知らない

(きみのこえととじたまどとれこーどのおと)

君の声と、閉じた窓とレコードの音。

(にじをすぎて)

2時を過ぎて

(あまいよるとくろいねことおもいのいろ)

甘い夜と、黒い猫と、想いの色。

(やりなおしのきかないことだらだらともてあますくうき)

やり直しのきかないこと、ダラダラと持て余す空気。

(たばこにひをつけて)

タバコに火をつけて

(けむりとともにはきだしたことばたちは)

煙とともに吐きだした言葉たちは

(へやをまわりまわって)

部屋を周り回って

(むじんとうのよるにきえていった)

無人棟の夜に消えていった！

(まちのよるに)

街の夜に、

(きみのこえととじたまどとれこーどのおと)

君の声と、閉じた窓とレコードの音。

(にじをすぎて)

2時を過ぎて

(あまいよるとくろいねことおもいのいろ)

甘い夜と、黒い猫と、想いの色。

(いつもえらばないいろのふくをかいあたえてなぐさめたって)

いつも選ばない色の服を買い与えて慰めたって

(じいしきさまのごきげんはなおらない)

自意識様の御機嫌は直らない！

(うちゅうにひとつだけのこいをいろどってつれてもどってきたって)

宇宙に一つだけの恋を彩って連れて戻ってきたって

(かのうせいのめはそだたない)

可能性の芽は育たない。

(まちのよるに)

街の夜に、

(きみのこえとへやのかどとぎたーのおと)

君の声と、部屋の角とギターの音。

(よじをすぎて)

4時を過ぎて

(あさのけはいとのらのねことあいのうたを)

朝の気配と、野良の猫と、愛の歌を。

(よあけのおとがきこえる)

夜明けの音が聞こえる！

(あすがくるのがこわいわけではないよ)

明日が来るのが怖いわけではないよ。

(でもまあ)

でも、まあ。

(きょうにとどまれるのなら)

「今日に留まれるのなら

(そのほうがいいなっておもうだけなら)

そのほうがいいな」って思うだけなら

(すこしはみのがしてもらえるかなあ)

少しは見逃してもらえるかなぁ。

(まちのよるは)

街の夜は、

(きみのこえとよるのくらさが)

君の声と、夜の暗さが

(とじたまどをうちぬいて)

閉じた窓を撃ち抜いて！

(あさのまちをあめのまちをわすれようとしている)

朝の街を、雨の街を　忘れようとしている。