万仙陣

問題文
(おまえのせかいはおまえのかたちにとじている)
おまえの世界はおまえの形に閉じている
(ならばおのれがしんのみをもとめてしれろよ、えつらくのしをつむいでくれ)
ならば己が真のみを求めて痴れろよ、悦楽の詩を紡いでくれ
(それはただしい。まちがっていない)
それは正しい。間違っていない
(ああ、おまえがそうおもうならおまえのなかではそうなのだろうよ)
ああ、おまえがそう思うならおまえの中ではそうなのだろうよ
(そしていっぽう、かれらはおもう。それもただしい。まちがっていない)
そして一方、彼らは思う。 それも正しい。間違っていない
(ああ、かれらがそうおもうならかれらのなかではそうなのだろうよ)
ああ、彼らがそう思うなら彼らの中ではそうなのだろうよ
(おまえがそうおもうならおまえのなかではそうなのだから。だれにはばかることがある)
おまえがそう思うならおまえの中ではそうなのだから。誰に憚ることがある
(ういぞ。かまわん。すきにねがってゆめをみろ)
愛いぞ。構わん。好きに願って夢を見ろ
(おまえのとじたせんきょうこそ、おまえにとってのしんじつである)
おまえの閉じた仙境こそ、おまえにとっての真実である
(まぁならば、すきにおもえよ。こちらもそうする)
まぁならば、好きに思えよ。こちらもそうする
(おまえもかわらずしあわせにゆめをけんしょうすればいいさ)
おまえも変わらず幸せに夢を顕象すればいいさ
(こんなんを?のりこえる?おもえばよかろう、)
困難を?乗り越える?思えばよかろう、
(そのときすでにおまえはおまえのなかでしょうしゃだから。)
その時すでにおまえはおまえの中で勝者だから。
(せいちょうとやらものぞんだぶんだけしているはず。)
成長とやらも望んだ分だけしているはず。
(げきてきなてんかいとやらも、すきなだけゆめみてえがけ)
劇的な展開とやらも、好きなだけ夢見て描け
(ああ、まったくだ。なんてういやつ)
ああ、まったくだ。なんて愛い奴
(おまえがそうおもうならおまえのなかではそうなのだろう)
おまえがそう思うならおまえの中ではそうなのだろう
(おれをたおしたい?やればよかろう。)
俺を斃したい? やればよかろう。
(おまえがそうおもうのなら、おまえのなかでおれをけしさり)
おまえがそう思うのなら、おまえの中で俺を消し去り
(おまえのせかいをすくったえいゆうとしておまえじしんをほこればいいのだ)
おまえの世界を救った英雄としておまえ自身を誇ればいいのだ
(いいぞいいぞ、すきにゆめをおもいえがけ)
いいぞいいぞ、好きに夢を思い描け
(そのときおまえは、おまえのなかでせかいのしょうしゃだ)
そのときおまえは、おまえの中で世界の勝者だ
(おれはおまえのしあわせを、いついかなるときもいのっている)
俺はおまえの幸せを、いつ如何なるときも祈っている
(わたしをどうにかしたいのならば、よいをさましてそとにでてこい)
私をどうにかしたいのならば、酔いを醒まして外に出て来い
(だれがくるしみながらすすむみちでしあわせになれるという!)
誰が苦しみながら進む道で幸せになれると言う!
(きずなだと?しょせんはがよくのおしつけあい)
絆だと?しょせんは我欲の押し付け合い
(たしゃにのぞまぬことをやらせるため、つくりあげたからだのいいほうべんだろうが!)
他者に望まぬことをやらせるため、創りあげた体のいい方便だろうが!
(いやならやらねばいいだけのこと、そのじゆうすらうばいとるのがいわくきずな、いわくせいぎ)
嫌ならやらねばいいだけのこと、その自由すら奪い取るのが曰く絆、曰く正義
(ただのどうちょうあつりょくにすぎん!しれているのはどちらだという!)
ただの同調圧力に過ぎん!痴れているのはどちらだと言う!
(きさまのようなものがいるから、ひとはなげきかなしむのだろうがぁっ!)
貴様のような者がいるから、人は嘆き悲しむのだろうがァッ!
