暗い微睡みの呼ぶほうへ

(うまれてきえるこのせかいは)

生まれて消えるこの世界は

(すてきなものだそうなんだろう)

素敵なものだ そうなんだろう？

(こすればにじんだえんぴつのてで)

擦れば 滲んだ 鉛筆の手で

(ねたみうたがうものすべてをただごみにだすきょうだったな)

妬み疑うもの全てを ただゴミに出す今日だったな

(こころはくうそなみせかけをさがすだけ)

心は 空疎な 見せかけを探すだけ

(ゆえになぜにめがさめる)

故に 何故に 目が覚める？

(くらいまどろみのよぶほうへなにもかもてばなして)

暗い微睡みの呼ぶほうへ 何もかも手放して

(くらいまどろみのよぶほうへきみのよぶほうへあるくだけ)

暗い微睡みの呼ぶほうへ 君の呼ぶほうへ 歩くだけ

(そこのまちがいをなおすならけしごむをかけてしまってよ)

そこの間違いを直すなら 消しゴムをかけてしまってよ

(かすんだよごれとぼくのかおごと)

霞んだ 汚れと ボクの顔ごと

(いきもできないこのせかいは)

息もできないこの世界は

(すてきなものだそうなんだろう)

素敵なものだ そうなんだろう？

(あえなくたやすくだれかとかわるいのち)

敢え無く 容易く 誰かと代わる命

(ゆえにしばるものもない)

故に 縛るものもない

(らくがきでよるをあしらってゆめなかでいきをしている)

落書きで夜をあしらって 夢中で息をしている

(ここじゃないどこかのせかいへ)

ここじゃない何処かの世界へ

(ぼくをかきたしていのるだけ)

ボクを書き足して 祈るだけ

(ひとしくてじゆうなこころことなれどただしいからだ)

等しくて自由な心 異なれど正しい身体

(にじをえがこうとえふでをとって)

虹を描こうと 絵筆を取って

(あれおかしいなくろがでないよ)

あれおかしいな 黒が出ないよ

(したがきのままでうもれているきょうのぼくのいのちにいみはない)

下書きのままで埋もれている 今日のボクの命に意味はない

(それならばいますぐにすぐにけしてしまってよ)

それならば今すぐに すぐに消してしまってよ

(どれだけこころをころした)

どれだけ心を殺した？

(どれだけいろをぬいてきた)

どれだけ色を抜いてきた？

(おわらないあくむをこわしてぼくをつれさってしまって)

終わらない悪夢を壊して ボクを連れ去ってしまって

(くらいまどろみのよぶほうへふかいねむりのはてまで)

暗い微睡みの呼ぶほうへ 深い眠りの果てまで

(このよのおわりからむこうへきみのよぶほうへあるくだけ)

この世の終わりから向こうへ 君の呼ぶほうへ 歩くだけ