Véranda

(ぼくはきみのべらんだをしらない)

僕は君のベランダを知らない。

(あのへやではついにたばこをすわなかったから)

あの部屋では　ついにタバコを吸わなかったから。

(よるのすきまにかくれたとけいまるでちらぬようなかおのはな)

夜の隙間に隠れた時計、まるで散らぬような顔の花。

(かぜがほほにふりおとす)

風が頬に振り落とす。

(きせつがつげているさよならだと)

季節が告げている、さよならだと。

(あいはここにあってまだいえないりゆうもむちゅうもぜんぶわらってまってる)

愛はここにあって、まだ言えない理由も夢中も全部笑って待ってる。

(だいたいあんもってこないでふびんじゃないか)

代替案持ってこないで、不憫じゃないか。

(いつかほうようでしばりあいにくみあうなんて)

いつか、抱擁で縛りあい憎み合うなんて。

(かなりあいろのかーてんについた)

金糸雀色のカーテンについた、

(まっくろいてんからめがはなせないや)

真っ黒い点から目が離せないや！

(ぼくはきみのべらんだをしらない)

僕は君のベランダを知らない。

(あさひがさしこむかくどもそのさびしささえも)

朝日が差し込む角度も、その寂しささえも。

(ぼくのすきまにはいりこんじまってさ)

僕の隙間に入り込んじまってさ、

(まるでへいきなかおでねむりにつく)

まるで平気な顔で眠りにつく。

(たぬきみたいなねこのあくびで)

狸みたいな猫のあくびで、

(くずれたきみのかおをながめていたんだ)

崩れた君の顔を眺めていたんだ。

(わかれをしらないぼくらは)

別れを知らない僕らは、

(さいかいをいつだっておそれてる)

再開をいつだって恐れてる。

(わかれをしらないぼくらは)

別れを知らない僕らは、

(さいかいをいつだっておそれてる)

再開をいつだって恐れてる。

(わかれをしらないぼくらは)

別れを知らない僕らは、

(さいかいをいつだっておそれてる)

再開をいつだって恐れてる。

(わかれをしらないぼくはさ)

別れを知らない僕はさ、

(さいかいをきみとだけはしたくないんだ)

再開を君とだけはしたくないんだ！

(あいはここにあって)

愛はここにあって、

(まだいえないりゆうもむちゅうも)

まだ言えない理由も夢中も

(ぜんぶわらってまってる)

全部笑って待ってる。

(だいたいあんもってこないで)

代替案持ってこないで、

(ふびんじゃないか)

不憫じゃないか。

(いつかほうようがしばりあい)

いつか抱擁が縛り合い、

(ひがおちるなんて)

陽が落ちるなんて！

(あいはここにあんぜ)

愛はここにあんぜ。

(まだみえない)

まだ見えない？

(ぼくはまつよ)

僕は待つよ。

(じつづきでぱりにいけるまで)

地続きでパリに行けるまで！

(もうさいあくでやるせないよるは)

もう最悪でやるせない夜は、

(できればぼくによりかかっていて)

出来れば僕に寄りかかっていて。

(かなりあいろのかーてんがゆれる)

金糸雀色のカーテンが揺れる。

(ひだまりからはこぼれたふたり)

陽だまりからは溢れた二人。

(かなりあいろのかーてんをはずす)

金糸雀色のカーテンを外す。

(ざまあみろ)

ザマアミロ！

(きみのてをとりまちをゆく)

君の手をとり街をゆく。