人魚姫 4

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投稿者投稿者ローズマリーいいね0お気に入り登録
プレイ回数1689難易度(4.4) 3670打 長文
原作 アンデルセン

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問題文

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(ようやく、まちにまったそのひがきました。)

ようやく、待ちにまったその日が来ました。

(ちいさなにんぎょのおひめさまは、おばあさまからおいわいのはなのかんむりと)

小さな人魚のお姫さまは、おばあさまからお祝いの花の冠と

(みぶんのたかいしるしのかきを、しっぽにはちこもつけてもらって)

身分の高い印の牡蠣を、しっぽに八個もつけてもらって

(わくわくしながらうみのうえにあがっていったのです。)

わくわくしながら海の上にあがって行ったのです。

(うみのうえは、ひがしずんだところでした。)

海の上は、日が沈んだところでした。

(すみれいろのそらにはほしがまたたきはじめ、うみにはたくさんのあかりをともした)

すみれ色の空には星が瞬き始め、海にはたくさんの明かりをともした

(さんぼんますとのおおきなふねがうかんで、なみのうえにもちらちらとひがうつっていました)

三本マストの大きな船が浮かんで、波の上にもちらちらとひがうつっていました

(にんぎょひめは、そのごてんのようなふねのそばまでおよいでいき)

人魚姫は、その御殿のような船のそばまで泳いでいき

(まるいまどからなかをのぞいたのです。)

丸い窓から中を覗いたのです。

(すぐそこに、わかくうつくしいおうじさまがたっていました。)

すぐそこに、若く美しい王子様が立っていました。

(にぎやかなおんがくがきこえ、きかざったにんげんたちがおどっていました。)

にぎやかな音楽が聞こえ、着飾った人間たちが踊っていました。

(こんやは、おうじさまのたんじょうぱーてぃーだったのです。)

今夜は、王子様の誕生パーティーだったのです。

(ぱぱーんとはなびがあがると、にんぎょひめはおどろいてみずにもぐりました。)

パパーンと花火が上がると、人魚姫は驚いて水に潜りました。

(でもすぐまたかおをあげて、おうじさまをみずにはいられませんでした。)

でもすぐまた顔を上げて、王子様を見ずにはいられませんでした。

(おうじさまは、あのだいりせきのしょうねんにそっくりだったのです。)

王子さまは、あの大理石の少年にそっくりだったのです。

(「まあ、なんてすてきなかたでしょう・・・」)

「まあ、なんて素敵なかたでしょう・・・」

(よがふけてふねのあかりもきえました。)

夜がふけて船の明かりも消えました。

(それでも、にんぎょひめはふねのそばからはなれませんでした。)

それでも、人魚姫は船のそばから離れませんでした。

(そのうち、きゅうにいなびかりがしてかみなりがなりひびき、おおあらしがやってきました。)

そのうち、急に稲光がして雷が鳴り響き、大嵐がやってきました。

(やまのようなおおなみとあめかぜが、うなりをあげておそいかかりました。)

山のような大波と雨風が、うなりを上げて襲い掛かりました。

など

(ふねはぎしぎしひめいをあげてかたむき、あっというまにまっぷたつになって)

船はギシギシ悲鳴をあげて傾き、あっという間にまっぷたつになって

(おおなみにのまれてしまったのです。)

大波にのまれてしまったのです。

(おひめさまはむちゅうでおうじさまをさがし、あやうくなみにしずむところをみつけて)

お姫さまは夢中で王子様を探し、あやうく波に沈むところを見つけて

(だきしめました。)

抱きしめました。

(おうじさまをしっかりとだいたおひめさまのむねは、)

王子様をしっかりと抱いたお姫様の胸は、

(どきどきといまにもやぶれそうでした。)

どきどきと今にもやぶれそうでした。

(おうじさまはかたくめをとじたまま、ぐったりしています。)

王子さまはかたく目を閉じたまま、ぐったりしています。

(「おうじさま!おうじさま!しなないで!」にんぎょひめはおうじさまをゆさぶりました。)

「王子様!王子様!死なないで!」人魚姫は王子様を揺さぶりました。

(そして、おうじさまのむねにみみをおしあてました。)

そして、王子様の胸に耳を押し当てました。

(「あっ、きこえる!とくとくなってる!よかった!おうじさましっかりして」)

「あっ、聞こえる!トクトクなってる!よかった!王子様しっかりして」

(にんぎょひめはおうじさまのあたまをみずのうえにだしました。)

人魚姫は王子様の頭を水の上に出しました。

(にんげんはみずのなかではいきていられないことをきいていたからです。)

人間は水の中では生きていられないことを聞いていたからです。

(「はやくりくへつれていってあげなければ・・・」)

「早く陸へ連れて行ってあげなければ・・・」

(もしも、にんぎょひめのみつけるのがほんのすこしおそかったら)

もしも、人魚姫の見つけるのがほんの少し遅かったら

(おうじさまはおおなみにのまれたまま、いきてはいなかったでしょう。)

王子さまは大波にのまれたまま、生きてはいなかったでしょう。

(にんぎょひめはふねがしずんで、おうじさまがうみになげだされるのをみたしゅんかん)

