howl２

(きょうはいちにちねてるわ)

今日は1日寝てるわ

(そうお？じゃあね)

そうお？じゃあね

(よいしょっと)

よいしょっと

(だいじょうぶよおばあちゃん。あなたげんきそうだし、ふくもまえよりにあってるわ)

大丈夫よおばあちゃん。あなた元気そうだし、服も前より似合ってるわ

(でもここにはいられないわね)

でもここには居られないわね

(あいた！としよりってたいへんね)

あいた！年寄りって大変ね

(おばあちゃん、てをかそうか？)

おばあちゃん、手を貸そうか？

(しんせつだけはいただくよ、ありがとさん)

親切だけはいただくよ、ありがとさん

(かまわねえけど、ばあちゃんどこいくの？)

構わねえけど、ばあちゃんどこ行くの？

(あんたのいくとこのそのさきだよ)

あんたの行くとこのその先だよ

(やめときなよばあちゃん、このさきにはまほうつかいしかうろついてないぜ！)

やめときなよばあちゃん、この先には魔法使いしかうろついてないぜ！

(ありがとよー)

ありがとよー

(これからなかおれだにへいくの？)

これから中折れ谷へ行くの？

(すえのいもうとがいるんだって)

末の妹がいるんだって

(まだいくらもきてないね。はだけはまえのまんまでよかったよ)

まだいくらも来てないね。歯だけは前のまんまでよかったよ

(ん？つえによさそうだ。あいたた。ちょっとふといかしらね)

ん？杖によさそうだ。あいたた。ちょっと太いかしらね

(ふう、ふう、がんこなえだねえ。そふぃーばあちゃんをあまくみないで！)

ふう、ふう、頑固な枝ねえ。ソフィーばあちゃんを甘く見ないで！

(かかしか。またまじょのてしたかとおもったよ。でもおまえ、なんでひとりでたってるの)

かかしか。また魔女の手下かと思ったよ。でもお前、なんでひとりで立ってるの

(あたまがかぶね。あたし、ちいさいときからかぶはきらいなの)

頭がカブね。あたし、小さいときからカブは嫌いなの

(さかさになってるよりましでしょ。げんきでね)

逆さになってるよりましでしょ。元気でね

(うう、さむい。まだまちがあんなところにある。んん？)

うう、寒い。まだ街があんなところにある。んん？

(ついてくるんじゃないよ！おんがえしなんかしなくていいから！)

ついてくるんじゃないよ！恩返しなんかしなくていいから！

(あんたもまほうのなんかだろ、まじょとかのろいとかもうたくさん！)

あんたも魔法のなんかだろ、魔女とか呪いとかもうたくさん！

(どこでもすきなとこにたってなさい！)

どこでも好きなとこに立ってなさい！

(これはぴったりのつえだね。ありがとさん)

これはぴったりの杖だね。ありがとさん

(こんやとまるうちもつれてきてくれると、いいんだけどねえ)

今夜止まるうちも連れてきてくれると、いいんだけどねえ

(としをとるとわるぢえがつくみたい)

年を取ると悪知恵がつくみたい

(おおきなぐんかん)

大きな軍艦

(ああ、としよりがこんなにからだがうごかないなんておもわなかった)

ああ、年寄りがこんなに体が動かないなんて思わなかった

(けむりのにおいだ。やまごやでもあるのかね？)

煙の匂いだ。山小屋でもあるのかね？

(かぶあたま、あれはうるのしろじゃない！？あんた、うちをつれてこいって、まさか！)

カブ頭、あれハウルの城じゃない！？あんた、うちを連れてこいって、まさか！

(まあ、これ。これでおしろなの？)

まあ、これ。これでお城なの？

(そこがいりぐちなの？)

そこが入り口なの？

(ちょっとまちなさいよ、これ、ちょっと！のせるののせないの、どっちかにして)

ちょっと待ちなさいよ、これ、ちょっと！乗せるの乗せないの、どっちかにして

(うわあ！かたかけが！)

うわあ！肩掛けが！

(かぶ、なかはあったかそうだからとにかくはいらせてもらうわ。ありがと！)

カブ、中はあったかそうだからとにかく入らせてもらうわ。ありがと！

(いくらはうるでもこんなおばあちゃんのしんぞうはたべないでしょ)

いくらハウルでもこんなおばあちゃんの心臓は食べないでしょ

(こんどこそさよなら。あんたはかぶだけどいいかぶだったよ！しあわせにね！)

今度こそさよなら。あんたはカブだけどいいカブだったよ！幸せにね！

(はあ、あいてて、よいしょ)

はあ、あいてて、よいしょ

(なんだろねえ、ただのぼろやにしかみえないけど)

なんだろねえ、ただのボロ屋にしか見えないけど

(ま、としをとっていいことは、おどろかなくなることね)

ま、年を取っていいことは、驚かなくなることね

(こんがらがったのろいだね)

こんがらがった呪いだね

(んん！？)

んん！？

(おまけにひとにしゃべれなくしてあるね)

おまけに人に喋れなくしてあるね

(あんたがはうる？)

あんたがハウル？

(ちがうね。おいらはひのあくまかるしふぁー！っていうんだ)

違うね。おいらは火の悪魔カルシファー！っていうんだ

(ならかるしふぁー、あんたあたしにかけられたのろいをとけるの？)

ならカルシファー、あんたあたしにかけられた呪いを解けるの?

(かんたんさ、おいらをここにしばりつけているのろいをといてくれれば、)

簡単さ、おいらをここに縛り付けている呪いを解いてくれれば、

(すぐあんたののろいもといてやるよ)

すぐあんたの呪いも解いてやるよ

(あくまととりひきをするってわけね。あんたそれやくそくできるの？)

悪魔と取引をするってわけね。あんたそれ約束できるの？

(あくまはやくそくはしないさ)

悪魔は約束はしないさ

(ほかをあたるのね)

他をあたるのね

(おいら、かわいそうなあくまなんだ)

おいら、可哀想な悪魔なんだ

(けいやくにしばられて、ここではうるにこきつかわれてるんだ！)

契約に縛られて、ここでハウルにこき使われてるんだ！

(このしろだって、おいらがうごかしてるんだぜ！)

この城だって、おいらが動かしてるんだぜ！

(そう、たいへんなのねえ)

そう、大変なのねえ

(はうると、おいらのけいやくのひみつをみやぶってくれたらのろいはとけるんだ)

ハウルと、おいらの契約の秘密を見破ってくれたら呪いは解けるんだ

(そしたら、あんたののろいもといてやるよ！)

そしたら、あんたの呪いも解いてやるよ！

(わかったわ。とりひきね)

分かったわ。取引ね

(ばあちゃん、ばあちゃん！だいじょうぶかなあ)

ばあちゃん、ばあちゃん！大丈夫かなあ