怖い話《つじつまは合わせないといけないよ》

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問題文

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(これは、わたしがちゅうがくせいだったころに、おなじくらすのsさんからきいたはなしだ。)

これは、私が中学生だった頃に、同じクラスのSさんから聞いた話だ。

(sさんはしょうがくせいじだい、くらすめいとからいじめをうけていたそうだ。)

Sさんは小学生時代、クラスメイトからいじめを受けていたそうだ。

(いじめのしゅぼうしゃは、くらすのりーだーてきなそんざいのじょし、r。)

いじめの首謀者は、クラスのリーダー的な存在の女子、R。

(rはかわいくていえもおかねもち。きがつよく、くらすのだれもさからえない。)

Rは可愛くて家もお金持ち。気が強く、クラスの誰も逆らえない。

(sさんがいじめられるようになったのも、)

Sさんがいじめられるようになったのも、

(ささいなすれちがいからrにきらわれてしまったことがげんいんだった。)

些細なすれ違いからRに嫌われてしまった事が原因だった。

(くらすぜんいんからむしやわるくちはあたりまえ。)

クラス全員から無視や悪口は当たり前。

(くつをかくされたり、きゅうしょくにごみをいれられたり。)

靴を隠されたり、給食にゴミを入れられたり。

(いんしつで、かなりきついないようだった。)

陰湿で、かなりキツイ内容だった。

(sさんはほとんどがっこうにとおえないじょうたいにまでおいつめられてしまった。)

Sさんはほとんど学校に通えない状態にまで追い詰められてしまった。

(sさんはつらいげんじつからにげるよう、まいにち、)

Sさんは辛い現実から逃げる様、毎日、

(「あるひとつぜんいじめがおわる」というくうそうにひたった。)

「ある日突然いじめが終わる」という空想に浸った。

(いぜんのようにみんながなかよくしてくれて、へいわでたのしいひびがもどってくる。)

以前の様にみんなが仲良くしてくれて、平和で楽しい日々が戻ってくる。

(rもやさしくしてくれる。なんならいちばんのしんゆうになってくれる。)

Rも優しくしてくれる。なんなら一番の親友になってくれる。

(そうしたら、もうみんなからいじめられることはないから。)

そうしたら、もうみんなからいじめられる事はないから。

(かなしくもせつないくうそうだ。)

悲しくも切ない空想だ。

(しかし、まいにちまいにちそんなくうそうにひたっていたせいだろうか。)

しかし、毎日毎日そんな空想に浸っていたせいだろうか。

(しだいにsさんのくうそうは、ゆめにまであらわれるようになった。)

次第にSさんの空想は、夢にまで現れるようになった。

(そのゆめはとてもりあるだった。)

その夢はとてもリアルだった。

(げんじつとまったくおなじまちやがっこう。)

現実と全く同じ街や学校。

など

(おとうさんもおかあさんもがっこうのみんなも、ほんもののようになまなましいのだという。)

お父さんもお母さんも学校のみんなも、本物の様に生々しいのだという。

(しかし、rだけがげんじつとはちがう。)

しかし、Rだけが現実とは違う。

(ゆめのなかのrはやさしく、おもいやりがあって、)

夢の中のRは優しく、思いやりがあって、

(いじめなんかするようなおんなのこではない。)

いじめなんかするような女の子ではない。

(そして、sさんととてもなかがよく、いっしょにあそぶようななかなのだ。)

そして、Sさんととても仲が良く、一緒に遊ぶような仲なのだ。

(きみょうなことに、ゆめはまいにちつづいた。)

奇妙な事に、夢は毎日続いた。

(それも、あさおきたらきのうのつづきがはじまるように、)

それも、朝起きたら昨日の続きが始まるように、

(よるねるときのうのゆめのつづきがはじまるのだそうだ。)

夜寝ると昨日の夢の続きが始まるのだそうだ。

(たとえばゆめのなかで、rとしゅうまつにすいぞくかんへいくやくそくをしたとする。)

例えば夢の中で、Rと週末に水族館へ行く約束をしたとする。

(すると、しゅうまつになると、ほんとうにrとすいぞくかんにいくゆめをみるのだ。)

