怖い話《秘密基地がみつからない》

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投稿者投稿者やゆ  いいね1  お気に入り登録
プレイ回数217  難易度(5.0) 2115打 長文
タグ怖い話 長文

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(しょうがくせいていがくねんのころすんでいたばしょはどいなかだった。)

小学生低学年の頃住んでいた場所はド田舎だった。

(まわりはもりでいえも２０けんほど、どうしようもないくそいなかだった。)

まわりは森で家も20軒ほど、どうしようもないクソ田舎だった。

(あそぶばしょなんてもちろんなくどうろであそぶか、きんじょのじんじゃにあつまってあそんでいた。)

遊ぶ場所なんてもちろんなく道路で遊ぶか、近所の神社に集まって遊んでいた。

(きっかけはなんだったか、あるときひみつきちをみつけたとなかまのひとりがいいだした。)

きっかけは何だったか、ある時秘密基地を見つけたと仲間の一人が言い出した。

(じんじゃからもりにはいっていったすこしさきにたてものがあるというのだ。)

神社から森に入っていった少し先に建物があるというのだ。

(こどもだったわたしたちはごらくにうえていて、)

子供だった私達は娯楽に飢えていて、

(もりのなかにたてものがあるなんてかっこうのえさにしかならず、)

森の中に建物があるなんて恰好の餌にしかならず、

(みんなおおよろこびでそのこにあんないについていった。)

皆大喜びでその子に案内についていった。

(そのたてものはこんくりーとぶろっくでできたちいさなこやのようなたてものだった。)

その建物はコンクリートブロックでできた小さな小屋のような建物だった。

(とびらはてつでできていてかたくとざされていて、)

扉は鉄でできていて堅く閉ざされていて、

(こどもだったわたしたちではびくともしなかった。)

子供だった私達ではびくともしなかった。

(そのとき、なかまのひとりがぼそっとつぶやいた。)

その時、仲間の一人がボソッとつぶやいた。

(「・・・これ、かそうばだよ。」)

「・・・これ、火葬場だよ。」

(おやがそんなことをいっていた、おおむかしはつかわれていたがいまはつかわれていない、)

親がそんな事を言っていた、大昔は使われていたが今は使われていない、

(みたいなはなしをきいたことがあるという。)

みたいな話を聞いた事があるという。

(それまでのうきうきとしたくうきがいっきにひえ、)

それまでのウキウキとした空気が一気に冷え、

(そのばしょがきゅうにおそろしいばしょにかんじとりはだがたつのをかんじた。)

その場所が急に恐ろしい場所に感じ鳥肌が立つのを感じた。

(そして、だれからというわけでもなくみんなわれさきにとそのばしょをあとにした。)

そして、誰からという訳でもなく皆我先にとその場所を後にした。

(そのあと、そのひみつきちはこどもたちのあいだでどきょうだめしのようなばしょになり、)

その後、その秘密基地は子供達の間で度胸試しのような場所になり、

(こっそりとみにいってはかえってくるというばしょになった。)

こっそりと見に行っては帰ってくるという場所になった。

など

(ただそれだけのはなし。)

ただそれだけの話。

(それからすうねんご、わたしはおやのしごとのつごうでべつのけんへとひっこすことになった。)

それから数年後、私は親の仕事の都合で別の県へと引っ越す事になった。

(そふぼはそのちにのこり、わたしとりょうしんがひっこすかたちになった。)

祖父母はその地に残り、私と両親が引っ越すかたちになった。

(それからさらにときがすぎ、わたしがこうこうさんねんなまになったなつ、そふがなくなった。)

それから更に時が過ぎ、私が高校三年生になった夏、祖父が亡くなった。

(わたしとりょうしんはそふぼのいえにきせいし、つやもそうぎももんだいなくおわったそのよくじつ、)

私と両親は祖父母の家に帰省し、通夜も葬儀も問題なく終わったその翌日、

(じかんのあいたわたしはひさしぶりにきんじょをみてまわることにした。)

時間の空いた私は久しぶりに近所を見て回る事にした。

(そこでふと、ひみつきちをおもいだした。)

そこでふと、秘密基地を思い出した。

(（もりのなかとはいえしょうがくせいでもすぐにたどりつけるばしょにあったんだ、)

（森の中とはいえ小学生でもすぐに辿り着ける場所にあったんだ、

(すぐにみつかるだろう。）)

すぐに見つかるだろう。）

(そうおもっていたのにみつからない。)

そう思っていたのに見つからない。

(すこしむきになってさがしてみるがやはりみつからない。)

少しむきになって探してみるがやはり見つからない。

(とはいえあまりながいじかんさがすほどのじかんもない。)

とはいえあまり長い時間探すほどの時間もない。

(しょうがなくあきらめていえにもどったわたしは、りょうしんにそのはなしをした。)

しょうがなく諦めて家に戻った私は、両親にその話をした。

(むかしこどもたちのあいだでひみつきちとよばれていたばしょがみつからないと。)

昔子供達の間で秘密基地と呼ばれていた場所が見つからないと。

(「そんなばしょに、そんなたてものあったかなぁ・・・」)

「そんな場所に、そんな建物あったかなぁ・・・」

(りょうしんいわく、このむらにかそうばなんてないし、)

両親曰く、この村に火葬場なんてないし、

(ましてやもりのなかのそんなばしょにたてものなんてないと。)

ましてや森の中のそんな場所に建物なんて無いと。

(わたしやともだちがこどものころあそんだあのひみつきちはいったいどこへきえてしまったのか。)

私や友達が子供の頃遊んだあの秘密基地は一体何処へ消えてしまったのか。

(たしかにあったはずなのに。)

確かにあったはずなのに。

(ひみつきちがみつからないんだ。)

秘密基地が見つからないんだ。

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