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(よるをどこかへおいてきたって)

夜をどこかへ置いてきたって、

(きみはとおくへはなれていった)

君は遠くへ離れていった。

(なみだとためいきはまぎれ)

涙とため息は紛れ、

(みえないままながれおちるよ)

見えないまま流れ落ちるよ。

(あるくはやさをあわせてみたって)

歩く速さを合わせてみたって、

(ならべないままはぐれていった)

並べないまま逸れていった。

(ここにはもういられないな)

「ここにはもういられないな」

(いわないでまだとおくへ)

言わないで。まだ遠くへ！

(かなうだろうか)

叶うだろうか？

(おもってもないことばに)

思ってもない言葉に

(あさをとおざけた)

朝を遠ざけた。

(あかりはつけないままでいい)

灯りはつけないままで良い！

(いまでもそうだ)

今でも“そう”だ。

(かくれたまま)

隠れたまま、

(なまえもすてたまま)

名前も棄てたまま。

(はるはとおかった)

春は遠かった。

(こないみたいだ)

来ないみたいだ。

(おなじよるをおもってうたってみたって)

同じ夜を想って歌ってみたって、

(とどかないままできえていった)

届かないままで消えていった。

(あすをまつねがいなんていわないで)

明日を待つ願いなんて言わないで。

(まだここにいるよ)

未だここにいるよ。

(おなじよるをどこかへおいてきたって)

同じ夜をどこかへ置いてきたって、

(そのてはかたをすべりおちた)

その手は肩を滑り落ちた！

(やがてひもくれてしまって)

やがて陽も暮れてしまって、

(みえないままながれおちるよ)

見えないまま流れ落ちるよ。

(きみがどこかへいこうとしたって)

君が何処かへ行こうとしたって、

(はなれたてをつなげずにいたんだ)

離れた手を繋げずにいたんだ。

(あしたがもうすぎさったなら)

明日がもう過ぎ去ったなら

(いわないで)

言わないで！

(まだとおくへ)

まだ遠くへ！

(うたう)

歌う。

(わかちあえばたりないままで)

“分かち合えば足りない”ままで。

(きみのこえはなれやしないなあ)

君の声、離れやしないなぁ。

(よるをどこかへおいてきたって)

夜をどこかへ置いてきたって。

(きみがとおくへいこうとしたって)

君が遠くへ行こうとしたって。