多元宇宙とたんぽぽのお酒について

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投稿者投稿者MURAKUMOいいね0お気に入り登録
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タグSCP
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丸々うつしたので凄く長いです。
※サイトの都合で一部文を変えています。ご了承を
元→http://scp-jp.wikidot.com/dandelions
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1 にゃー 4182 Archon 4.4 94.9% 1127.6 4980 264 99 2024/09/27

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問題文

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(もんだいがある。たんぽぽのおさけをつくるときにはまず)

"問題がある。タンポポのお酒を作るときにはまず

(はなをつみとらないといけないってことがもんだいだ。)

花を摘み取らないといけないってことが問題だ。"

(17ふん。このせかいにのこされたじかん。)

17分。この世界に残された時間。

(じゅうじか。ひめい。じんるいのいけにえはくいへとくぎうたれてむちうたれている。)

十字架。悲鳴。人類の生贄は杭へと釘打たれて鞭打たれている。

(ふうけいがちかんされる。)

風景が置換される。

(ぼっかてきなぼくそうち。おうごんをちりばめてきらきらとかがやいている。)

牧歌的な牧草地。黄金を散りばめてキラキラと輝いている。

(このおだやかなおかをだいなしにしてるのはただひとつ。)

この穏やかな丘を台無しにしてるのはただ一つ。

(30ふぃーとのあるばーとさうるすがみっつのあたまをもつひつじをくらっているこうけい。)

30フィートのアルバートサウルスが三つの頭を持つ羊を喰らっている光景。

(すとっぷうぉっちをたたく。00:00:01とかうんとがはじまる。)

ストップウォッチを叩く。00:00:01とカウントが始まる。

(みなみへすすもう。こしだかのたんぽぽをおしわけてすすむ。)

南へ進もう。腰高のタンポポを押し分けて進む。

(あのほしょくしゃのまなーしらずのしょくたくをさけて。)

あの捕食者のマナー知らずの食卓を避けて。

(あしのきずがじくじくいたむ。いかりでかおがあかくなる。いたみは、)

足の傷がじくじく痛む。怒りで顔が赤くなる。痛みは、

(すうふんかんがころされるにもふぐになるにもじゅうぶんなことをおもいださせてくれる。)

数分間が殺されるにも不具になるにも十分なことを思い出させてくれる。

(しばらくのがまんだ。そしてちみどろのしょくたくからじゅうぶんにはなれた。)

しばらくの我慢だ。そして血みどろの食卓から十分に離れた。

(くさをつかみとってくちのなかにおしこんだ。にがい。かたい。だが、くえる。)

草を掴みとって口の中に押し込んだ。苦い。かたい。だが、食える。

(ほんとうにひさしぶりのしょくじだ。)

本当に久しぶりの食事だ。

(かれらはかたった、)

"彼らは語った、

(ここではないどこかにきっとざいだんがまだそんざいするうちゅうがあるはずだ。)

ここではないどこかにきっと財団がまだ存在する宇宙があるはずだ。

(さがせ。そしてつたえるんだ。きっとすべてがもとどおりになる。)

探せ。そして伝えるんだ。きっとすべてが元通りになる。"

(とくだいのたんぽぽをつみとって、にゅうえきをすった。)

特大のタンポポを摘み取って、乳液を吸った。

など

(おおざらほどのたんぽぽをつみとっては、くたびれたりゅっくさっくにおしこんだ。)

大皿ほどのタンポポを摘み取っては、くたびれたリュックサックに押し込んだ。

(たぶんつぎのたびで、おおびんとさとうをみつけられる。たんぽぽのおさけをつくろう。)

多分次の旅で、大瓶と砂糖を見つけられる。タンポポのお酒を作ろう。

(てんいのしょうげきがあった。)

転移の衝撃があった。

(うきあがっていたりゅっくさっく、ずしんとかたにおもみがかかる。)

浮き上がっていたリュックサック、ずしんと肩に重みがかかる。

(よんしゃせんのおおどおりのどまんなかに、たちつくしている。)

四車線の大通りのど真ん中に、立ち尽くしている。

(たくしーがちかくをとおりすぎていった。たくしーをおいかけてさけぶおとこがいる。)

タクシーが近くを通り過ぎていった。タクシーを追いかけて叫ぶ男がいる。

(てをおおきくふり、けっかんをうきあがらせ、いかりにねじれている。)

手を大きく振り、血管を浮きあがらせ、怒りにねじれている。

(たくしーのうんてんしゅのひとみはうつろで、すでにしんでいるきゃくをのせていた。)

タクシーの運転手の瞳はうつろで、既に死んでいる客を乗せていた。

(ほどうへとむかい、まっかなそらをみあげた。)

歩道へと向かい、真っ赤な空を見上げた。

(まひるのたいようがまっかだ。ちのようないろをしている。)

真昼の太陽が真っ赤だ。血のような色をしている。

(ぶくぶくとふくらんで、ふくらみすぎて、そらのはんぶんがたいようだ。)

