howl4

(しょくん、いただこう。うましかてを)

諸君、いただこう。うまし糧を

(うましかて！ひさしぶりですね、ちゃんとしたあさごはんなんて！)

うまし糧！久しぶりですね、ちゃんとした朝ごはんなんて！

(おしえることもたくさんありそうね)

教えることもたくさんありそうね

(で、あなたのぽけっとのものはなに？)

で、あなたのポケットのものは何？

(へ？なにかしら)

へ？何かしら

(かして)

貸して

(ああっ！やきついた、はうるさん、これ！)

ああっ！焼き付いた、ハウルさん、これ！

(とてもふるいまほうだよ。しかもきょうりょくだ)

とても古い魔法だよ。しかも強力だ

(あれちのまじょですか！？)

荒れ地の魔女ですか！？

(「なんじ、ながれぼしをとらえしものこころなきおとこおまえのしんぞうはわたしのものだ」)

「汝、流れ星を捉えし者　心なき男　お前の心臓は私のものだ」

(てーぶるがだいなしだね)

テーブルが台無しだね

(ああっ！)

ああっ！

(すごい、きえた！)

すごい、消えた！

(やけこげはきえても、のろいはきえないんだ)

焼け焦げは消えても、呪いは消えないんだ

(しょくん、しょくじをつづけてくれたまえ。かるしふぁー、しろを１０ｋｍほどうごかしてくれ)

諸君、食事を続けてくれたまえ。カルシファー、城を100㎞ほど動かしてくれ

(それにふろにあついおゆをおくってくれ)

それに風呂に熱いお湯を送ってくれ

(えーっ、それもかよ！)

えーっ、それもかよ！

(そふぃーさんてあれちのまじょのてしたなの？)

ソフィーさんて荒れ地の魔女の手下なの？

(ばかをいうんじゃないよ！あたしこそあれちのまじょにほんとはあたしは・・・)

バカを言うんじゃないよ！あたしこそ荒れ地の魔女に　ほんとはあたしは・・・

(あれちのまじょめ！こんどあったらただじゃおかないからね！)

荒れ地の魔女め！今度会ったらただじゃおかないからね！

(さっさとたべちゃおう！)

さっさと食べちゃおう！

(むしども、さっさとでないとはきだしちゃうよ！どいつもこいつもひとをばかにして)

虫ども、さっさと出ないと掃き出しちゃうよ！どいつもこいつも人をバカにして

(まじないをたのみたいんじゃが)

呪いを頼みたいんじゃが

(あとにして！なかでまじょがあばれておるんじゃ)

後にして！中で魔女が暴れておるんじゃ

(そふぃー、きえちゃうよ！まきをくれなきゃしんじゃうよー！)

ソフィー、消えちゃうよ！薪をくれなきゃ死んじゃうよー！

(わ、なにするんだ、あー！おちる、おちる！あぶなーい！)

わ、何するんだ、あー！落ちる、落ちる！危なーい！

(はいをかくのよ。すぐだからね)

灰をかくのよ。すぐだからね

(やばいよ、あ、あぶなーい、あぶな、う、おちる、あ、やばい、あー！)

やばいよ、あ、危なーい、あぶな、う、落ちる、あ、やばい、あー！

(ゆうじんを、あまりいじめないでくれないか)

友人を、あまりいじめないでくれないか

(はうるさん、おでかけですか？)

ハウルさん、お出かけですか？

(まるくる、そうじもたいがいにするように、そうじふさんにいっといて)

マルクル、掃除も大概にするように、掃除婦さんに言っといて

(そふぃー、なにかやったの？)

ソフィー、何かやったの？

(ん？)

ん？

(おいらをいじめたんだ！おいらがしんだらはうるだってしぬんだぞ！ううう)

おいらをいじめたんだ！おいらが死んだらハウルだって死ぬんだぞ！ううう

(あたしはそうじふなの！そうじをするのがしごとなの！)

あたしは掃除婦なの！掃除をするのが仕事なの！

(あ、だ、だだ、だめ！にかいはだめ！)

あ、だ、だだ、だめ！二階はだめ！

(あたしならだいじなものをいそいでしまっとくけど？)

あたしなら大事なものを急いでしまっとくけど？

(あ！ぼくんとこあとまわしにして！)

あ！僕んとこ後回しにして！

(ふふふ。はらをたてたらげんきがでたみたいね。へんなうちねえ)

ふふふ。腹を立てたら元気が出たみたいね。変なうちねえ

(ん？うわ。わあー！)

ん？うわ。わあー！

(すごーい！かるしふぁー、かるしふぁー！このしろあんたがうごかしてるの！？)

すごーい！カルシファー、カルシファー！この城あんたが動かしてるの！？

(うるさいなあ、あたりまえじゃないか)

うるさいなあ、当たり前じゃないか

(すごいよかるしふぁー、あんたのまほうはいちりゅうだね、みなおしたわ！)

すごいよカルシファー、あんたの魔法は一流だね、見直したわ！

(そうかなあ？そうかなあ！？)

そうかなあ？そうかなあ！？

(あー！まだだめだよ！)

あー！まだ駄目だよ！

(きれいだねえ)

きれいだねえ

(ほしのうみっていうんだよ)

星の湖って言うんだよ

(ん？なにかあなにはさまってる。なにかしら。まるくる、てをかして)

ん？何か穴に挟まってる。何かしら。マルクル、手を貸して

(うん)

うん

(かかしだ！)

かかしだ！

(かぶあたまのかぶっていうの。あんた、さかさになるのがすきだねえ)

カブ頭のカブって言うの。あんた、逆さになるのが好きだねえ

(あ！)

あ！

(みょうなものになつかれちゃったねえ。あたしについてきたんだよ)

妙なものに懐かれちゃったねえ。あたしについてきたんだよ

(そふぃーってほんとにまじょじゃないの？)

ソフィーってほんとに魔女じゃないの？

(そうさ、このくにいちばんのきれいずきなまじょさ)

そうさ、この国一番の綺麗好きな魔女さ

(かぶー、ひっぱりすぎだよー！)

カブー、引っ張りすぎだよー！

(せんたくものがきにいったみたいだね)

洗濯物が気に入ったみたいだね

(おかげではやくかわくでしょう)

おかげで早く乾くでしょう

(かぶってあくまのいちぞくかもしれないね。かるしふぁーがおこらないもの)

カブって悪魔の一族かもしれないね。カルシファーが怒らないもの

(そうね。しにがみかもしれないわね。でも、こんなところにこられたんだから)

そうね。死神かもしれないわね。でも、こんなところに来られたんだから

(そふぃー、せんたくものしまったよ)

ソフィー、洗濯物しまったよ

(ああ、ありがと。もうもどらなきゃね)

ああ、ありがと。もう戻らなきゃね

(ふしぎね、こんなおだやかなきもちになれたのはじめて)

不思議ね、こんな穏やかな気持ちになれたの初めて