怖い話《現実と幻の狭間》

(あてはまるひとはいませんでした。)

当てはまる人はいませんでした。

(「まいかいたんとうしてもらってたので、ぜんかいのしじゅつのでーたとかのこっていませんか？」)

「毎回担当してもらってたので、前回の施術のデータとか残っていませんか？」

(といってしらべてもらったら、でーたはのこっていたものの)

と言って調べてもらったら、データは残っていたものの

(たんとうしゃのなまえのところだけきにゅうされていませんでした。)

担当者の名前のところだけ記入されていませんでした。

(てんちょうが「あれ？くうらんがあるなら、ていしゅつしたときにきづいたはずなんだけど」)

店長が「あれ？空欄があるなら、提出した時に気付いたはずなんだけど」

(とふしぎがっていました。)

と不思議がっていました。

(さいきんやめたひともおらず、しまいてんのめんばーのしゃしんをみせてもらって)

最近辞めた人もおらず、姉妹店のメンバーの写真を見せてもらって

(かくにんしましたがかれはいませんでした。)

確認しましたが彼はいませんでした。

(けっきょく、だれにれんらくさきをわたしたのかわからずじまいでしたが、)

結局、誰に連絡先を渡したのか分からずじまいでしたが、

(ほかのびようしにもめいわくをかけたので１０にちごにかしおりをもっていきました。)

他の美容師にも迷惑をかけたので１０日後に菓子折りを持って行きました。

(するとあきてなんとになっていました。)

すると空きテナントになっていました。

(へいてんするなんてきいておらず、しまいてんにでんわしてきいてみると)

閉店するなんて聞いておらず、姉妹店に電話して聞いてみると

(「そこにはしゅってんしていません」といわれました。)

「そこには出店していません」と言われました。

(びよういんのとなりのたてものでおーがにっくふーどてんをいとなんでいたじょせいに)

美容院の隣の建物でオーガニックフード店を営んでいた女性に

(「となりのびよういんはつぶれちゃったのですか？」ときくと)

「隣の美容院は潰れちゃったのですか？」と聞くと

(「びよういん？もうなんねんもずっとあいてるよ」といわれました。)

「美容院？もう何年もずっと空いてるよ」と言われました。

(わたしはこのばしょにいったい、なにをしにいっていたのでしょうか？)

私はこの場所に一体、何をしに行っていたのでしょうか？

(あれから２ねんたったいまでも、りっちじょうけんがよいにもかかわらず、)

あれから２年経った今でも、立地条件が良いにも関わらず、

(ずっとてなんとはひらいていてぞっとします。)

ずっとテナントは開いていてゾッとします。