意味がわかると怖い話 犬の埋葬

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投稿者投稿者冬蘭(ふゆらん)いいね12お気に入り登録
プレイ回数1.5万難易度(4.5) 3289打 長文
意味がわかると怖い話です。
「僕」が裏山に埋葬したのは、本当にゴールデンレトリバーの死骸だったのでしょうか。

誰かの失踪を伝える防災無線。「春斗とも、一番仲良しだったから」と、なぜか優菜ちゃんのことを過去形で話す悠斗。逃げるように引っ越していき、連絡が取れなくなった悠斗の家族。……ちなみに小学3年生女児の平均体重は、大型犬とほぼ同じ30.5キロほどだそうです。
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 mura 7105 7.3 96.5% 446.3 3288 117 45 2024/03/02
2 とも 5171 B+ 5.9 88.7% 551.9 3269 415 45 2024/03/14
3 ぱいなつぷる。 5114 B+ 5.4 94.4% 606.1 3292 192 45 2024/03/27
4 kanta 5113 B+ 5.3 96.2% 610.2 3247 127 45 2024/04/06
5 もっちゃん先生 4706 C++ 5.0 93.9% 653.8 3287 210 45 2024/03/10

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問題文

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(「くるまだしてくれない?れおをうめたいんだ」)

『車出してくれない? レオを埋めたいんだ』

(そのよる、ちゅういちになるいとこのゆうとからでんわがあった。さいきんはあまりかおをだしてなか)

その夜、中1になる従弟の悠斗から電話があった。最近はあまり顔を出してなか

(ったが、ぼくはいちじき、ちちおやにこわれてこのむっつとししたのいとこのかていきょうしのような)

ったが、僕は一時期、父親に請われてこの6つ年下の従弟の家庭教師のような

(ことをやっていた。れおはゆうとのいえでかっているごーるでんれとりばーだ。)

ことをやっていた。レオは悠斗の家で飼っているゴールデンレトリバーだ。

(「しんじゃったの?」)

「死んじゃったの?」

(おどろいてたずねると、ゆうとはつっかえつっかえ、はなしはじめた。げんいんはわからないがあさ)

驚いて尋ねると、悠斗はつっかえつっかえ、話し始めた。原因は分からないが朝

(みんながおきてきたられおがつめたくなっていたこと。しゃくやなのでにわにうめるわけに)

みんなが起きてきたらレオが冷たくなっていたこと。借家なので庭に埋める訳に

(はいかずかそうぎょうしゃをたのもうとしたが、おとうとのはるとがないていやがったとのこと。)

はいかず火葬業者を頼もうとしたが、弟の春斗が泣いて嫌がったとのこと。

(はるとは「よくさんぽにいっていっしょにあそんだうらやまにうめてあげたい」といっている)

春斗は「よく散歩に行って一緒に遊んだ裏山に埋めてあげたい」と言っている

(ぼくはにねんまえ、そぼのそうぎのときに、はいになったなきがらをみてしょういちだったはるとがおおなき)

僕は2年前、祖母の葬儀の時に、灰になった亡骸を見て小1だった春斗が大泣き

(していたことをおもいだした。「うちはくるまないし、かかえていくにはおもいし。)

していたことを思い出した。『うちは車ないし、抱えていくには重いし。

(たぶん、どうぶつのしがいをかってにやまにうめるのはよくないことだろうから、ひとにみら)

たぶん、動物の死骸を勝手に山に埋めるのは良くないことだろうから、人に見ら

(れたくないしさ」ゆうとはいいよどんだ。ちかくにすんでいて、はるにめんきょをとって)

れたくないしさ」悠斗は言いよどんだ。近くに住んでいて、春に免許を取って

(ちゅうこしゃをかったばかりだったぼくにそうだんしてみろと、ははおやにいわれたのだという。)

中古車を買ったばかりだった僕に相談してみろと、母親に言われたのだという。

(ぼくはかいだくして、すぐにくるまをとばしてゆうとのいえにいそいだ。ゆうとのちちはまだきたくして)

僕は快諾して、すぐに車を飛ばして悠斗の家に急いだ。悠斗の父はまだ帰宅して

(おらず、いえにいたのはゆうととはると、ははおやだけだった。れおのしがいはだんぼーるばこに)

おらず、家にいたのは悠斗と春斗、母親だけだった。レオの死骸は段ボール箱に

(つめられ、ふうをしてげんかんのたたきにだされていた。かたわらにはおおきなしゃべるが)

詰められ、封をして玄関の三和土に出されていた。傍らには大きなシャベルが

(にほん、よういされていた。きてくれてありがとう、とゆうとのおかあさんがちからなく)

2本、用意されていた。来てくれてありがとう、と悠斗のお母さんが力なく

(わらってあたまをさげる。ははおやのかたわらでなみだをうかべてたっているはるとをみるのがしのびな)

笑って頭を下げる。母親の傍らで涙を浮かべて立っている春斗を見るのが忍びな

(くて、ぼくはあいさつもそこそこにしゃべるとだんぼーるをくるまのこうぶざせきにはこんだ。)

くて、僕は挨拶もそこそこにシャベルと段ボールを車の後部座席に運んだ。

など

(れとりばーのせいけんのたいじゅうはさんじゅっきろほどにもなる。ずっしりとおもい。)

