怖い話《みちかさん》

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問題文

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(しんせきにれいのうしゃとよばれているひとがいる。)

親戚に霊能者と呼ばれている人がいる。

(かのじょのじもとではそれなりにゆうめいで、ほんみょうとはべつに、)

彼女の地元ではそれなりに有名で、本名とは別に、

(きんじょのひとはかのじょのことを「みちかさん」とよんでいた。)

近所の人は彼女の事を「みちかさん」と呼んでいた。

(なんでも”みぢか”と”みちか”、”みちか”がまざっていて、)

なんでも”身近”と”未知か”、”道か”が混ざっていて、

(ほんにんいわくいいかんじなのでまわりにそうよばしているらしい。)

本人曰くいい感じなので周りにそう呼ばしているらしい。

(いまげんざいほっかいどうのmべつにおり、45さいである。)

今現在北海道のM別におり、45歳である。

(かのじょは、むかしとうきょうでふどうさんがいしゃのじむをしていたのだが、)

彼女は、昔東京で不動産会社の事務をしていたのだが、

(ふとしたきっかけでやめたらしい。そのげんいんはいまでもはなしてくれない。)

ふとしたきっかけで辞めたらしい。その原因は今でも話してくれない。

(だんなさんとはそのじきわかれて、こどももだんなさんがひきとっている。)

旦那さんとはその時期別れて、子供も旦那さんが引き取っている。

(ぼくにはもともとれいかんなどないし、れいもこわいので「かのじょ」すなわち「みちかさん」と)

僕には元々霊感などないし、霊も怖いので「彼女」すなわち「みちかさん」と

(はなすのはあまりすきじゃなかった。)

話すのはあまり好きじゃなかった。

(はじめてはなしたのは、しょうがっこう4ねんのとき、ぼくがきょうとにすんでいたときだ。)

初めて話したのは、小学校4年の時、僕が京都に住んでいた時だ。

(そのときはちょうど、かぞくでちちおやがむかしすんでいたほっかいどうをたずねていた。)

その時は丁度、家族で父親が昔住んでいた北海道を訪ねていた。

(「あんた、いえのちかくにおはかのあるこうえんがあるでしょ?」えっ?とぼくはおもった。)

「あんた、家の近くにお墓のある公園があるでしょ?」えっ?と僕は思った。

(「むやみにおがんだらだめだよ。れいがついてくるからね。」)

「むやみに拝んだらだめだよ。霊がついてくるからね。」

(しょたいめんでいきなりこんなことをいわれた。)

初対面でいきなりこんな事を言われた。

(そもそもなぜかのじょがそんなことをしっているかがわからなかった。)

そもそも何故彼女がそんな事を知っているかが分からなかった。

(ただ、とうじともだちのあいだでほんのいちじき、おがむのがはやっていて、)

ただ、当時友達の間でほんの一時期、拝むのが流行っていて、

(ぼくもまねしていたのはたしかだった。りょうしんすらしらないことだ。)

僕も真似していたのは確かだった。両親すら知らない事だ。

(それいらいおがむのはやめた。)

それ以来拝むのは辞めた。

など

(2かいめにあったのは、とうきょうでおじいちゃんのそうしきがあったときだ。)

2回目に会ったのは、東京でおじいちゃんの葬式があった時だ。

(みちかさんはほっかいどうからそうしきにさんかするためにきていた。)

みちかさんは北海道から葬式に参加する為に来ていた。

(あとからしったのだが、そのときすでにれいのうしゃまがいのことをじもとでやっていたらしい。)

後から知ったのだが、その時既に霊能者まがいの事を地元でやっていたらしい。

(そのときはこういわれた。「あんたくろうするよ。うん。」)

その時はこう言われた。「あんた苦労するよ。うん。」

(「でも、あんたのなくなったおばあちゃんが、ええひとだからね。)

「でも、あんたの亡くなったおばあちゃんが、ええ人だからね。

(まもってくれてるのがすくい。あんたのちちおやもくろうにんだけど、)

守ってくれてるのが救い。あんたの父親も苦労人だけど、

(そのおばあちゃん、つまりあんだのちちおやのおかあさんだけど、)

