源氏物語 若菜上「朱雀院の夕霧評」

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1 haruf2 3277 D 3.3 98.4% 350.0 1165 18 19 2024/09/27

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問題文

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(にょうぼうなどは、のぞきてみきこえて「いとありがたくもみえたまふかたち、よういかな」)

女房などは、覗きて見きこえて「いとありがたくも見えたまふ容貌、用意かな」

(「あな、めでた」など、あつまりてきこゆるを、おいしらへるは、)

「あな、めでた」など、集りて聞こゆるを、老いしらへるは、

(「いで、さりとも、かのいんのかばかりにおはせしおんありさまには、)

「いで、さりとも、かの院のかばかりにおはせし御ありさまには、

(えなずらひきこえたまはざめり。いとめもあやにこそきよらにものしたまひしか」)

えなずらひきこえたまはざめり。いと目もあやにこそきよらにものし給ひしか」

(など、いひしろふをきこしめして、「まことに、)

など、言ひしろふを聞こしめして、「まことに、

(かれはいとさまことなりしひとぞかし。いまはまた、そのよにもねびまさりて、)

かれはいとさま異なりし人ぞかし。今はまた、その世にもねびまさりて、

(ひかるとはこれをいふべきにやとみゆるにほひなむ、いとどくははりにたる。)

光るとはこれを言ふべきにやと見ゆる匂ひなむ、いとど加はりにたる。

(うるはしだちて、はかばかしきかたにみれば、いつくしくあざやかに、)

うるはしだちて、はかばかしき方に見れば、いつくしくあざやかに、

(めもおよばぬここちするを、また、うちとけて、たはむれごとをもいひみだれあそべば、)

目も及ばぬ心地するを、また、うちとけて、戯れごとをも言ひ乱れ遊べば、

(そのかたにつけては、にるものなくあいぎやうづき、なつかしくうつくしきことの、)

その方につけては、似るものなく愛敬づき、なつかしくうつくしきことの、

(ならびなきこそ、よにありがたけれ。なにごとにもさきのよおしはかられて、)

並びなきこそ、世にありがたけれ。何ごとにも前の世推し量られて、

(めづらかなるひとのありさまなり。みやのうちにおひいでて、)

めづらかなる人のありさまなり。宮の内に生ひ出でて、

(みかどのかぎりなくかなしきものにしたまひ、さばかりなでかしづき、)

帝王の限りなくかなしきものにしたまひ、さばかり撫でかしづき、

(みにかへておぼしたりしかど、こころのままにもおごらず、ひげして、はたちがうちには、)

身に変へて思したりしかど、心のままにも驕らず、卑下して、二十がうちには、

(なごんにもならずなりにきかし。ひとつあまりてや、さいしゃうにてだいしゃうかけたまへりけむ。)

納言にもならずなりにきかし。一つ余りてや、宰相にて大将かけたまへりけむ。

(それに、これはいとこよなくすすみにためるは、)

それに、これはいとこよなく進みにためるは、

(つぎつぎのこのよのおぼえのまさるなめりかし。まことにさかきかたのざえ、)

次々の子の世のおぼえのまさるなめりかし。まことに賢き方の才、

(こころもちいなどは、これもをさをさおとるまじく、あやまりても、)

心もちゐなどは、これもをさをさ劣るまじく、あやまりても、

(およすけまさりたるおぼえ、いとことなめり」など、めでさせたまふ。)

およすけまさりたるおぼえ、いと異なめり」など、めでさせたまふ。