ぶくぶくと膨らんで、膨らみすぎて、空の半分が太陽だ。

(じっとみつめてもいたくないほどくすんでいる。)

じっと見つめても痛くないほどくすんでいる。

(このかがやくきゅうたいのひょうめんにはびょうてきなはんてんがところどころにひろがっている。)

この輝く球体の表面には病的な斑点がところどころに広がっている。

(いまやわれわれがかのうなことは、ひとりのにんげんをそとへおくりこむことだけだ。)

"いまや我々が可能なことは、一人の人間を外へ送り込むことだけだ。

(てんいのえいきょうをうけない、そとがわのかんさつしゃを。)

転移の影響を受けない、外側の観察者を。

(われわれはわらをつかんだ。われわれはあなたをえらんだのだ。)

我々は藁をつかんだ。我々はあなたを選んだのだ。"

(21ふん。このせかいにのこされたじかん。すとっぷうぉっちをたたく。)

21分。この世界に残された時間。ストップウォッチを叩く。

(まがりかどにすーぱーまーけっとがあった。)

曲がり角にスーパーマーケットがあった。

(ながいことしんでいたおとこをなげつけられて、まどがらすがくだけちる。)

長いこと死んでいた男を投げつけられて、窓ガラスが砕け散る。

(くだけたがらすをふみこえて、あれはてたからっぽのつうろをいく。)

砕けたガラスを踏み越えて、荒れ果てた空っぽの通路を行く。

(くうふくだった。ずっと、くうふくだった。)

空腹だった。ずっと、空腹だった。

(くさったくだもの、はえおと、みどりがかったもの、にくやにならぶけいせいにく、すべてむしだ。)

腐った果物、蝿音、緑がかったもの、肉屋に並ぶ形成肉、すべて無視だ。

(かんづめこーなーへまっすぐむかう。とちゅう、かんぶつこーなーをとおりがかる。)

缶詰コーナーへまっすぐ向かう。途中、乾物コーナーを通りがかる。

(すこしたちどまった。いんすたんとしょくひんのはこづめだ。)

すこし立ち止まった。インスタント食品の箱詰めだ。

(のーまんろっくうぇるがえがいたみたいな)

ノーマン・ロックウェルが描いたみたいな

(てんけいてきなかんしゃさいのじょうけいがはこのおもてにえがかれている。)

典型的な感謝祭の情景が箱の表に描かれている。

(おとうさんがきりわけるのは、ひめいをあげるにんげんのあたま。)

お父さんが切り分けるのは、悲鳴をあげる人間の頭。

(りんごみたいなほおのこどもたちが、ばらばらにくをさらにとっている。)

リンゴみたいな頬の子供たちが、バラバラ肉を皿にとっている。

(かんづめをひとつだなからとった。)

缶詰をひとつ棚からとった。

(いわしのかんづめのような、ぺこぺこなるうすいちょうほうけいのかん。)

イワシの缶詰のような、ペコペコ鳴る薄い長方形の缶。

(まきとりかぎをくるくるまわしてかんづめをあけた。)

巻き取り鍵をくるくる回して缶詰を開けた。

(17のあかんぼうのあおいひとみが、あぶらづけになってみつめてきた。)

17の赤ん坊の青い瞳が、油漬けになって見つめてきた。

(かんをつかんだ。できるだけおおくりゅっくにつめこむ。)

缶を掴んだ。出来るだけ多くリュックに詰め込む。

(こまかいことをきにするよゆうなんてない。)

細かい事を気にする余裕なんてない。

(われわれはなぜこんなことになってしまったかしっている。だが、おそすぎた。)

"我々は何故こんなことになってしまったか知っている。だが、遅すぎた。

(もはやとめられない。しってのとおり、げんじつはこんとんのうみにかききえる。)

もはや止められない。知ってのとおり、現実は混沌の海にかき消える。

(”こうだったかもしれない”のうみのあわとなってしまうのだ。)

"こうだったかもしれない"の海の泡となってしまうのだ。

(こんかい、てんいまで2じかんまるまるをのこしている。)

今回、転移まで2時間丸々を残している。

(すとっぷうぉっちをたたき、かうんとをりせっと。)

ストップウォッチを叩き、カウントをリセット。

(せかいはきりにつつまれていた。)

世界は霧に包まれていた。

(きりは、ひともしくはひとがたのなにかからわきだしている。)

霧は、人もしくは人型の何かから湧き出している。

(やまがたなをいちばんちかくにいたやつにふりおろした。)

山刀を一番近くにいた奴に振り下ろした。

(そいつはおおぐちをありえないほどにおおきくあけていた。)

そいつは大口をありえないほどに大きく開けていた。

(くちのなかはぎざぎざにみちあふれている。さめのはのようなものが。)

口の中はギザギザに満ちあふれている。鮫の歯のようなものが。

(しんげんじつのほんしょうはたげんうちゅうにある。せんたくしがぶんきうちゅうをつくりだす。)