そのおばあちゃん、つまりあんだの父親のお母さんだけど、

(そのちからがあるから、いまはしあわせにやってるでしょ?」)

その力があるから、今は幸せにやってるでしょ?」

(ぼくのおばあちゃんは、ぼくがうまれて2、3ねんごになくなった。)

僕のおばあちゃんは、僕が生まれて2、3年後に亡くなった。

(おばあちゃんは、ぼくをとてもかわいがったらしい。)

おばあちゃんは、僕をとても可愛がったらしい。

(それにしても、ぼくはそのときちゅうがくいちねんせいだったが、またもやいやなかんじになった。)

それにしても、僕はその時中学一年生だったが、またもや嫌な感じになった。

(なんでこんなことをこのひとはいうのだろう。そうおもっていたのだった。)

何でこんな事をこの人は言うのだろう。そう思っていたのだった。

(いまふりかえるとぼくのじんせいはとくべつふこうというわけでもないが、)

今振り返ると僕の人生は特別不幸という訳でもないが、

(とりたててしあわせというわけではなかった。あたっていないわけでもない。)

とりたてて幸せという訳ではなかった。当たっていない訳でもない。

(3かいめにあったのは、おじいちゃんのなにかいきかのときだった。)

3回目に会ったのは、おじいちゃんの何回忌かの時だった。

(ちいさいころからみちかさんにはいやなかんじをうけていたぼくは、)

小さい頃からみちかさんには嫌な感じを受けていた僕は、

(はなさないようにしていたのだが、)

話さないようにしていたのだが、

(なんとなくめがあってはなさなければいけないふんいきになってしまった。)

何となく目が合って話さなければいけない雰囲気になってしまった。

(「あら、げんき?」はじめてそうきかれてぼくはちょっとびっくりした。)

「あら、元気?」初めてそう聞かれて僕はちょっとびっくりした。

(「べつにあうたびにこごといいたいわけじゃないのよ。ただきになっただけだから。」)

「別に会う度に小言言いたい訳じゃないのよ。ただ気になっただけだから。」

(とかのじょはわらっていった。)

と彼女は笑って言った。

(「れいのうしゃみたいなことしているんですって?」ぼくはおもいきってかのじょにきいてみた。)

「霊能者みたいな事しているんですって?」僕は思い切って彼女に聞いてみた。

(「まあね。といってもたのまれたときだけ。ふつうはじぶんからはなにもいわないのよ。)

「まあね。と言っても頼まれた時だけ。普通は自分からは何も言わないのよ。

(そんなにわかるわけでもないし。しんせきだろうとね。」)

そんなに分かる訳でもないし。親戚だろうとね。」

(うそつけ、とないしんおもったがだまっていた。)

嘘つけ、と内心思ったが黙っていた。

(「あんたはとくべつよ。」まるでぼくのこころをみすかしたようにかのじょはつけくわえた。)

「あんたは特別よ。」まるで僕の心を見透かした様に彼女は付け加えた。

(「ところで、どんなかんじなんですか?れいって?」)

「ところで、どんな感じなんですか?霊って?」

(「どんなかんじ?そりゃいろいろ。ほんと、いろいろ。)

「どんな感じ?そりゃ色々。ほんと、色々。

(でもどれもきほんてきにはさ、にんげんのしねんののこりなわけよ。わかる?」)

でもどれも基本的にはさ、人間の思念の残りな訳よ。分かる?」

(わかるわけがない。「こじんのなにかのおもいがれいになっちゃうわけよ。)

分かる訳がない。「個人の何かの思いが霊になっちゃう訳よ。

(だから、そのおもいをしるのがだいじなの。ね。」)

だから、その思いを知るのが大事なの。ね。」

(「ただ・・・」「ときどきとんでもないのがある。わたしじゃどうしようもないのが。」)

「ただ・・・」「時々とんでもないのがある。私じゃどうしようもないのが。」

(「たとえば?」とぼく。「ききたいの?」)

「例えば?」と僕。「聞きたいの?」

(そういってみちかさんはぼくにれいたいけんをかたってくれた。)