人魚姫は船が沈んで、王子様が海に投げ出されるのを見た瞬間

(おもわずにっこりするほどうれしかったのです。)

思わずにっこりするほど嬉しかったのです。

(おうじさまもうみのそこの、にんぎょのおしろへおりてくるとおもったからです。)

王子様も海の底の、人魚のお城へおりてくると思ったからです。

(でも、おしろへくるにんげんは、みんなしんでいます。)

でも、お城へ来る人間は、みんな死んでいます。

(おうじさまだっておしろへくるときは、もういきてはいません。)

王子様だってお城へ来るときは、もう生きてはいません。

(にんぎょひめはそれにきがついたのです。)

人魚姫はそれに気がついたのです。

(にんぎょひめは、りくちにむかってひっしにおよぎながら、)

人魚姫は、陸地に向かって必死に泳ぎながら、

(むねにだいたおうじさまにささやきつづけました。)

胸に抱いた王子様にささやき続けました。

(「おうじさま!しんではいけませんよ!」)

「王子様!死んではいけませんよ!」

(よがあけると、あらしはすっかりおさまりました。)

夜が明けると、嵐はすっかりおさまりました。

(あさひがうみをきんいろにかがやかせてのぼると、おうじさまのほおにも)

朝日が海を金色に輝かせて昇ると、王子様の頬にも

(ほんのりとあかみがさしてきました。)

ほんのりと赤みがさしてきました。

(にんぎょひめは、おうじさまのしろいひたいにそっときすをして)

人魚姫は、王子様の白いひたいにそっとキスをして

(ぬれたかみのけをなでました。)

濡れた髪の毛をなでました。

(そのとき、むこうにりくちがみえてきたのです。)

その時、むこうに陸地が見えてきたのです。

(たかいやまのいただきには、はくちょうがはねをひろげたようにゆきがかがやいています。)

高い山の頂には、白鳥が羽を広げたように雪が輝いています。

(そのしたのかいがんには、うつくしいみどりのもりがひろがり、しろいきょうかいがみえました。)

その下の海岸には、美しい緑の森が広がり、白い教会が見えました。

(にわにはれもんやおれんじのきが、きいろいみをつけ)

庭にはレモンやオレンジの木が、黄色い実をつけ

(きょうかいのまえにはたかいしゅろのきがたっていました。)

教会の前には高い棕櫚の木が立っていました。

(そこはかがみのようにおだやかないりえでした。)

そこは鏡のように穏やかな入り江でした。

(しずかななみが、しろいすなはまにれーすをひろげるように)

静かな波が、白い砂浜にレースを広げるように

(よせたりかえしたりしています。)

寄せたり返したりしています。

(にんぎょひめはおうじさまをだいて、このきしへおよぎつきました。)

人魚姫は王子様を抱いて、この岸へ泳ぎ着きました。

(にんぎょひめは、おうじさまをしろいすなはまにそっとねかせました。)

人魚姫は、王子様を白い砂浜にそっと寝かせました。

(あたまをすこしたかくし、あたたかいおひさまのひかりがよくあたるようにしました。)

頭を少し高くし、あたたかいお日様の光がよく当たるようにしました。

(そして、うつくしいおうじさまのひたいにもういちどきすをし、)

そして、美しい王子様のひたいにもう一度キスをし、

(かみをなでたとき、しろいきょうかいのなかから、かーんかーんとかねがなりひびきました。)

髪をなでた時、白い教会の中から、カーンカーンと鐘が鳴り響きました。

(わかいむすめたちが、はなしをしながらにわにでてきました。)

若い娘たちが、話をしながら庭に出てきました。

(にんぎょひめはいそいでいわのかげにかくれ、おうじさまのそばにひとがちかづくのをみていたのです。)

人魚姫は急いで岩の陰に隠れ、王子様のそばに人が近づくのを見ていたのです。

(まもなく、ひとりのわかいむすめがやってきておうじさまをみつけました。)

まもなく、一人の若い娘がやってきて王子様を見つけました。

(「まあ、おぼれたのかしら・・・。かわいそうに・・・」)

「まあ、溺れたのかしら・・・。かわいそうに・・・」

(むすめがだきおこすと、おうじさまはめをあけました。)

娘が抱き起すと、王子様は目を開けました。

(「ありがとう。ぼくをたすけてくれたのですね」)

「ありがとう。僕を助けてくれたのですね」

(おうじさまはうれしそうにおれいをいいました。)

王子様は嬉しそうにお礼を言いました。

(おうじさまは、にんぎょのおひめさまにたすけられたことなど、すこしもしらないのです。)

王子様は、人魚のお姫様に助けられたことなど、少しも知らないのです。

(にんぎょひめはとてもかなしくなりました。)

人魚姫はとても悲しくなりました。

(きょうかいからひとがでてきて、おうじさまがはこびさられると)

教会から人が出てきて、王子様が運び去られると

(にんぎょひめはうみのおしろへかえっていきました。)

人魚姫は海のお城へ帰っていきました。

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