夏目漱石「こころ」3-98

夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
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11:未亡人(びぼうじん)
16:創(きず)
20:劇しい(はげしい)
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問題文
(ごじゅう)
五十
(「わたくしはおくさんにきのどくでしたけれども、)
「私は奥さんに気の毒でしたけれども、
(またたっていましめたばかりのからかみをあけました。)
また立って今閉めたばかりの唐紙を開けました。
(そのときけいのらんぷにあぶらがつきたとみえて、へやのなかはほとんどまっくらでした。)
その時Kの洋燈に油が尽きたと見えて、室の中は殆んど真暗でした。
(わたくしはひきかえしてじぶんのらんぷをてにもったまま、)
私は引き返して自分の洋燈を手に持ったまま、
(いりぐちにたっておくさんをかえりみました。)
入口に立って奥さんを顧みました。
(おくさんはわたくしのうしろからかくれるようにして、よんじょうのなかをのぞきこみました。)
奥さんは私の後から隠れるようにして、四畳の中を覗き込みました。
(しかしはいろうとはしません。)
然し這入ろうとはしません。
(そこはそのままにしておいて、あまどをあけてくれとわたくしにいいました。)
其所はそのままにして置いて、雨戸を開けてくれと私に云いました。
(それからあとのおくさんのたいどは、)
それから後の奥さんの態度は、
(さすがにぐんじんのびぼうじんだけあってようりょうをえていました。)
さすがに軍人の未亡人だけあって要領を得ていました。
(わたくしはいしゃのところへもいきました。またけいさつへもいきました。)
私は医者の所へも行きました。又警察へも行きました。
(しかしみんなおくさんにめいれいされていったのです。)
然しみんな奥さんに命令されて行ったのです。
(おくさんはそうしたてつづきのすむまで、だれもけいのへやへはいれませんでした。)
奥さんはそうした手続きの済むまで、誰もKの部屋へは入れませんでした。
(けいはちいさなないふでけいどうみゃくをきってひといきにしんでしまったのです。)
Kは小さなナイフで頸動脈を切って一息に死んでしまったのです。
(ほかにきずらしいものはなんにもありませんでした。)
外に創らしいものは何にもありませんでした。
(わたくしがゆめのようなうすぐらいひでみたからかみのちしおは、)
私が夢のような薄暗い灯で見た唐紙の血潮は、
(かれのくびすじからいちどにほとばしったものとしれました。)
彼の頸筋から一度に逬ばしったものと知れました。
(わたくしはにっちゅうのひかりであきらかにしたそのあとをふたたびながめました。)
私は日中の光で明らかにしたその迹を再び眺めました。
(そうしてにんげんのちのいきおいというもののはげしいのにおどろきました。)
そうして人間の血の勢というものの劇しいのに驚ろきました。
(おくさんとわたくしはできるだけのてぎわとくふうをもちいて、けいのへやをそうじしました。)
奥さんと私は出来るだけの手際と工夫を用いて、Kの室を掃除しました。
(かれのちしおのだいぶぶんは、さいわいかれのふとんにきゅうしゅうされてしまったので、)
彼の血潮の大部分は、幸い彼の蒲団に吸収されてしまったので、
(たたみはそれほどよごれないですみましたから、あとしまつはまだらくでした。)
畳はそれ程汚れないで済みましたから、後始末はまだ楽でした。
(ふたりはかれのしがいをわたくしのへやにいれて、ふだんのとおりねているていによこにしました。)
二人は彼の死骸を私の室に入れて、不断の通り寐ている体に横にしました。
(わたくしはそれからかれのじっかへでんぽうをうちにでたのです。)
私はそれから彼の実家へ電報を打ちに出たのです。