじいさんは、これまでなんでもひとりできめて、)
ビタリス爺さんは、これまで何でも一人で決めて、
(ぼくにそうだんしたことはありませんでした。)
僕に相談したことはありませんでした。
(それで、おじいさんがいくらおかねをもっているのか、)
それで、お爺さんがいくらお金を持っているのか、
(ぼくにはさっぱりわかりませんでした。)
僕にはさっぱりわかりませんでした。
(ただいちど、おじいさんが、ぼくにひつじのかわのうわぎをかってくれたとき)
ただ一度、お爺さんが、僕に羊の皮の上着を買ってくれた時
(じぶんのぎんどけいをうったことだけはしっています。)
自分の銀時計を打ったことだけは知っています。