(おまえにつけるくすりなどないここでなにをいってもさんぽあるけばわすれるだろう)
おまえに付ける薬などないここで何を言っても三歩歩けば忘れるだろう
(すきにしろよねっしんなばかほどてにおえんぶかはない)
好きにしろよ 熱心な馬鹿ほど手に負えん部下はない
(おまえのことはしぜんげんしょうのようなものだとりかいしている)
おまえのことは 自然現象のようなものだと理解している
(それでこちらのしょうがいとなれば、いうまでもない)
それでこちらの障害となれば、言うまでもない
(にどとおまえのようなやつとたたかいたくはなかったが、そういうことだ)
二度とおまえのような奴と戦いたくはなかった が、そういうことだ
(はっはっは、なるほどじつにめいかいだ。これはみらいがたのしみでならん)
はっはっは、なるほど実に明快だ。これは未来が楽しみでならん
(おれにとってのぱらいぞはいたるところにほうがのきざしをみせているということか)
俺にとってのぱらいぞは至るところに萌芽の兆しを見せているということか
(こんご、このみはあらゆるみらいのかときにあらわれ)
今後、この身はあらゆる未来の過渡期に顕れ
(ぞんぶんにひとのあいとゆうきをたんのうしよう)
存分に人の愛と勇気を堪能しよう
(すばらしい、じつにじつにすばらしい!すべてがひかりかがやいている!)
素晴らしい、実に実に素晴らしい! すべてが光り輝いている!
(これほどのしゅくふくがてんかにあろうか!)
これほどの祝福が天下にあろうか!
(ああ、おれはまねかれればどこにでもいくぞ。おまえたちをあいするためにな!)
ああ、俺は招かれれば何処にでも行くぞ。おまえたちを愛するためにな!
(そう、おまえのゆうきはすばらしい。)
そう、おまえの勇気は素晴らしい。
(ゆえにとうぜん、おれとたたかうかくごもあるのだろう?)
ゆえに当然、俺と戦う覚悟もあるのだろう?
(なぐるから、なぐりかえせよ。ともにおどるよろこびもいちどはけいけんしてみるといい。)
殴るから、殴り返せよ。 共に踊る喜びも一度は経験してみるといい。
(ぞんがいと、やみつきになるかもしれんだろう?なあ、あへんくるいなしるべあきらどのよ。)
存外と、病み付きになるかもしれんだろう?なあ、阿片狂いな導士殿よ。
(ふふふ、はははは、はははははははははは)
ふふふ、はははは、はははははははははは
(あまかすにきにいられるということは、すなわちこういうけっかをまねく。)
甘粕に気に入られるということは、すなわちこういう結果を招く。
(よろずせんじんのさくちゅうでは、りすくをかんがえてこうどうしろ)
万仙陣の作中では、リスクを考えて行動しろ
(というあまかすのしそうがあかされているいじょうは)
という甘粕の思想が明かされている以上は
(とうぜん、あまかすはきによってぎゃくにぼこぼこにされるかもしれないという)
当然、甘粕は黄によって逆にボコボコにされるかもしれないという
(りすくをかんがえているはずである。)
リスクを考えているはずである。
(それでも、きのこぶしをそのみであじわいたがっているし、)
それでも、黄の拳をその身で味わいたがっているし、
(かれのゆうきを、かれのあいを、すばらしきかくごのかがやきをかんじたいとおもっているのだ)
彼の勇気を、彼の愛を、素晴らしき覚悟の輝きを感じたいと思っているのだ
(まんえつかねおまえたち。ああ、おれもいまみちたりている。)
満悦かねおまえたち。ああ、俺もいま満ち足りている。
(なんでもよいのだ。ねがうしんがむねにあるならただそのみちをひたはしれ)
なんでもよいのだ。願う真が胸にあるならただその道をひた走れ
(つまずき、たおれ、どろをなめようがなんどでもたちあがるのだよ。)
躓き、倒れ、泥を舐めようが何度でも立ち上がるのだよ。
(なぜならだれでも、あきらめなければいつかきっとゆめはかなうとしんじているから。)
なぜなら誰でも、諦めなければいつかきっと夢は叶うと信じているから。
(やすきにながれるなよ、むねをはれい。おまえはかならず、おまえのじんせいをとうはできる。)
易きに流れるなよ、胸を張れい。おまえは必ず、おまえの人生を踏破できる。
(おれはいつも、いつもおまえたちのそばにあるのだわすれるな)
俺はいつも、いつもおまえたちの傍に在るのだ忘れるな