そう言ってみちかさんは僕に霊体験を語ってくれた。

(みちかさんはちじんにたのまれてほっかいどうのkまちにいくことになった。)

みちかさんは知人に頼まれて北海道のK町に行く事になった。

(そこには2ねんまえぐらいからげんいんふめいのやまいになった14さいのしょうねんがまっていた。)

そこには2年前ぐらいから原因不明の病になった14歳の少年が待っていた。

(なんでもむねがずっとくるしいらしい。)

何でも胸がずっと苦しいらしい。

(いしゃのほうでもげんいんがわからず、かといっていのちにかかわるほど、)

医者の方でも原因が分からず、かといって命に関わる程、

(きけんというものでもないので、にゅういんひようのこともかんがえ、じたくりょうようをつづけている)

危険というものでもないので、入院費用の事も考え、自宅療養を続けている

(とのことだった。がっこうはきぶんがいいときにだけいっているらしい。)

との事だった。学校は気分がいい時にだけ行っているらしい。

(「いってみてびっくりしたのよ。ほんと。」とかのじょはこうふんぎみにいった。)

「行ってみてびっくりしたのよ。ほんと。」と彼女は興奮気味に言った。

(「さいしょはさ、まぁわたしのようなうさんくさいにんげんにたのんでくるくらいなんだから、)

「最初はさ、まぁ私のような胡散臭い人間に頼んでくるくらいなんだから、

(とうぜんれいがらみなのはわかってたんだけどさ。」)

当然霊絡みなのは分かってたんだけどさ。」

(そこは、ほっかいどうちほうにとくゆうのやねがさんかくにとがったふつうのいえだった。)

そこは、北海道地方に特有の屋根が参画に尖った普通の家だった。

(かべはくりーむいろでやねはあかい。そのときにべつだんへんなかんじはしなかったという。)

壁はクリーム色で屋根は赤い。その時に別段変な感じはしなかったと言う。

(ところが、いえにはいると「うっ!」というむねがおしつぶされるかんじにおそわれたらしい)

ところが、家に入ると「うっ!」という胸が押し潰される感じに襲われたらしい

(「ちじんにひきつれられてなかにはいると、そのははおやがまってたわけよ。とうぜんだけどね。)

「知人に引き連れられて中に入ると、その母親が待ってた訳よ。当然だけどね。

(ちちおやはしごとをやすんだらしく、しょうねんはねているべっどのまえでせいざしていたわ。」)

父親は仕事を休んだらしく、少年は寝ているベッドの前で正座していたわ。」

(「で、あいさつして「みちかです」とじこしょうかいしたわけ。)

「で、挨拶して「みちかです」と自己紹介した訳。

(そのときちょっとぴんとこたんだけどさ。ま、やりながしたの。」)

その時ちょっとピンと来たんだけどさ。ま、やり流したの。」

(なにを?ときくまえにかのじょはつづけた。)

何を?と聞く前に彼女は続けた。

(「それで、いよいよしょうねんとごたいめん。あんのじょう、なにかくろっぽいふくをきたひとが)

「それで、いよいよ少年とご対面。案の定、何か黒っぽい服を着た人が

(しょうねんのむねにのっかっているのね。そのときちょうどちちおやはといれいくってしたにいった。)

少年の胸に乗っかっているのね。その時丁度父親はトイレ行くって下に行った。

(へんでしょ、これからじょれいするってのに。」たしかにへんだ。)

変でしょ、これから除霊するってのに。」確かに変だ。

(「で、よ~くそのれいのかおをみたらさ・・・なんとそのちちおやのかおしてるじゃない!」)

「で、よ~くその霊の顔を見たらさ・・・何とその父親の顔してるじゃない!」

(「よかんはしてたけど、ほんとうにびっくりしたわ。で、ははおやにちょっと)

「予感はしてたけど、本当にびっくりしたわ。で、母親にちょっと

(じじょうをきいたらさ、どうやら、そのこはははおやのつれこだったらしいのね。)

事情を聞いたらさ、どうやら、その子は母親の連れ子だったらしいのね。

(はは~ん。そういうわけかっておもったの。そのははおやは3ねんまえにちちおやとしりあって、)

