夏目漱石「こころ」3-22
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
次:https://typing.twi1.me/game/385448
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
16:懐中(ふところ)
20:耻ずかしい(はずかしい)
21:働らく(はたらく)
27:偸まない(ぬすまない)
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次回、今回の少し続きからです。
順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | berry | 7825 | 神 | 7.9 | 98.2% | 192.7 | 1535 | 27 | 30 | 2024/09/24 |
2 | なおきち | 7428 | 光 | 7.6 | 96.9% | 201.4 | 1545 | 49 | 30 | 2024/10/19 |
3 | 饅頭餅美 | 5383 | B++ | 5.7 | 94.5% | 272.7 | 1557 | 89 | 30 | 2024/10/11 |
4 | やまちゃん | 4874 | B | 5.0 | 97.2% | 307.3 | 1542 | 44 | 30 | 2024/10/27 |
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問題文
(じゅうに)
十二
(「わたくしのきぶんはくにをたつときすでにえんせいてきになっていました。)
「私の気分は国を立つ時既に厭世的になっていました。
(ひとはたよりにならないものだというかんねんが、)
他は頼りにならないものだという観念が、
(そのときほねのなかまでしみこんでしまったようにおもわれたのです。)
その時骨の中まで染み込んでしまったように思われたのです。
(わたくしはわたくしのてきしするおじだのおばだの、そのほかのしんせきだのを、)
私は私の敵視する叔父だの叔母だの、その他の親戚だのを、
(あたかもじんるいのだいひょうしゃのごとくかんがえだしました。)
あたかも人類の代表者の如く考え出しました。
(きしゃへのってさえとなりのもののようすを、それとなくちゅういしはじめました。)
汽車へ乗ってさえ隣のものの様子を、それとなく注意し始めました。
(たまにむこうからはなしかけられでもすると、なおのことけいかいをくわえたくなりました。)
たまに向から話し掛けられでもすると、猶の事警戒を加えたくなりました。
(わたくしのこころはちんうつでした。)
私の心は沈鬱でした。
(なまりをのんだようにおもくるしくなることがときどきありました。)
鉛を吞んだように重苦しくなる事が時々ありました。
(それでいてわたくしのしんけいは、いまいったごとくにするどくとがってしまったのです。)
それでいて私の神経は、今云った如くに鋭く尖ってしまったのです。
(わたくしがとうきょうへきてげしゅくをでようとしたのも、)
私が東京へ来て下宿を出ようとしたのも、
(これがおおきなげんいんになっているようにおもわれます。)
これが大きな源因になっているように思われます。
(かねにふじゆうがなければこそ、)
金に不自由がなければこそ、
(いっこをかまえてみるきにもなったのだといえばそれまでですが、)
一戸を構えて見る気にもなったのだと云えばそれまでですが、
(もとのとおりのわたくしならば、たといふところによゆうができても、)
元の通りの私ならば、たとい懐中に余裕が出来ても、
(このんでそんなめんどうなまねをしなかったでしょう。)
好んでそんな面倒な真似をしなかったでしょう。
(わたくしはこいしかわへひきうつってからも、)
私は小石川へ引き移ってからも、
(とうぶんこのきんちょうしたきぶんにくつろぎをあたえることができませんでした。)
当分この緊張した気分に寛ぎを与える事が出来ませんでした。
(わたくしはじぶんでじぶんがはずかしいほど、きょときょとしゅういをみまわしていました。)
私は自分で自分が耻ずかしい程、きょときょと周囲を見廻していました。
(ふしぎにもよくはたらくのはあたまとめだけで、くちのほうはそれとはんたいに、)
不思議にもよく働らくのは頭と眼だけで、口の方はそれと反対に、
(だんだんうごかなくなってきました。)
段々動かなくなって来ました。
(わたくしのうちのもののようすをねこのようによくかんさつしながら、)
私の家のものの様子を猫のようによく観察しながら、
(だまってつくえのまえにすわっていました。)
黙って机の前に坐っていました。
(ときどきはかれらにたいしてきのどくだとおもうほど、)
時々は彼等に対して気の毒だと思う程、
(わたくしはゆだんのないちゅういをかれらのうえにそそいでいたのです。)
私は油断のない注意を彼等の上に注いでいたのです。
(おれはものをぬすまないきんちゃくきりみたようなものだ、)
おれは物を偸まない巾着切みたようなものだ、
(わたくしはこうかんがえて、じぶんがいやになることさえあったのです。)
私はこう考えて、自分が厭になる事さえあったのです。
(あなたはさだめてへんにおもうでしょう。)
貴方は定めて変に思うでしょう。
(そのわたくしがそこのおじょうさんをどうしてすくよゆうをもっているか。)
その私が其所の御嬢さんをどうして好く余裕を有っているか。