白夜

(あいのそらがやかれてあさがくる)

藍の空が焼かれて朝が来る

(めをさまして)

目を覚まして

(ただのゆめならばとねがうの)

ただの夢ならばと願うの

(いまほほをつたうしずくにもなにかりゆうがあるのに)

いま頬を伝う雫にも何か理由があるのに

(かなしみもよろこびもどれもちがうきがした)

哀しみも喜びもどれも違う気がした

(うそになったゆめがね)

噓になった夢がね

(きずにふれていたむの)

傷に触れて痛むの

(やさしさもぬくもりもことばもときもきかなくてさ)

優しさも温もりも言葉も時も効かなくてさ

(いきるりゆうがいつのまにかかたちをかえて)

生きる理由がいつの間にか形を変えて

(しらんだきっさきをこころにつきつけている)

白んだ切っ先を心に突きつけている

(しするりゆうなんかない)

死する理由なんかない

(そうおもっていたのになにもかもがくずれていく)

そう思っていたのに何もかもが崩れていく

(くちずさんだせんりつもゆびでふれたぴあのも)

口ずさんだ旋律も指で触れたピアノも

(くつおともかざきりもみゃくをきざむしんぞうも)

靴音も風切りも脈を刻む心臓も

(みえなくてもそこに)

見えなくてもそこに

(たしかにあるはずなのに)

確かにあるはずなのに

(とどかないきこえない)

届かない聞こえない

(せかいはいろをなくしていく)

世界は色を失くしていく

(だれもが)

誰もが

(ここでうまれて)

ここで生まれて

(ここでいのちをおとすだけなのに)

ここで命を落とすだけなのに

(どうしてかなしいのか)

どうして悲しいのか

(ものがたりのなかならここで)

物語の中ならここで

(きせきがおきたりして)

奇跡が起きたりして

(しあわせなあすへむかうのに)

幸せな明日へ向かうのに

(いきるりゆうがいつのまにかかたちをかえて)

生きる理由がいつの間にか形を変えて

(しらんだきっさきをこころにつきつけている)

白んだ切っ先を心に突きつけている

(ことばはちゅうをまい)

言葉は宙を舞い

(おもいはちにのこるなら)

思いは地に残るなら

(しずんでもともりつづけるびゃくやになれる)

沈んでも灯り続ける白夜になれる

(いきるりゆうはもうないこんなせかいだけど)

生きる理由はもう無いこんな世界だけど

(いきたいみはあるといえる)

生きた意味はあると言える

(きみがうたえば)

君が唄えば

(よるのつきがとうといとおもうのは)

夜の月が尊いと思うのは

(そのひかりがただひとつしかないからでしょう)

その光が唯ひとつしかないからでしょう