はは~ん。そういう訳かって思ったの。その母親は3年前に父親と知り合って、

(さいこんしたんだって。で、2ねんまえからむねがくるしくなったってことは、)

再婚したんだって。で、2年前から胸が苦しくなったって事は、

(どうやらちちおやがそのこをうとましくおもったみたいね。」なるほど。)

どうやら父親がその子を疎ましく思ったみたいね。」なるほど。

(「でもこまったことにさ、いきりょうってのはわたしもそのときはじめてで、じょれいしたことないのよ。)

「でも困った事にさ、生霊ってのは私もその時初めてで、除霊した事ないのよ。

(こじんのれいからもんだいないんだけど。いきているばあいはねえ、)

故人の霊から問題ないんだけど。生きている場合はねえ、

(で、どうしようかかんがえていたらさ、なんととのちちおやがいきりょうがとつぜん)

で、どうしようか考えていたらさ、何ととの父親が生霊が突然

(わたしのほうすごいぎょうそうでにらんで、わたしのむねをりょうてでおしつぶすようにしはじめたのよ!」)

私の方凄い形相で睨んで、私の胸を両手で押し潰すようにし始めたのよ!」

(「わたし、くるしくていきできなくてくるしみながらがいしゅつして!ってちじんにいったの。」)

「私、苦しくて息できなくて苦しみながら外出して!って知人に言ったの。」

(「で、つれだしてもらって、げんかんでたらすぐいきできるようになって。」)

「で、連れ出してもらって、玄関出たらすぐ息できるようになって。」

(「それでけっきょくじょれいはどうしたんですか?」「あきらめた。」「えっ?」)

「それで結局除霊はどうしたんですか?」「諦めた。」「えっ?」

(「だって、ちちおやがげんいんだなんていえないし。いったらかていほうかいだよ?)

「だって、父親が原因だなんて言えないし。言ったら家庭崩壊だよ?

(そりゃむすこはよくなるかもしれないけど。」「そのままにしたんですか?」)

そりゃ息子はよくなるかもしれないけど。」「そのままにしたんですか?」

(「あのちちおやによるしねんも、いつもつよいわけじゃないからそのうちなくなるでしょ」)

「あの父親による思念も、いつも強い訳じゃないからそのうち無くなるでしょ」

(「いいかげんだな~。」「だってべつにたいきんもらってやってるわけでもないし、)

「いい加減だな~。」「だって別に大金貰ってやってる訳でもないし、

(つぼうってるわけでもないしさ。それはじょうだんとして、れいはね、とりあつかいをまちがえると)

壺売ってる訳でもないしさ。それは冗談として、霊はね、取扱を間違えると

(ほんとうにたいへんなことになる。あたりまえだけどね、しんだひとよりね、)

本当に大変な事になる。当たり前だけどね、死んだ人よりね、

(いきているひとのほうがおもいがつよいんだよ。」)

生きている人の方が思いが強いんだよ。」

(そのあと、そのしょうねんのはなしをきいたが、けっきょくあのふうふはりこんしたとのこと。)

その後、その少年の話を聞いたが、結局あの夫婦は離婚したとの事。

(それいらいしょうねんはむねのいたみがきえたそうだ。でもあのときいちばんこわかったのは、)

それ以来少年は胸の痛みが消えたそうだ。でもあの時一番怖かったのは、

(みちかさんのはなしのさいあとのぶぶんだった。「ちじんがわたしをそとにつれだそうとしたとき、)

みちかさんの話の最後の部分だった。「知人が私を外に連れ出そうとした時、

(ちじんは、いまでちちおやをみたらしいんだけど・・せいざしてりょうめみひらいてこっちを)

知人は、居間で父親を見たらしいんだけど・・正座して両目見開いてこっちを

(がーってみてたんだって。つくえでみぎこぶしをふるわせながらね。すごいかおしてたって。」)

がーって見てたんだって。机で右拳を震わせながらね。凄い顔してたって。」

(「それきいて、なまはんかなれいよりぞ~っとしたわ。」)

「それ聞いて、生半可な霊よりぞ~っとしたわ。」

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