洒落怖《こっくりさんですらない》

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シン・洒落怖

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問題文

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(みそじもちかづくとけっこんするやつがふえてくるから、)

三十路も近づくと結婚するやつが増えてくるから、

(だいたいじもとのどうきゅうせいってそえんになっていきますよね。)

大体地元の同級生って疎遠になっていきますよね。

(そういうときにもよおされるどうそうかいってのが、やっぱりむかしばなしにはながさいて、)

そういう時に催される同窓会ってのが、やっぱり昔話に花が咲いて、

(としをとったなというせきばくとそんなこともあったなっていうきょうしゅうがいりまじった、)

歳を取ったなという寂寞とそんなこともあったなっていう郷愁が入り混じった、

(すみれいろのようなすこしせつないきもちが、なんかいいなって。)

菫色のような少し切ない気持ちが、なんかいいなって。

(こうこうのどうそうかいでさえそうおもったから、)

高校の同窓会でさえそう思ったから、

(つぎにやるよていのちゅうがくのどうそうかいはもっとたのしいだろうって、)

次にやる予定の中学の同窓会はもっと楽しいだろうって、

(だって、しょうがっこうのやつらもほとんどおなじちゅうがくいったから、)

だって、小学校のやつらもほとんど同じ中学行ったから、

(しょうちゅうごうどうのどうそうかいってかんじなんですよ。)

小中合同の同窓会って感じなんですよ。

(とうじつほてるのえんかいじょうにはやめについたら、もうてんしょんあがっちゃって。)

当日ホテルの宴会場に早めに着いたら、もうテンション上がっちゃって。

(つぎつぎになつかしいかおがあつまってくるから、それはそれはもう。)

次々に懐かしい顔が集まってくるから、それはそれはもう。

(あいつふとってたなとか、かわってねえなとか、)

あいつ太ってたなとか、変わってねえなとか、

(あんまりいじれないたいぷのやつがはげてたりして)

あんまりいじれないタイプのやつが剥げてたりして

(お、おうみたいなのとか。)

お、おうみたいなのとか。

(じょしのとうじからはでだったぎゃるっぽいしゅうだんは)

女子の当時から派手だったギャルっぽい集団は

(「うわ、ばーきんもってきてんじゃん!」「だんなにおねだりしたった~」)

「うわ、バーキン持ってきてんじゃん!」「旦那におねだりしたった~」

(とかはしゃいでたりとか、やっぱとうじかわいいこはずっとかわいいなって、)

とかはしゃいでたりとか、やっぱ当時可愛い子はずっと可愛いなって、

(くだらないはなしてたらほんとにたいむすりっぷしたみたいにどうしんがよみがえって)

くだらない話してたらほんとにタイムスリップしたみたいに童心が甦って

(よかったんですよね。とちゅうまでは。)

良かったんですよね。途中までは。

(しょうがっこうからいっしょの、かげやまくんっていうともだちがいたんですよ。)

小学校から一緒の、影山君っていう友達がいたんですよ。

など

(けっこうなかよくしてたからあえるのをたのしみにしてたんだけど、ぜんぜんこなくて。)

結構仲良くしてたから会えるのを楽しみにしてたんだけど、全然来なくて。

(「なあ、かげやまくんってきょうくるの?」っておなじてーぶるのみんなになげかけたら、)

「なあ、影山君って今日来るの?」って同じテーブルのみんなに投げかけたら、

(「くるよていだったとおもうけど」「かげやまってだれ?」)

「来る予定だったと思うけど」「影山って誰?」

(っていうこえがかさなってきこえたんですよね。)

っていう声が重なって聞こえたんですよね。

(え?いやいやかげやまくんだよっていうぼくのつぶやきがむさんするように)

え?いやいや影山君だよっていう僕のつぶやきが霧散するように

(てーぶるないの10にんで)

テーブル内の10人で

(「そういうおふざけいらねえよ」「え?まじでだれ?てんこうせいとか?」)

「そういうおふざけいらねえよ」「え?まじで誰?転校生とか?」

(「いや、まるまるしょうのかげやまだよ」「まじでわからん、りこんしてみょうじかわったとか?」)

「いや、○○小の影山だよ」「まじでわからん、離婚して苗字変わったとか?」

(「ずっとかげやまだから」って、いいあいがはじまって。)

「ずっと影山だから」って、言い合いが始まって。

(みごとにかげやまくんをおぼえてるはとおぼえていないはの)

見事に影山君を覚えてる派と覚えていない派の

(はんぶんにてーぶるないでわかれたんですよ。)

半分にテーブル内で別れたんですよ。

(それはじょじょにほかのてーぶるにもかんせんしていきました。)

それは徐々に他のテーブルにも感染していきました。

(けっか、ふしぎなことに、がくねんのおよそはんぶんがかげやまくんをおぼえていなかったのです。)

結果、不思議なことに、学年の凡そ半分が影山君を覚えていなかったのです。

(するとまたきみょうなろんてんがうまれたんですよ。)

するとまた奇妙な論点が生まれたんですよ。

(「だから、かげやまだよ!あのえきまえのまるまるれじでんすってまんしょんにすんでたさ」)

「だから、影山だよ!あの駅前の○○レジデンスってマンションに住んでたさ」

(「いや、かげやまはいっけんやすんでただろ。おれあそびにいったことあるもん」)

「いや、影山は一軒家住んでただろ。俺遊びに行ったことあるもん」

(「うそつくなよ、さんかくさんかくもおなじまんしょんだったからおぼえてんだよ」)

