警護失敗「生涯背負う」１

(「めをとじたらあのばめんがうかぶ。はれつおんのようなじゅうせいも。)

「目を閉じたらあの場面が浮かぶ。破裂音のような銃声も。

(このくるしみはしょうがいせおうしかない」。)

この苦しみは生涯背負うしかない」。

(げんばでけいびにあたったたんとうしゃは、そうむねんさをにじませた。)

現場で警備に当たった担当者は、そう無念さをにじませた。

(さくねん７がつようかあさ。)

昨年７月８日朝。

(けんけいほんぶ４かいのけいびぶでは、１つうのぶんしょがあわただしくけっさいされた。)

県警本部４階の警備部では、１通の文書が慌ただしく決済された。

(「けいごけいびけいかくしょ」。)

「警護警備計画書」。

(ぜんじつにあべしのらいけんがきゅうきょきまり、かんせいはしんやまでかかった。)

前日に安倍氏の来県が急きょ決まり、完成は深夜までかかった。

(ほんぶちょうらは１かしょもしゅうせいをしじしなかった。)

本部長らは１か所も修正を指示しなかった。

(ほんぶちょうはけいさつちょうでけいびかけいごしつちょうなどをれきにんし、)

本部長は警察庁で警備課警護室長などを歴任し、

(ようじんけいごのけいけんがながかった。)

要人警護の経験が長かった。

(えんぜつばしょはがーどれーるにかこまれ、しゅういは３６０どひらけていた。)

演説場所はガードレールに囲まれ、周囲は３６０度ひらけていた。

(きけんせいはみおとされていた。)

危険性は見落とされていた。

(「どーん」「どーん」。)

「ドーン」「ドーン」。

(ごぜん１１じはんすぎ、あべしのこうほうからどうろをわたって)

午前１１時半過ぎ、安倍氏の後方から道路を渡って

(ちかよったやまがみてつやひこく（４２）（さつじんつみなどできそ）がじゅうげきした。)

近寄った山上徹也被告（42）（殺人罪などで起訴）が銃撃した。

(２はつめがめいちゅうし、あべしはそのばにたおれた。)

２発目が命中し、安倍氏はその場に倒れた。

(げんばにはけいさつかんじゅうすうにんがはいちされ、あべしのちょっきんにはけいごいん４にんがいた。)

現場には警察官十数人が配置され、安倍氏の直近には警護員４人がいた。

(うちひとりがこうほうけいかいのたんとうだったが、ちょうしゅうがふえていたぜんぽうをけいかいするよう)

うち1人が後方警戒の担当だったが、聴衆が増えていた前方を警戒するよう

(べつのけいごいんにしじされ、こうほうにくうはくがしょうじていた。)

別の警護員に指示され、後方に空白が生じていた。