杜子春

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プレイ回数5406難易度(4.2) 797打 長文 かな
芥川龍之介
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 hide o 4726 C++ 4.8 97.4% 168.0 815 21 15 2024/09/22
2 kei 4447 C+ 4.6 94.9% 169.1 794 42 15 2024/11/10
3 tomo 3876 D++ 4.0 96.1% 197.1 796 32 15 2024/08/26

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問題文

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(あるはるのひぐれです。)

或春の日暮です。

(とうのみやこらくようのにしのもんのしたに、)

唐の都洛陽の西の門の下に、

(ぼんやりそらをあおいでいる、ひとりのわかものがありました。)

ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。

(わかものはなをとししゅんといって、もとはかねもちのむすこでしたが、いまはざいさんをつかいつくして、)

若者は名を杜子春といって、元は金持の息子でしたが、今は財産を費い尽して、

(そのひのくらしにもこまるくらい、あわれなみぶんになっているのです。)

その日の暮しにも困る位、憐な身分になっているのです。

(なにしろそのころらくようといえば、てんかにならぶもののない、はんじょうをきわめたみやこですから、)

何しろその頃洛陽といえば、天下に並ぶもののない、繁昌を極めた都ですから、

(おうらいにはまだしっきりなく、ひとやくるまがとおっていました。)

往来にはまだしっきりなく、人や車が通っていました。

(もんいっぱいにあたっている、あぶらのようなゆうひのひかりのなかに、)

門一ぱいに当っている、油のような夕日の光の中に、

(ろうじんのかぶったしゃのぼうしや、とるこのおんなのきんのみみわや、)

老人のかぶった紗の帽子や、土耳古の女の金の耳環や、

(しろうまにかざったいろいとのたづなが、たえずながれていくようすは、)

白馬に飾った色糸の手綱が、絶えず流れて行く容子は、

(まるでえのようなうつくしさです。)

まるで画のような美しさです。

(しかしとししゅんはあいかわらず、もんのかべにみをもたせて、)

しかし杜子春は相変らず、門の壁に身を凭せて、

(ぼんやりそらばかりながめていました。)

ぼんやり空ばかり眺めていました。

(そらには、もうほそいつきが、うらうらとなびいたかすみのなかに、)

空には、もう細い月が、うらうらと靡いた霞の中に、

(まるでつめのあとかとおもうほど、かすかにしろくうかんでいるのです。)

まるで爪の痕かと思う程、かすかに白く浮んでいるのです。

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