「嘘つくなよ、△△も同じマンションだったから覚えてんだよ」

(かげやまくんをおぼえているなかでも、)

影山君を覚えている中でも、

(すんでいるばしょのきおくがまんしょんといっけんやでくいちがっていくのです。)

住んでいる場所の記憶がマンションと一軒家で食い違っていくのです。

(さらに、「まじでおぼえてないの?りくじょうぶだったあのかげやまだぜ」)

更に、「まじで覚えてないの?陸上部だったあの影山だぜ」

(「ちょいまちて、あいつはびじゅつぶな」)

「ちょい待て、あいつは美術部な」

(「ざけんな、うんどうかいでりれーはやかっただろ、りくぶだよ」)

「ざけんな、運動会でリレー早かっただろ、陸部だよ」

(みんなのきおくにある、かげやまくんのぶかつもくいちがってきました。)

皆の記憶にある、影山君の部活も食い違ってきました。

(どうにもこうにもしゅうしゅうがつかなくなってきたあたりで)

どうにもこうにも収集がつかなくなってきたあたりで

(ひとりがこうさけんだんです。)

一人がこう叫んだんです。

(「よしわかった!じゃあおれらこうれいのあれでこたえだそう!」)

「よし分かった!じゃあ俺ら恒例のアレで答え出そう!」

(「そうすっか!だれかー、わしとすずりとすみ!」)

「そうすっか!誰かー、和紙と硯と墨!」

(「はいはーい!」)

「はいはーい!」

(とさきほどはしゃいでいたぎゃるのばーきんから、わしとすずりとすみがでてきました。)

と先程はしゃいでいたギャルのバーキンから、和紙と硯と墨が出てきました。

(ぼく、かげやまくんいるはいないはにわかれたあたりからしこうていししてましたけど)

僕、影山君いる派いない派に別れた辺りから思考停止してましたけど

(「あ、ばーきんにしゅうじせっといれるひといるんだ」って)

「あ、バーキンに習字セット入れる人いるんだ」って

(どこかたにんごとのようにおもったの、おぼえてます。)

どこか他人事のように思ったの、覚えてます。

(「きょうは、えーと、けのひだからじょし!だれかかみのけちょーだい!」)

「今日は、えーと、ケの日だから女子!誰か髪の毛ちょーだい!」

(「あ、あたしのあげるわー。ちょうどすこしみじかくしたかったし」)

「あ、あたしのあげるわー。ちょうど少し短くしたかったし」

(おんなのこがかみのけをひとふさつかんで、はさみでちょきん、ときりました。)

女の子が髪の毛を一房掴んで、ハサミでちょきん、と切りました。

(それをうけとっただんしは、わりばしとわごむで)

それを受け取った男子は、割り箸と輪ゴムで

(そのこのかみのけできようにふでをつくったんです。)

その子の髪の毛で器用に筆を作ったんです。

(そのじんもうのふでで、わしにさらさらっとごじゅうおんひょうをかきあげていました。)

その人毛の筆で、和紙にさらさらっと五十音表を書き上げていました。

(ぼくは、ひとつもりかいがおよびませんでしたよ。)

僕は、一つも理解が及びませんでしたよ。

(こうれい?けのひ?こっくりさんでもやんの。)

恒例?ケの日?こっくりさんでもやんの。

(はやってたっけ。せだいじゃなくね。ってかんじで。)

流行ってたっけ。世代じゃなくね。って感じで。

(そしたら、もじをかいただんしがすずりにじぶんのちをたらして、すみとまぜたんです。)

そしたら、文字を書いた男子が硯に自分の血を垂らして、墨と混ぜたんです。

(えいせいかんねんしんでんのか?ってかんじですよね。)

衛生観念死んでんのか?って感じですよね。

(そしてこっくりさんならとりいがかかれるであろう、わしのちゅうおうのうえぶぶんに、)

そしてこっくりさんなら鳥居が書かれるであろう、和紙の中央の上部分に、

(「たつきつね」)

「辰狐」

(ってかいたんです。)

って書いたんです。

(「よしっ、じゅんびできた!じゃあいくぞ!せーのっ」)

「よしっ、準備できた!じゃあいくぞ!せーのっ」

(「だきにてんさまさきにてんさまつかいのはくびをおよこしください)

「だきにてんさまさきにてんさまつかいのはくびをおよこしください

(われらがからだをみしるしにてあかくきよめそのおちからをおさずけください」)

われらがからだをみしるしにてあかくきよめそのおちからをおさずけください」

(ああ、もうこっくりさんですらねえわ、っておもって、)

ああ、もうこっくりさんですらねえわ、って思って、

(そのかいじょうからこっそりにげました。)

その会場からこっそり逃げました。

(かえりぎわ、かんばんにだんたいめいかかれてあるやつじゃないですか)

帰り際、看板に団体名書かれてあるやつじゃないですか

(あれみたらしかくしかくちゅうがっこうどうそうかいさまって。)

あれ見たら□□中学校同窓会様って。

(それ、まったくききおぼえのないちゅうがっこうのなまえだったんですよ。)

それ、全く聞き覚えのない中学校の名前だったんですよ。

(そんでよくかんがえたら、さっきまでしゃべっていたやつらのことなつかしいとはおもったけど、)

そんでよく考えたら、さっきまで喋っていた奴らの事懐かしいとは思ったけど、

(なまえをひとりもおもいだせなかったんです。)

名前を一人も思い出せなかったんです。

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