すると、週末になると、本当にRと水族館に行く夢を見るのだ。

(sさんはゆめのなかのrとしんこうをふかめ、rのことがだいすきになっていった。)

Sさんは夢の中のRと親交を深め、Rの事が大好きになっていった。

(それこそ、しんゆうよよべるくらいに。)

それこそ、親友よ呼べるくらいに。

(しかしいつものようにsさんがゆめのなかのせいかつをたのしんでいたあるひのことだった。)

しかしいつものようにSさんが夢の中の生活を楽しんでいたある日の事だった。

(ゆめのなかのげーむせんたーでrとあそんでいると、)

夢の中のゲームセンターでRと遊んでいると、

(ふいにだれかがsさんのせなかをたたいた。)

ふいに誰かがSさんの背中を叩いた。

(ふりかえると、みたことのないひとがいて、sさんにむかって、)

振り返ると、見た事のない人がいて、Sさんに向かって、

(「それはいけないよ。それはいけない。)

「それはいけないよ。それはいけない。

(つじつまは、ちゃんとあわせないといけないでしょ」といった。)

つじつまは、ちゃんと合わせないといけないでしょ」と言った。

(sさんがこんらんしていると、つづけてそのひとは、)

Sさんが混乱していると、続けてその人は、

(「そうでしょ?つじつまはあわせなきゃ。)

「そうでしょ?つじつまは合わせなきゃ。

(けっきょくどっちがいいの?あっち?それともこっち?」とたずねてきた。)

結局どっちがいいの?あっち?それともこっち?」と尋ねてきた。

(sさんはなにもこたえられずにいると、そのひとは「しかたないなあ」というような)

Sさんは何も答えられずにいると、その人は「仕方ないなあ」というような

(かおをして、とつぜんrをゆびさした。)

顔をして、突然Rを指差した。

(「きらいなんでしょ?」)

「嫌いなんでしょ?」

(そのしゅんかん、sさんはそのことばがすとんとむねにおちて、)

その瞬間、Sさんはその言葉がストンと胸に落ちて、

(「ああそうだな」とおもったらしい。)

「ああそうだな」と思ったらしい。

(それで、「はい」とこたえた。)

それで、「はい」と答えた。

(きがつくと、あさになっていて、sさんはべっどのうえでないていたという。)

気が付くと、朝になっていて、Sさんはベッドの上で泣いていたという。

(そのゆめをみてからふつかごに、rがこうつうじこにあったというしらせがとどいた。)

その夢を見てから二日後に、Rが交通事故に遭ったという知らせが届いた。

(rはじゅうたいで、いしきふめいのじょうたいからもどらないらしい。)

Rは重体で、意識不明の状態から戻らないらしい。

(「それでね、いまもrはいしきふめいのままなんだよね」)

「それでね、今もRは意識不明のままなんだよね」

(ちゅうがくせいになったsさんが、ひとりきりはなしおえたあと、そういった。)

中学生になったSさんが、ひとりきり話し終えた後、そう言った。

(「でも、わたしにはわかるんだよ。)

「でも、私には分かるんだよ。

(いしきがもどったとき、rはあのゆめのなかみたいにやさしくなってるはずなんだ。)

意識が戻った時、Rはあの夢の中みたいに優しくなってるはずなんだ。

(いまは”つじつまをあわせている”さいちゅうなんだよ。)

今は”つじつまを合わせている”最中なんだよ。

(だからrがめをさましたら、こんどこそほんとうに、)

だからRが目を覚ましたら、今度こそ本当に、

(わたしがrのしんゆうになってあげるんだ」)

私がRの親友になってあげるんだ」

(にこにことわらいながらはなすそのときのsさんがこわくて、)

ニコニコと笑いながら話すその時のSさんが怖くて、

(わたしはおとなになったいまでもこのはなしがわすれられない。)

私は大人になった今でもこの話が忘れられない。

(sさんとはちゅうがくをそつぎょうしていらいれんらくをとっていないが、)

Sさんとは中学を卒業して以来連絡を取っていないが、

(かのじょはいま、どうしているのだろう。)

彼女は今、どうしているのだろう。

(そして、rはどうなったのだろうか。)

そして、Rはどうなったのだろうか。

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