"真現実の本性は多元宇宙にある。選択肢が分岐宇宙を作り出す。

(かのうせいはあらたなるげんじつである。)

可能性は新たなる現実である。

(かつて、かつては、いうまでもなくへいこうせかいはわかたれていた。)

かつて、かつては、言うまでもなく平行世界は分かたれていた。

(これからはちがう。)

これからは違う。"

(つぎのすうふんはこんなんをきわめた。たくさんころした。)

次の数分は困難を極めた。沢山殺した。

(しかし、あいてはおおぜいだ。じめんになげだされた。)

しかし、相手は大勢だ。地面に投げ出された。

(やつらはりゅっくさっくにむらがって、)

奴らはリュックサックに群がって、

(はらわたをぶちまけるようにかんづめをとりだした。)

ハラワタをぶちまけるように缶詰を取り出した。

(やつらはかんづめをつかみとりいわにぶつける。かんづめのなかみがこぼれだす。)

奴らは缶詰を掴み取り岩にぶつける。缶詰の中身がこぼれ出す。

(ひとみにゆびにしたが、かんづめのなかからとびだした。)

瞳に指に舌が、缶詰の中から飛び出した。

(やつらはかんづめをくいつくして、むきなおった。)

奴らは缶詰を食い尽くして、向き直った。

(これはck-くらすのさいこうちくをしかくてきにひょうげんしたものだ、とかれらはかたった。)

"これはCK-クラスの再構築を視覚的に表現したものだ、と彼らは語った。

(らせんのうちゅうたち。それはしゅうそくしている。)

螺旋の宇宙たち。それは収束している。"

(こううんにも、きゅうふんかんだけがのこされていた。)

幸運にも、九分間だけが残されていた。

(しかしじゅうぶんすぎるほどにながすぎた。)

しかし十分すぎるほどに長すぎた。

(さめかおのかいぶつが、うでにかみついて。)

鮫顔の怪物が、腕に噛みついて。

(つぎのせかいへとてんいする。あめだ。ちのあめがふっている。)

次の世界へと転移する。雨だ。血の雨が降っている。

(まよなかにかれらにおこされた。いやなよかんがした。)

"真夜中に彼らに起こされた。いやな予感がした。

(だが、じゅんびはできていた。ながねんのぐんれきがおそれしらずをつくっていた。)

だが、準備は出来ていた。長年の軍歴が恐れ知らずを作っていた。

(くそったれにたちむかっていきのこることをおそわっていた。じゅんびはできていた。)

くそったれに立ち向かって生き残ることを教わっていた。準備は出来ていた。

(たちはだかるものすべてにたちむかうじゅんびが。)

立ちはだかるものすべてに立ち向かう準備が。

(ころそうとするものすべてをころすじゅんびが。)

殺そうとするものすべてを殺す準備が。

(かれらがえいがをみせようだなんてよそうがいだった。)

彼らが映画を見せようだなんて予想外だった。

(すうがくてきげんじつをあざやかにちゃくしょくしてひょうげんしていた。うつくしい。)

数学的現実を鮮やかに着色して表現していた。美しい。

(あおいうみがあわだってはきえていく。まぶしいきいろのらせんがなみまにういている。)

青い海が泡だっては消えていく。まぶしい黄色の螺旋が波間に浮いている。

(そして、きづいた。らせんたちがしゅうそくしている。いろあせている。)

そして、気づいた。螺旋たちが収束している。色あせている。

(そのこうけいはのうえんでのようねんじだいをおもいださせた。)

その光景は農園での幼年時代を思い出させた。

(じいさんがよくたんぽぽのおさけをつくっていた。)

じいさんがよくたんぽぽのお酒をつくっていた。

(ばあさんといもうとが、ゆるやかなみどりのおかでたんぽぽをつみとっていた。)

ばあさんと妹が、ゆるやかな緑の丘でたんぽぽを摘み取っていた。

(じいさんはたいねつがらすのおおなべに、たんぽぽをおしこむ。)

じいさんは耐熱ガラスの大鍋に、たんぽぽを押し込む。

(なみなみとみずをそそぎ、さとうをどっさり、そしてれもんじゅーす。)

なみなみと水をそそぎ、砂糖をどっさり、そしてレモンジュース。

(そのままみつめていると、まじゅつめいたじかん。)

そのまま見つめていると、魔術めいた時間。

(ふっとうしたおゆのなか、きいろいたんぽぽがうえにしたに。)

沸騰したお湯の中、黄色いたんぽぽが上に下に。

(ゆっくりとあわだちをかきまわす。かがやくきいろがかっしょくにかわっていく。)

ゆっくりと泡立ちをかき回す。輝く黄色が褐色に変わっていく。"

(すとっぷうぉっちをたたき、かうんとをりせっとする。)

ストップウォッチを叩き、カウントをリセットする。

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