怖い話《3つ目のねがいごと》2
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問題文
(かのじょはひとめでわからないくらいべつじんのようにきれいになっていて、)
彼女は一目で分からないくらい別人のように綺麗になっていて、
(みなりもすごくはでなかんじになっていた。)
身なりもすごく派手な感じになっていた。
(いっしゅん、わたしはだれかわからずたじろいだが、)
一瞬、私は誰か分からずたじろいだが、
(こえのとーんやはなしかたですぐにかのじょをおもいだした。)
声のトーンや話し方ですぐに彼女を思い出した。
(がくせいじだいはとちゅうでなんとなくきょりができてしまったものの、)
学生時代は途中でなんとなく距離ができてしまったものの、
(おとなになったいまあらためてはなしていると、)
大人になった今改めて話していると、
(なんだかすごくなつかしくうれしいきもちになってくるものだ。)
何だか凄く懐かしく嬉しい気持ちになってくるものだ。
(きおくのなかのいやなぶぶんはいつのまにかきえて、)
記憶の中の嫌な部分はいつの間にか消えて、
(たのしいきおくをいっしょにほりだすのがここちよくて、)
楽しい記憶を一緒に掘り出すのが心地よくて、
(そのまましぜんにかのじょとかふぇによってとりとめもなくはなしこんだ。)
そのまま自然に彼女とカフェに寄って取り止めもなく話し込んだ。
(さきちゃんはいまはよるのおみせでにんきものなこと。)
サキちゃんは今は夜のお店で人気者な事。
(まりこはあのあとちゅうがくをでてすぐけっこんしたけどりこんして、)
マリコはあの後中学を出てすぐ結婚したけど離婚して、
(いまはさびしくくらしていること。)
今は寂しく暮らしている事。
(わたしは、さいきんこどもができたのでしごとをやめようとおもっていること。)
私は、最近子供が出来たので仕事を辞めようと思っている事。
(おもいでばなしがつづくなか、ふいにわたしはずっとひっかかっているあのときのことを)
思い出話が続く中、不意に私はずっと引っ掛かっているあの時の事を
(さきちゃんにきいてみることにした。)
サキちゃんに聞いてみる事にした。
(たかなしくんのこと。そして「ねがいごと」のこと。)
タカナシくんの事。そして「ねがいごと」の事。
(かのじょだっておぼえているにきまっているできごとだとわたしはしんじていた。)
彼女だって覚えているに決まっている出来事だと私は信じていた。
(たかなしくんって、いたよね。)
タカナシくんって、いたよね。
(そうわたしはくちにだすやいなや、さきちゃんはおかしそうに、)
そう私は口に出すや否や、サキちゃんは可笑しそうに、
(おもしろいはなしなんだけど、といったぐあいにかえした。)
面白い話なんだけど、と言った具合に返した。
(「たかなしゆうやね。ともだちにきいたんだけど、あいつひっこしたんじゃなくて、)
「タカナシユウヤね。友達に聞いたんだけど、あいつ引っ越したんじゃなくて、
(ちちおやにむりしんじゅうされたらしいよ。いえにひつけたんだってさ。こわいよねー」)
父親に無理心中されたらしいよ。家に火つけたんだってさ。怖いよねー」
(わかっていた。)
分かっていた。
(けらけらわらうさきちゃんは「ねがいごとがかなうかみ」のことなんて)
ケラケラ笑うサキちゃんは「ねがいごとが叶う紙」の事なんて
(もちろんすっかりとわすれている。とうぜんだ。)
もちろんすっかりと忘れている。当然だ。
(いろえんぴつのことだって、たかなしくんのことだって、ぐうぜんにきまってる。)
色えんぴつの事だって、タカナシくんの事だって、偶然に決まってる。
(あんなちいさなぶんぼうぐやですうじゅうえんでうっているようなかみに、)
あんな小さな文房具屋で数十円で売っているような紙に、
(ねがいごとをかなえるちからがあるなんてかんがえるほうがどうかしているのだから。)
願い事を叶える力があるなんて考える方がどうかしているのだから。
(でも「ねがいごとがかなうかみ」はずっと、ずっと、)
でも「ねがいごとが叶う紙」はずっと、ずっと、
(わたしのこころからきえずにのこっていた。)
私の心から消えずに残っていた。
(とかそうとしてもちりぢりになったはへんがわたしのこころのどこかにのこりつづけていた。)
溶かそうとしても散り散りになった破片が私の心のどこかに残り続けていた。
(さいごにのこったさんまいめ。)
最後に残った三枚目。
(たかなしくんのねがいをかいたかみ、いえにかえってひとりでかいた3つめのねがい。)
タカナシくんの願いを書いた紙、家に帰って一人で書いた3つ目の願い。
(かなうわけない。こどもながらにばかばかしいとおもいながらかいてみずにとかしたねがい。)
叶う訳ない。子供ながらに馬鹿馬鹿しいと思いながら書いて水に溶かした願い。
(まだうまれてまもないいもうとばっかりかわいがるままに、)
まだ生まれて間もない妹ばっかり可愛がるママに、
(こどもっぽくすねていたわたしの、こころからのねがい。)
子供っぽく拗ねていた私の、心からの願い。
(「あかちゃんが、しにますように」)
「あかちゃんが、しにますように」