花弁

(なんてとうめいなまっしろだこと)

なんて透明な真っ白だこと

(きょうものろうのはあなたのこと)

今日も呪うのは貴方のこと

(たいおんもいつかわすれてしまう)

体温もいつか忘れてしまう

(あいじょうはきっといたみのもと)

愛情はきっと痛みの元

(はなはえがけませんでしたいろをえらべませんでした)

花は描けませんでした　色を選べませんでした

(たねをさがしたしあわせのなかから)

種を探した　幸せの中から

(どれほどかれんだったのかもしあなただったら)

どれほど可憐だったのか　もし貴方だったら

(あのねでもねここへやっとはるがきたから)

あのね、でもね、ここへやっと春が来たから

(かみさまがやどったかけらだもの)

神様が宿った欠片だもの

(はなのむれじゃなくてあなたのかたについたひとひらがいいのです)

花の群れじゃなくて貴方の肩についた一片がいいのです

(はやくはやくはやくかぜのきがかわる)

早く、早く、早く、風の気が変わる

(ただいちまいそのはなびらがいいのです)

ただ一枚　その花弁がいいのです

(それだけでいいのです)

それだけでいいのです

(なんてこっけいなまっしろだこと)

なんて滑稽な真っ白だこと

(あめをまつやくそくのばしょ)

雨を待つ約束の場所

(どうせいつかふりかえってしまう)

どうせいつか振り返ってしまう

(ほんのうはきっとみかたなんでしょう)

本能はきっと味方なんでしょう

(おもいはにげませんでしたいたみをこえませんでした)

想いは逃げませんでした　痛みを超えませんでした

(はるとなづけたもののけのひびから)

春と名付けた　物の怪の日々から

(どれほどむいみだったのかねぇあなただったら)

どれほど無意味だったのか　ねぇ貴方だったら

(まるでまるでこれじゃいっそただのわがまま)

まるで、まるで、これじゃいっそただの我儘

(あのままでとまったなみきのもと)

あのままで止まった並木の下

(ただのゆめじゃなくてきおくのなかでねむるひとときがいいのです)

ただの夢じゃなくて記憶の中で眠る一時がいいのです

(かたくかたくかたくゆびきりをかわす)

固く、固く、固く、指切りを交わす

(もうなんかいちってもかまわないのです)

もう何回散っても構わないのです

(とくべつなあいでみたされたとくべつなものにあこがれた)

特別な愛で満たされた　特別なものに憧れた

(しあわせななにかをさがす)

幸せな何かを探す

(しあわせななにかをこわす)

幸せな何かを壊す

(とくべつなゆめにみせられたとくべつなばしょでまたあえた)

特別な夢に魅せられた　特別な場所でまた会えた

(あなたとおなじりゆうでここにきたかった)

貴方と同じ理由でここに来たかった

(かみさまがやどったかけらだもの)

神様が宿った欠片だもの

(はなのむれじゃなくてあなたのかたについたひとひらがいいのです)

花の群れじゃなくて貴方の肩についた一片がいいのです

(はやくはやくはやくかぜのきがかわる)

早く、早く、早く、風の気が変わる

(ただいちまいそのはなびらがいいのです)

ただ一枚　その花弁がいいのです

(さよならでそまったなみきのもと)

さよならで染まった並木の下

(ひとのむれのなかじゃわかんないでしょう)

人の群れの中じゃわかんないでしょう

(あおくあおくあおくまたゆめがさめる)

青く、青く、青く、また夢が覚める

(もういっかいあなたをみつけたいのです)

もう一回貴方を見つけたいのです

(それだけでいいのです)

それだけでいいのです