怖い話《誰と話しているの?》

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タグ怖い話

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問題文

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(「ねぇ、だれとはなしてるの?」)

「ねぇ、誰と話してるの?」

(つまがとつぜん、そんなことをきいてきた。)

妻が突然、そんな事を聞いてきた。

(たぼうなせいか、ふなかになってしまったわたしたち。)

多忙なせいか、不仲になってしまった私達。

(だいがくじだい、あんなになかよくやっていたのに、しゃかいじんになったとたん、)

大学時代、あんなに仲良くやっていたのに、社会人になった途端、

(いちめんのおはなばたけだったのうないはいっしゅんにしてあれちとなった。)

一面のお花畑だった脳内は一瞬にして荒地となった。

(げんじつはひさんなものだ。)

現実は悲惨なものだ。

(じかんがとれないといいわけをかさね、ふたりはもうさめきっていた。)

時間が取れないと言い訳を重ね、二人はもう冷めきっていた。

(そんななか、ひさしぶりにかのじょがはっしたことばが”だれとはなしてるの?”だった。)

そんな中、久しぶりに彼女が発した言葉が”誰と話してるの?”だった。

(かのじょがいうには、よなかにとなりのべっどで、わたしがだれかとはなしているそうだ。)

彼女が言うには、夜中に隣のベッドで、私が誰かと話しているそうだ。

(しかしそこにはだれもいなくて、ひとりでぶつぶつしゃべっていると。)

しかしそこには誰も居なくて、一人でブツブツ喋っていると。

(わたしにそのじかくはない。)

私にその自覚はない。

(しかしおさないころから、ねごとがおおいといわれてはいた。)

しかし幼い頃から、寝言が多いと言われてはいた。

(「むかしからねごとがおおいんだ。うるさいよね。ごめんよ。」)

「昔から寝言が多いんだ。うるさいよね。ごめんよ。」

(つまはぶあいそうにくびをかしげると、ぱんをくわえそそくさとしごとへむかった。)

妻は無愛想に首を傾げると、パンを咥えそそくさと仕事へ向かった。

(きょうはふたりでちょうしょくがたべられるかもとすこしきたいしていたのだったが。)

今日は二人で朝食が食べられるかもと少し期待していたのだったが。

(つぎのひ。)

次の日。

(あらーむをとめてりびんぐにむかうと、いすにすわるつまのかおはあおざめていた。)

アラームを止めてリビングに向かうと、椅子に座る妻の顔は青ざめていた。

(ゆげがたっているこーひーかっぷをもつみぎてはかすかにふるえていて、)

湯気が立っているコーヒーカップを持つ右手は微かに震えていて、

(とにかくおちつきがなかった。)

とにかく落ち着きがなかった。

(「どうしたの??」ときくと、かのじょはこういった。)

「どうしたの??」と聞くと、彼女はこう言った。

など

(「あのね・・・じつはきのうのあのはなしは・・・うそだったの。)

「あのね・・・実は昨日のあの話は・・・嘘だったの。

(あなたとなかよくしたくてはなしをつくったの。)

あなたと仲良くしたくて話を作ったの。

(あなたはよなかにしゃべってたりしてなかったわ。」)

あなたは夜中に喋ってたりしてなかったわ。」

(「そうだったのか・・・ありがとう。おれもなかよくしたいとおもってたんだ。」)

「そうだったのか・・・ありがとう。俺も仲良くしたいと思ってたんだ。」

(いわかんをかんじたのはすうびょうごだった。)

違和感を感じたのは数秒後だった。

(「ん?うそ”だった”ってどういうこと?」)

「ん?嘘”だった”ってどういうこと?」

(つまはしたをむいてだまりこんだ。)

妻は下を向いて黙り込んだ。

(そしてこえをふるわせ、こういった。)

そして声を震わせ、こう言った。

(「ええ。きのうまではね。うそだったわ。)

「ええ。昨日まではね。嘘だったわ。

(でもけさ、おきたらしらないおとこのひとがたってたのよ。)

でも今朝、起きたら知らない男の人が立ってたのよ。

(それで”あいつとなにはなしてたかききたい?”って、)

それで”あいつと何話してたか聞きたい?”って、

(なんどもきくのよ・・・なんどもなんども!!!)

何度も聞くのよ・・・何度も何度も!!!

(ほんとうだったのよ・・・わたしにみえてなかっただけで、)

本当だったのよ・・・私に見えてなかっただけで、

(ほんとうにそのひととあなたはかいわしてたんだわ・・・)

本当にその人とあなたは会話してたんだわ・・・

(わたし・・・こわくなって・・・だからわたし、こたえちゃったの・・・)

私・・・怖くなって・・・だから私、答えちゃったの・・・

(”ききたい”って)

”聞きたい”って

(そしたら、かれはこういったわ」)

そしたら、彼はこう言ったわ」

(「おまえをいつころすか。だよ」)

「お前をいつ殺すか。だよ」

(かおからちのけがひいてくるのがわかる。)

顔から血の気が引いてくるのが分かる。

(つまがなにをいっているのかけんとうもつかず、ぱにっくにおちいった。)

妻が何を言っているのか見当も付かず、パニックに陥った。

(「は??え、ちょっとまって。え、なにそれ。」)

「は??え、ちょっと待って。え、何それ。」

(するとつまはひざのうえからほうちょうをとりだした。)

すると妻は膝の上から包丁を取り出した。

(「わたしね。まだしにたくないの。」)

「私ね。まだ死にたくないの。」

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