白痴 2

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坂口安吾の小説。

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問題文

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(このへんはやすあぱーとがりんりつし、)

このへんは安アパートが林立し、

(それらのへやのなんぶんのいちかは)

それらの部屋の何分の一かは

(めかけといんばいがすんでいる。)

妾と淫売が住んでいる。

(それらのおんなたちにはこどもがなく、)

それらの女達には子供がなく、

(また、おのおののへやをきれいにするという)

又、各々の部屋を綺麗にするという

(きょうつうのせいしつをもっているので、)

共通の性質をもっているので、

(そのためにかんりにんによろこばれて、)

そのために管理人に喜ばれて、

(そのしせいかつのらんみゃくさはいとくせいなどは)

その私生活の乱脈さ背徳性などは

(もんだいになったことがいちどもない。)

問題になったことが一度もない。

(あぱーとのはんすういじょうはぐんじゅこうじょうのりょうとなり、)

アパートの半数以上は軍需工場の寮となり、

(そこにもじょしていしんたいのしゅうだんがすんでいて、)

そこにも女子挺身隊の集団が住んでいて、

(なにかのだれさんのあいじんだの)

何課の誰さんの愛人だの

(かちょうどののせんじふじん)

課長殿の戦時夫人

((というのはつまりほんもののふじんはそかいちゅうということだ))

(というのはつまり本物の夫人は疎開中ということだ)

(だのじゅうやくのにごうだのかいしゃをやすんで)

だの重役の二号だの会社を休んで

(げっきゅうだけもらっているにんしんちゅうのていしんたいだのがいるのである。)

月給だけ貰っている姙娠中の挺身隊だのがいるのである。

(なかにひとりごひゃくえんのめかけというのが)

中に一人五百円の妾というのが

(いっこをかまえていてせんぼうのまとであった。)

一戸を構えていて羨望の的であった。

(ひとごろしがしょうばいだったというまんしゅうろうにん)

人殺しが商売だったという満洲浪人

((このいもうとはしたてやのでし))

(この妹は仕立屋の弟子)

など

(のとなりはしあつのせんせいで、)

の隣は指圧の先生で、

(そのとなりはしたてやぎんじのながれをくむ)

その隣は仕立屋銀次の流れをくむ

(そのみちのたつじんだということであり、)

その道の達人だということであり、

(そのうらにかいぐんしょういがいるのだが、)

その裏に海軍少尉がいるのだが、

(まいにちさかなをくいこーひーをのみ)

毎日魚を食い珈琲をのみ

(かんづめをあけさけをのみ、)

缶詰をあけ酒を飲み、

(このあたりはいっしゃくほるとみずがでるので、)

このあたりは一尺掘ると水がでるので、

(ぼうくうごうのつくりようもないというのに、)

防空壕の作りようもないというのに、

(しょういだけはせめんとをもちいて)

少尉だけはセメントを用いて

(じたくよりもりっぱなぼうくうごうをもっていた。)

自宅よりも立派な防空壕をもっていた。

(また、いざわがつうきんにとおるみちすじの)

又、伊沢が通勤に通る道筋の

(ひゃっかてん(もくぞうにかいだて)は)

百貨店(木造二階建)は

(せんそうでしょうひんがなくきゅうぎょうちゅうだが、)

戦争で商品がなく休業中だが、

(にかいではれんじつとばがかいちょうされており、)

二階では連日賭場が開帳されており、

(そのかおやくはいくつかのこくみんさかばをせんりょうして)

その顔役は幾つかの国民酒場を占領して

(ぎょうれつのじんみんどもをにらみつけてれんじつでいすいしていた。)

行列の人民共を睨みつけて連日泥酔していた。

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