レトリバーの成犬の体重は30キロほどにもなる。ずっしりと重い。

(とおくでぼうさいむせんのおとが、とぎれとぎれにきこえた。だれかがゆくえふめいになったと)

遠くで防災無線の音が、途切れ途切れに聞こえた。誰かが行方不明になったと

(いうないようのほうそうらしいが、おんしつがわるいのとあちこちではんきょうしているのとで、ほとんど)

いう内容の放送らしいが、音質が悪いのとあちこちで反響しているのとで、殆ど

(ききとれない。すがたがみえなくなったはいかいろうじんをさがすたぐいのこのてのほうそうは、ぼくの)

聞き取れない。姿が見えなくなった徘徊老人を探す類のこの手の放送は、僕の

(すんでいるあたりでもときどき、ながれてくるが、やくにたっているのかあやしくおもう。)

住んでいるあたりでも時々、流れてくるが、役に立っているのか怪しく思う。

(「おれがあんないするから」と、じょしゅせきにゆうとがのりこむ。ゆうとにいわれるまま、となりまち)

「俺が案内するから」と、助手席に悠斗が乗り込む。悠斗に言われるまま、隣町

(とのさかいにまたがるこだかいやままでくるまをはしらせた。すうねんまえにかいつうした、うっそうとした)

との境にまたがる小高い山まで車を走らせた。数年前に開通した、鬱蒼とした

(こうようじゅりんをつっきるばいぱすをいく。がいとうはまばらで、みちはひどくくらい。)

広葉樹林を突っ切るバイパスを行く。街灯はまばらで、道はひどく暗い。

(「れおくん、きゅうさいだったっけ。うちでかってたしばいぬもびょうきではやくにしんじゃってね)

「レオ君、9歳だったっけ。うちで飼ってた柴犬も病気で早くに死んじゃってね

(ゆうなちゃんもかなしむだろうな」よくあそびにきていた、はるとのどうきゅうせいのおんなのこの)

優菜ちゃんも悲しむだろうな」よく遊びに来ていた、春斗の同級生の女の子の

(なまえをあげる。れおもかのじょによくなついていた。ゆうとはかおをくもらせてうなずく。)

名前を挙げる。レオも彼女によく懐いていた。悠斗は顔を曇らせて頷く。

(「はるとともいちばんなかよしだったから。ゆうなちゃんのなまえ、はるとのまえではださないで)

「春斗とも一番仲良しだったから。優菜ちゃんの名前、春斗の前では出さないで

(れおとよくいっしょにあそんだともだち、そのしにしょっくをうけるだろうともだちのことまで)

レオとよく一緒に遊んだ友達、その死にショックを受けるだろう友達のことまで

(かんがえるのは、いまのはるとにはにがおもい。ゆうとのいうとおりだ。とうげをこえたあたりで)

考えるのは、今の春斗には荷が重い。悠斗の言うとおりだ。峠を越えたあたりで

(ゆうとにこえをかけられ、くるまをとめた。ぼくはだんぼーるを、ゆうとはしゃべるをかかえて)

悠斗に声をかけられ、車を停めた。僕は段ボールを、悠斗はシャベルを抱えて

(はやしをすすむ。とおりからみえないところまでごふんばかりあるき、ぼくたちはそこに)

林を進む。通りから見えないところまで五分ばかり歩き、僕たちはそこに

(いちめーとるほどのあなをほった。だんぼーるのままれおのしがいをうめ、ふたりでてを)

1メートルほどの穴を掘った。段ボールのままレオの死骸を埋め、ふたりで手を

(あわせる。ぼせきがわりになにかおこうかとていあんしたが、へんにめだってだれかに)

合わせる。墓石代わりに何か置こうかと提案したが、変に目立って誰かに

(ほりかえされたらいやだと、ゆうとはれいせいにいう。はんとしまえまでしょうがくせいだったいとこのおち)

掘り返されたら嫌だと、悠斗は冷静に言う。半年前まで小学生だった従弟の落ち

(ついたようすに、すっかりおにいさんだなとぼくはかんしんした。かえりのくるまのなかで、ゆうとは)

着いた様子に、すっかりお兄さんだなと僕は感心した。帰りの車の中で、悠斗は

(ぽつりと「ごめんね」といった。ありがとうでいいのに、とはがゆくおもったのを)

ぽつりと「ごめんね」と言った。ありがとうで良いのに、と歯がゆく思ったのを

(おぼえてる。おもえばゆうとたちにあったのは、そのばんがさいごだった。)

覚えてる。思えば悠斗たちに会ったのは、その晩が最後だった。

(よくとしのしょうがつ、じっかにかえったおりにははから、ゆうとのいっかがちちおやのしごとのつごうでほっかいどう)

翌年の正月、実家に帰った折に母から、悠斗の一家が父親の仕事の都合で北海道

(にひっこしたことをきいた。それもてんきょのあんないをうけたきり、でんわもつながらず)

に引っ越したことを聞いた。それも転居の案内を受けたきり、電話もつながらず

(てがみをおくってもあてさきふめいでかえってきて、すっかりおんしんふつうになってしまっている)

手紙を送っても宛先不明で返ってきて、すっかり音信不通になってしまっている

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