戯曲とデフォルメ都市

(なまえもないぼくたちのせをみてわらうもうのぞまれないいのちだってきづいているけど)

名前も無い僕たちの背を見て嗤う　もう望まれない命だって気付いているけど

(ぱさぱさになったくろぱんかじったざらついたぼうりょくとはてしないくも)

パサパサになった黒パンかじった　ざらついた暴力と果てしない雲

(のろわれたいのちなんてつぶやくきみがかなしそうにするんだもんぼくもおなじさ)

「呪われた命」なんてつぶやく　君が悲しそうにするんだもんボクも同じさ

(なみだでたまったどろみずにうつるこのそらはどこへいくのだろう)

涙で溜まった泥水に映る　この空はどこへ行くのだろう

(きれいなものなんてありはしなくてはいかぶってかさもさせない)

綺麗な物なんてありはしなくて　灰被って傘もさせない

(もういっそおおきなまちがいでもかまわない)

もういっそ大きな間違いでも構わない

(いまきみのわらうかおをとじこめるようなよるはうばおう)

今　君の笑う顔を閉じ込めるような夜は奪おう

(こうかきょうあめふらすかみさまはくじつをぬすんだら)

高架橋　雨降らす神様　白日を盗んだら

(てつごうしのひびをぬけたらそこには)

鉄格子の日々を抜けたらそこには

(なきむしなきみもわらわせられるようなせかいがあった)

泣き虫な君も笑わせられるような世界があった

(こうとうむけいなぱれーどせいかいのしょうおとなのいないゆうえんのべる)

荒唐無稽なパレード　星界の章　大人のいない遊園ノベル

(ちいさなかたふるわせてつぶやくゆうこくをむししておしろへいこう)

小さな肩震わせてつぶやく　夕刻を無視して「お城へ行こう」

(きりとったせんりつとのくたーんぶんすうわおんむじゃきなままのろわれたまま)

切り取った旋律とノクターン　分数和音　無邪気なまま呪われたまま

(よくまみれにりんどうさかせきしむせいめいせんわるいこだ)

欲塗れに竜胆咲かせ　軋む生命線「悪い子だ」

(おしおきなんてだっておいしくないよていこうあえなくとざされないいたみ)

御仕置きなんてだって美味しくないよ　抵抗　敢え無く閉ざされない痛み

(そうちぬられたおれんじのおえついまいましいよるをむすび)

そう　血塗られたオレンジの嗚咽　忌々しい夜を結び

(ちぎってもまだきえやしない)

千切ってもまだ消えやしない

(なみだをふいたらゆびきりしよう)

涙を拭いたら指切りしよう？

(なきじゃくったきみのかこだっていたみだってわすれるってちかおう)

泣きじゃくった君の過去だって痛みだって忘れるって誓おう

(とうにきえたさいしゅうびんであのそらをとりかえそう)

とうに消えた最終便で　あの空を取り返そう

(もえさかるおしろのうらはそらからなないろとまやかしもなくなるようなあすがあった)

燃え盛るお城の裏は空から七色と　瞞しも無くなるような明日があった

(ひとばんでちったがらくたゆうえんしがいぼくらのせかいけいなぶたい)

一晩で散ったがらくた　遊園市街　僕らのセカイ系な舞台

(ちいさなかたふるわせてつぶやくめかくしをしていこうそのげんじつに)

小さな肩震わせてつぶやく　「目隠しをしていこう」その現実に

(きりとったせんりつとちょうごうふりかえらない)

切り取った旋律と調号　振り返らない

(しあわせだとつぶやくきみのきおくをおいこしてものがたりのまくをおろした)

幸せだとつぶやく君の記憶を追い越して　物語の幕を下ろした