小説タイピング「願いの代償」

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「願いの代償」
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(ちいさなむらに、)

小さな村に、

(どんなねがいもかなえてくれるというふるいいどがあった。)

どんな願いも叶えてくれるという古い井戸があった。

(ただし、そのねがいには)

ただし、その願いには

(かならず「だいしょう」がともなうといううわさがあり、)

必ず「代償」が伴うという噂があり、

(ひとびとはめったにちかづこうとしなかった。)

人々は滅多に近づこうとしなかった。

(しかし、たけしはそのうわさをしんじず、)

しかし、タケシはその噂を信じず、

(あるひ、いをけっしていどへとあしをはこんだ。)

ある日、意を決して井戸へと足を運んだ。

(かれはこころのなかでねがいごとをとなえた。)

彼は心の中で願い事を唱えた。

(「おかねもちになりたい。」)

「お金持ちになりたい。」

(いどにこうかをなげいれると、)

井戸に硬貨を投げ入れると、

(しずかにすいめんがなみだち、)

静かに水面が波立ち、

(ふしぎなこえがきこえた。)

不思議な声が聞こえた。

(「ねがいごとはかなえられた。しかしだいしょうとして、)

「願い事は叶えられた。しかし代償として、

(きみのたいせつなものをうしなうだろう。」)

君の大切なものを失うだろう。」

(たけしはわらった。かれには「たいせつなもの」など)

タケシは笑った。彼には「大切なもの」など

(おもいあたらなかったからだ。)

思い当たらなかったからだ。

(こいびともいないし、かぞくもとおくにすんでいる。)

恋人もいないし、家族も遠くに住んでいる。

(なにもうしなうものはないはずだ。)

何も失うものはないはずだ。

(つぎのひ、かれのてもとには、とつぜん)

次の日、彼の手元には、突然

(ばくだいなざいさんがころがりこんだ。)

莫大な財産が転がり込んだ。

など

(たけしはおどろき、よろこび、)

タケシは驚き、喜び、

(すぐにごうていをこうにゅうし、ぜいたくなせいかつを)

すぐに豪邸を購入し、贅沢な生活を

(おくりはじめた。)

送り始めた。

(しかし、それととうじに、)

しかし、それと当時に、

(かれのしゅういできみょうなできごとがつぎつぎとおこるようになった。)

彼の周囲で奇妙な出来事が次々と起こるようになった。

(まず、したしいゆうじんたちがひとり、またひとりと)

まず、親しい友人達が一人、また一人と

(かれからきょりをおきはじめた。)

彼から距離を置き始めた。

(「さいきんのきみはかわったよ」といわれ、)

「最近の君は変わったよ」と言われ、

(れんらくがとだえた。)

連絡が途絶えた。

(つぎに、なにをしてもまんぞくかんがえられなくなった。)

次に、何をしても満足感が得られなくなった。

(ごうかなしょくじも、いこくのりょこうも、)

豪華な食事も、異国の旅行も、

(すべてがあじけなくかんじられた。)

全てが味気なく感じられた。

(すうかげつご、たけしはひとりひろいていたくで、)

数ヶ月後、タケシは一人広い邸宅で、

(かつてのなかまたちをなつかしくおもいかえしながら)

かつての仲間達を懐かしく思い返しながら

(こどくにくらしていた。)

孤独に暮らしていた。

(そんなあるよる、ふたたびいどのことをおもいだしたかれは、)

そんなある夜、再び井戸のことを思い出した彼は、

(もういちどねがいをかなえてもらおうといどへむかった。)

もう一度願いを叶えて貰おうと井戸へ向かった。

(こんどは「うしなったものをとりもどしたい」とねがった。)

今度は「失ったものを取り戻したい」と願った。

(いどはまたしてもしずかにこたえた。)

井戸はまたしても静かに答えた。

(「それもかなえられるだろう。)

「それも叶えられるだろう。

(だが、さらなるだいしょうがひつようだ。」)

だが、さらなる代償が必要だ。」

(よくあさ、たけしはふたたびなかまたちとすごせるようになっていた。)

翌朝、タケシは再び仲間達と過ごせるようになっていた。

(えがおでしょくじをし、たのしいひびが)

笑顔で食事をし、楽しい日々が

(もどってきたようにおもえた。)

戻ってきたように思えた。

(しかし、しばらくしてかれは、)

しかし、しばらくして彼は、

(あることにきづいた。)

あることに気づいた。

(かれじしんのすがたが、かがみにうつらなくなっていったのだ。)

彼自身の姿が、鏡に映らなくなっていったのだ。

(だれもかれにきづかなくなり、かいわのなかでも)

誰も彼に気づかなくなり、会話の中でも

(かれのそんざいがむしされるようになっていった。)

彼の存在が無視されるようになっていった。

(まるで、かれじしんがこのせかいから)

まるで、彼自身がこの世界から

(「きえつつある」かのようだった。)

「きえつつある」かのようだった。

(そのひ、たけしはさいごにいどへともどった。)

その日、タケシは最後に井戸へと戻った。

(もうねがうことはなかった。)

もう願うことはなかった。

(ただ、しずかにいどをのぞきこむと、)

ただ、静かに井戸をのぞき込むと、

(じぶんのかおがすいめんにうつらなくなっていることを)

自分の顔が水面に映らなくなっていることを

(かくにんした。)

確認した。

(「だいしょうはつねにそんざいする。)

「代償は常に存在する。

(それをえらんだのは、きみじしんだ。」)

それを選んだのは、君自身だ。」

(いどからひびくこえは、もうきこえなかった。)

井戸から響く声は、もう聞こえなかった。

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