白痴 8
関連タイピング
-
プレイ回数1342かな314打
-
プレイ回数3万歌詞1030打
-
プレイ回数95万長文かな1008打
-
プレイ回数25万長文786打
-
プレイ回数125万歌詞かな1119打
-
プレイ回数1224長文797打
-
プレイ回数5667歌詞1062打
-
プレイ回数1624歌詞かな677打
問題文
(じじつじだいというものはただそれだけのせんぱくぐれつなものでもあり、)
事実時代というものは只それだけの浅薄愚劣なものでもあり、
(にほんにせんねんのれきしをおおいくつがえすこのせんそうとはいぼくが)
日本二千年の歴史を覆くつがえすこの戦争と敗北が
(はたしてにんげんのしんじつになにのかんけいがあったであろうか。)
果して人間の真実に何の関係があったであろうか。
(もっともないせいのきはくないしとしゅうぐのもうどうだけによって)
最も内省の稀薄な意志と衆愚の妄動だけによって
(いっこくのうんめいがうごいている。)
一国の運命が動いている。
(ぶちょうだのしゃちょうのまえでこせいだのどくそうだのといいだすと)
部長だの社長の前で個性だの独創だのと言い出すと
(かおをそむけてばかなやつだというげんがいのひょうじをみせて、)
顔をそむけて馬鹿な奴だという言外の表示を見せて、
(へいたいさんよありがとう、ああひのまるのかんげき、)
兵隊さんよ有難う、ああ日の丸の感激、
(おもわずめがしらがあつくなり、ok、しんぶんきしゃとはそれだけで、)
思わず目頭が熱くなり、OK、新聞記者とはそれだけで、
(じじつ、じだいそのものがそれだけだ。)
事実、時代そのものがそれだけだ。
(しだんちょうかっかのくんじをさんふんかんもかかってながながとうつすひつようがありますか、)
師団長閣下の訓辞を三分間もかかって長々と写す必要がありますか、
(しょっこうたちのまいあさののりとのようなへんてこなうたを)
職工達の毎朝のノリトのような変テコな唄を
(いちからじゅうまでうつすひつようがあるのですか、ときいてみると、)
一から十まで写す必要があるのですか、と訊いてみると、
(ぶちょうはぷいとかおをそむけてしたうちして)
部長はプイと顔をそむけて舌打ちして
(やにわにふりむくときちょうひんのたばこをぐしゃりはいざらへおしつぶしてにらみつけて、)
やにわに振向くと貴重品の煙草をグシャリ灰皿へ押しつぶして睨みつけて、
(おい、どとうのじだいにびがなにものだい、げいじゅつはむりょくだ!)
おい、怒濤の時代に美が何物だい、芸術は無力だ!
(にゅーすだけがしんじつなんだ!とどなるのであった。)
ニュースだけが真実なんだ!と呶鳴(どな)るのであった。
(えんしゅつかどもはえんしゅつかどもで、)
演出家どもは演出家どもで、
(きかくぶいんはきかくぶいんで、ととうをくみ、)
企画部員は企画部員で、徒党を組み、
(とくがわじだいのながわきざしとおなじようなじょうぎのせかいをつくりだし)
徳川時代の長脇差と同じような情誼(じょうぎ)の世界をつくりだし
(ぎりにんじょうでさいのうをしょりして、)
義理人情で才能を処理して、
(かいしゃいんよりもかいしゃいんてきなじゅんばんせいどをつくっている。)
会社員よりも会社員的な順番制度をつくっている。
(それによってかくじのぼんようさをようごし、)
それによって各自の凡庸さを擁護し、
(げいじゅつのこせいとてんさいによるそうはをざいあくしし)
芸術の個性と天才による争覇を罪悪視し
(くみあいいはんとこころえて、)
組合違反と心得て、
(そうごふじょのせいしんによるさいのうのひんこんのきゅうさいそしきをかんびしていた。)
相互扶助の精神による才能の貧困の救済組織を完備していた。
(ないにあってはさいのうのひんこんのきゅうさいそしきであるけれども)
内にあっては才能の貧困の救済組織であるけれども
(そとにいでてはあるこーるのかくとくそしきで、)
外に出でてはアルコールの獲得組織で、
(このととうはこくみんさかばをせんりょうし)
この徒党は国民酒場を占領し
(さんよんほんずつびーるをのみよっぱらってげいじゅつをろんじている。)
三四本ずつビールを飲み酔っ払って芸術を論じている。