南洲翁遺訓〈現代語訳〉14~16

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西郷隆盛の教えです。
ふんわりと現代語に訳しております。
詳しくは大家の翻訳を参照してください。

前半の「1~20」は、主に為政者(上に立つ者)としての訓えが説かれ、
後半の「21~41」は、主に個人の修身についての訓えが説かれています。
個人的には後半の「21~」進めるのがお勧めです。

ローマ字欄に原文を記載してあります。
盛和塾関係の方に是非おすすめです。

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問題文

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(かいけいすいとうは、すべてのせいどのきほんである。)

会計出納は、すべての制度の基本である。

會計出納は制度の由て立つ所ろ、

(しゅじゅのじぎょうはこれがためにせいりつし、)

種々の事業はこれが為に成立し、

百般の事業皆な是れより生じ、

(ちつじょあるこっかをうんえいするうえでのさいじゅうようじこうであるから、)

秩序ある国家を運営する上での最重要事項であるから、

經綸中の樞要なれば、

(よくよくしんちょうにしなければならない。)

よくよく慎重にしなければならない。

愼まずばならぬ也。

(そのほうほうをだんじるならば、しゅうにゅうをよくはあくし、)

その方法を断じるならば、収入をよく把握し、

其大體を申さば、入るを量りて

(そのはんいないでししゅつをおさえる、といういがいにしゅだんはなくきさくなどない。)

その範囲内で支出を抑える、という以外に手段はなく奇策など無い。

出づるを制するの外更に他の術數無し。

(ねんじそうしゅうにゅうのはんいでしゅじゅのじぎょうのよさんをさだめ、)

年次総収入の範囲で種々の事業の予算を定め、

一歳の入るを以て百般の制限を定め、

(かいけいのそうせきにんしゃはいっしんをつくしてこのせいげんをまもり、)

会計の総責任者は一身を尽くしてこの制限を守り、

會計を總理する者身を以て制を守り、

(さだめられたよさんをげんにちょうかしてはならない。)

定められた予算を厳に超過してはならない。

定制を超過せしむ可からず。

(そうではなく、じせいのおもむくままにせいげんをかんまんにして、)

そうではなく、時勢の赴くままに制限を緩慢にして、

否らずして時勢に制せられ、制限を慢にし、

(ひつようだとするししゅつをさきにかんがえ、それにみあったしゅうにゅうをけいさんするならば、)

必要だとする支出を先に考え、それに見合った収入を計算するならば、

出るを見て入るを計りなば、

(けっきょくこくみんからじゅうぜいをしぼりとるほか、ほうほうはなくなってしまうではないか。)

結局国民から重税を搾り取るほか、方法はなくなってしまうではないか。

民の膏血を絞るの外有る間敷也。

(もしそうなれば、たとえじぎょうはいちじすすむようにみえても、)

もしそうなれば、たとえ事業は一時進むように見えても、

然らば假令事業は一旦進歩する如く見ゆる共、

(やがてこくりょくはひへいして、ついにはとりかえしのつかないじたいになるであろう。)

やがて国力は疲弊して、ついには取り返しのつかない事態になるであろう。

國力疲弊して濟救す可からず。

(じょうびするぐんたいのにんずうも、またかいけいよさんのなかでたいしょすべきで、)

常備する軍隊の人数も、また会計予算の中で対処すべきで、

常備の兵數も、亦會計の制限に由る、

(けっしてさいげんなくぐんびをぞうきょうして、きょせいをはるようなまねをしてはならない。)

決して際限なく軍備を増強して、虚勢を張るような真似をしてはならない。

決して無限の虚勢を張る可からず。

(へいしのしきをこぶし、きをふるいたたせてすぐれたぐんたいをつくりあげれば、)

兵士の士気を鼓舞し、気を奮い立たせて優れた軍隊を創り上げれば、

兵氣を鼓舞して精兵を仕立なば、

(たとえへいしのかずはすくなくても、)

たとえ兵士の数は少くても、

兵數は寡くとも、

(がいこくともたいとうにせっしょうでき、あなどりをうけるようなこともないであろう。)

外国とも対等に折衝でき、侮りを受けるような事も無いであろう。

折衝禦侮共に事缺ぐ間敷也。

(どうぎをまもり、はじをしるこころをうしなうようなことがあれば、)

道義を守り、恥を知る心を失うようなことがあれば、

節義廉恥を失て、

など

(こっかをいじすることなどけっしてできない。)

国家を維持することなど決して出来ない。

國を維持するの道決して有らず、

(せいようでもどのくにでも、それはみなおなじことである。)

西洋でもどの国でも、それは皆同じことである。

西洋各國同然なり。

(うえにたつものが、したのものにたいしりえきをうばうようあらそい、ぎのこころをわすれるとき、)

上に立つ者が、下の者に対し利益を奪うよう争い、義の心を忘れる時、

上に立つ者下に臨で利を爭ひ義を忘るゝ時は、

(したのものもまたみなこれにならうようになる。)

下の者もまた皆これに倣うようになる。

下皆な之に倣ひ、

(みんしゅうのこころはたちまちしりしよくにはしりだし、)

民衆の心はたちまち私利私欲にはしりだし、

人心忽ち財利に趨り、

(せけんにはいやしくけちなこころがひにひにまんえんし、)

世間には卑しくケチな心が日に日に蔓延し、

卑吝の情日々長じ、

(どうぎをまもり、はじをしるのせいしんをうしなって)

道義を守り、恥を知るの精神を失って

節義廉恥の志操を失ひ、

(おやこきょうだいのあいだでもきんせんざいさんをあらそい、たがいにたいりつしきゅうしゅうのようになるのである。)

親子兄弟の間でも金銭財産を争い、互いに対立し仇讐のようになるのである。

父子兄弟の間も錢財を爭ひ、相ひ讐視するに至る也。

(このようになりさがったらどうしてくにをいじすることなどできようか。)

このように成り下がったらどうして国を維持することなど出来ようか。

此の如く成り行かば、何を以て國家を維持す可きぞ。

(かつてとくがわしは、ぶしょうのゆうもうなこころをおさえてよのなかをおさめたが、)

かつて徳川氏は、武将の勇猛な心を抑えて世の中を治めたが、

徳川氏は將士の猛き心を殺ぎて世を治めしか共、

(いまはむかしのせんごくじだいのゆうもうなぶしょうよりも、なおいっそうゆうもうしんをふるいおこさなければ、)

今は昔の戦国時代の勇猛な武将よりも、なお一層勇猛心を奮い起さなければ、

今は昔時戰國の猛士より猶一層猛き心を振ひ起さずば、

(こんにちのせかいかっこくとたいじすることはできないであろう。)

今日の世界各国と対峙することは出来無いであろう。

萬國對峙は成る間敷也。

(ふふつせんそうのとき、)

普仏戦争のとき、

普佛の戰、

(ふらんすがさんじゅうまんのへいとさんかげつのしょくりょうがあったにもかかわらずこうふくしたのは、)

フランスが三十万の兵と三ケ月の食糧が在ったにもかかわらず降伏したのは、

佛國三十萬の兵三ヶ月糧食有て降伏せしは、

(あまりにきんせんのそろばんかんじょうにくわしかったがためである、といってわらわれた。)

あまりに金銭のソロバン勘定に詳しかったが為である、といって笑われた。

餘り算盤に精しき故なりとて笑はれき。

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