夏目漱石「こころ」3-43

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投稿者投稿者たけしいいね1お気に入り登録
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夏目漱石「こころ」3-43
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
11:己れ(おのれ)
15:感傷的(せんちめんたる)
19:横わる(よこたわる)
24:鈍い(のろい)
27:焦慮り方(あせりかた)
27:甚しかった(はなはだしかった)
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 なおきち 7218 7.4 96.7% 180.5 1348 45 28 2024/10/26
2 mame 5068 B+ 5.4 93.6% 247.6 1346 91 28 2024/12/14
3 やまちゃん 4754 B 4.8 97.2% 276.6 1353 38 28 2024/11/13

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問題文

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(わたくしはけいとおなじようなへんじをかれのぎけいあてでだしました。)

私はKと同じような返事を彼の義兄宛で出しました。

(そのなかに、)

その中に、

(まんいちのばあいにはわたくしがどうでもするから、あんしんするようにといういみを)

万一の場合には私がどうでもするから、安心するようにという意味を

(つよいことばでかきあらわしました。)

強い言葉で書き現わしました。

(これはもとよりわたくしのいちぞんでした。)

これは固より私の一存でした。

(けいのゆくさきをしんぱいするこのあねにあんしんをあたえようというこういは)

Kの行先を心配するこの姉に安心を与えようという好意は

(むろんふくまれていましたが、わたくしをけいべつしたとよりほかにとりようのない)

無論含まれていましたが、私を軽蔑したとより外に取りようのない

(かれのじっかやようけにたいするいじもあったのです。)

彼の実家や養家に対する意地もあったのです。

(けいのふくせきしたのはいちねんせいのときでした。)

Kの復籍したのは一年生の時でした。

(それからにねんせいのなかごろになるまで、やくいちねんはんのあいだ、)

それから二年生の中頃になるまで、約一年半の間、

(かれはどくりょくでおのれをささえていったのです。)

彼は独力で己れを支えて行ったのです。

(ところがこのかどのろうりょくが)

ところがこの過度の労力が

(しだいにかれのけんこうとせいしんのうえにえいきょうしてきたようにみえだしました。)

次第に彼の健康と精神の上に影響して来たように見え出しました。

(それにはむろんようけをでるでないのうるさいもんだいもてつだっていたでしょう。)

それには無論養家を出る出ないの蒼蠅い問題も手伝っていたでしょう。

(かれはだんだんせんちめんたるになってきたのです。)

彼は段々感傷的になって来たのです。

(ときによると、)

時によると、

(じぶんだけがよのなかのふこうをしょってたっているようなことをいいます。)

自分だけが世の中の不幸を背負って立っているような事を云います。

(そうしてそれをうちけせばすぐげきするのです。)

そうしてそれを打ち消せばすぐ激するのです。

(それからじぶんのみらいによこたわるこうみょうが、)

それから自分の未来に横わる光明が、

(しだいにかれのめをとおのいていくようにもおもって、いらいらするのです。)

次第に彼の眼を遠退いて行くようにも思って、いらいらするのです。

など

(がくもんをやりはじめたときには、だれしもいだいなほうふをもって、)

学問を遣り始めた時には、誰しも偉大な抱負を有って、

(あたらしいたびにのぼるのがつねですが、)

新らしい旅に上るのが常ですが、

(いちねんとたちにねんとすぎ、もうそつぎょうもまぢかになると、)

一年と立ち二年と過ぎ、もう卒業も間近になると、

(きゅうにじぶんのあしのはこびののろいのにきがついて、)

急に自分の足の運びの鈍いのに気が付いて、

(かはんはそこでしつぼうするのがあたりまえになっていますから、)

過半は其所で失望するのが当り前になっていますから、

(けいのばあいもおなじなのですが、)

Kの場合も同じなのですが、

(かれのあせりかたはまたふつうにくらべるとはるかにはなはだしかったのです。)

彼の焦慮り方は又普通に比べると遥かに甚しかったのです。

(わたくしはついにかれのきぶんをおちつけるのがせんいちだとかんがえました。)

私はついに彼の気分を落ち付けるのが専一だと考えました。

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