怖い話《「父の友人」と名乗っていた人が実は・・》
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問題文
(わたしのりょうしんは、わたしがしょうがっこう2ねんせいのときにりこんしました。)
私の両親は、私が小学校2年生の時に離婚しました。
(ははに「おとうさんとおかあさんはべつべつにくらすことになった」)
母に「お父さんとお母さんは別々に暮らす事になった」
(ときりだされたときのことは、いまでもせんめいにおぼえています。)
と切り出された時の事は、今でも鮮明に覚えています。
(わたしは「いやだ、いやだ」とくりかえしながらなきじゃくり、)
私は「いやだ、いやだ」と繰り返しながら泣きじゃくり、
(ははもわたしをだきしめながらしずかにないていました。)
母も私を抱き締めながら静かに泣いていました。
(わたしのちちは、いまかんがえれば、ずいぶんひどいおとこです。)
私の父は、今考えれば、随分酷い男です。
(しごとをやめてちゃれんじしたきぎょうにしっぱい。)
仕事を辞めてチャレンジした起業に失敗。
(それをたてなおすこともできず、りこんとうじはははにだけはたらかせ、)
それを立て直す事も出来ず、離婚当時は母にだけ働かせ、
(じぶんはろくにはたらいていないばかりか、しゃっきんまであったそうです。)
自分はろくに働いていないばかりか、借金まであったそうです。
(ぼうげんぼうりょくこそなかったものの、ぎゃんぶるすきで、)
暴言暴力こそ無かったものの、ギャンブル好きで、
(しかもそとにおんなまでつくっていました。)
しかも外に女まで作っていました。
(りこんご、そのじょせいをへいぜんとわたしにあわせるていどにはさいていなちちおやでした。)
離婚後、その女性を平然と私に合わせる程度には最低な父親でした。
(それでも、こどもだったとうじにわたしにとっては、ただただだいすきなちちおやでした。)
それでも、子供だった当時に私にとっては、ただただ大好きな父親でした。
(りこんごもしばらくは、つきに1かいていどちちにあっていました。)
離婚後も暫くは、月に1回程度父に会っていました。
(あうばしょは、ちちがころがりこんだちちのかのじょのいえです。)
合う場所は、父が転がり込んだ父の彼女の家です。
(ちちにはおかねもしごともない、おまけにしゃっきんとりにおわれているような)
父にはお金も仕事もない、おまけに借金取りに追われているような
(ていたらくだから、すみかというより「かくれが」といってもいいいえです。)
体たらくだから、住み家というより「隠れ家」と言ってもいい家です。
(とうぜん、とうじのわたしはそのあたりのじょうきょうはなにひとつのみこめていません。)
当然、当時の私はその辺りの状況は何一つ飲み込めていません。
(ちちにあえるし、ちちといっしょにせいかつしているじょせいはやさしいし、)
父に会えるし、父と一緒に生活している女性は優しいし、
(ととくにていこうなくじょうきょうをうけいれていました。)
と特に抵抗なく状況を受け入れていました。
(ところで、ちちにはなんにんかゆうじんがいました。)
ところで、父には何人か友人がいました。
(りょうしんのりこんまえにも、なんどかちちをたずねてわがやをおとずれました。)
両親の離婚前にも、何度か父を訪ねて我が家を訪れました。
(とくによくおぼえているのが、ちゃぱつでめがねをかけたせいねんです、)
特によく覚えているのが、茶髪で眼鏡をかけた青年です、
(かれはものごしがやわらかく、ちちのゆうじんのなかでもひんぱんにわがやをおとずれていました。)
彼は物腰が柔らかく、父の友人の中でも頻繁に我が家を訪れていました。
(そのかれが、りょうしんのりこんごにもわがやをおとずれたことがあります。)
その彼が、両親の離婚後にも我が家を訪れた事があります。
(ちちのゆうじんはいいました。)
父の友人は言いました。
(「ねぇ、おとうさんがいますんでいるばしょしってる?」)
「ねぇ、お父さんが今住んでいる場所知ってる?」
(わたしは「しってる」とこたえました。)
私は「知ってる」と答えました。
(するとちちのゆうじんはうれしそうにたずねました。)
すると父の友人は嬉しそうに尋ねました。
(「ほんとう?じゃあ・・・あんないできる?」)
「本当?じゃあ・・・案内できる?」
(わたしはもう、ちちのくるまにのせられて、なんどもそのいえにいっていたので、)
私はもう、父の車に乗せられて、何度もその家に行っていたので、
(みちあんないにはじしんがありました。)
道案内には自信がありました。
(わたしは、うん、とこたえました。)
私は、うん、と答えました。
(それからわたしは、ちちのゆうじんのくるまのじょしゅせきにのって、みちをあんないしました。)
それから私は、父の友人の車の助手席に乗って、道を案内しました。
(ちちのいえへのみちはやっぱりよくおぼえていて、わたしたちはとどこおりなくちちのいえ・・・)
父の家への道はやっぱりよく覚えていて、私達は滞りなく父の家・・・
(とあるあぱーとのひとへやです・・・のまえまできました。)
とあるアパートの一部屋です・・・の前まで来ました。
(「どのいえ?」「あれ」)
「どの家?」「あれ」
(「へぇ。どのへや?」「あそこ。みぎにすみっこ」)
「へぇ。どの部屋?」「あそこ。右にすみっこ」
(わたしたちはそんなやりとりをしました。)
私達はそんなやりとりをしました。
(わたしはてっきり、ちちのゆうじんはくるまをおりて、ちちのいえへとむかうとおもいました。)
私はてっきり、父の友人は車を降りて、父の家へと向かうと思いました。
(ちちにあいにきたにちがいないとおもったからです。)
父に会いに来たに違いないと思ったからです。
(しかし、ちちのゆうじんは「わかったありがとう。じゃあ、かえろうか」といって、)
しかし、父の友人は「分かったありがとう。じゃあ、帰ろうか」と言って、
(くるまをふたたびはっしんさせてしまいました。)
車を再び発進させてしまいました。
(わたしは、あれ、ちちにあいにいかないんだ、とおもいながらも、)
私は、あれ、父に会いに行かないんだ、と思いながらも、
(おとながすることですから、そんなこともあるんだなぁとおもいながら)
大人がする事ですから、そんな事もあるんだなぁと思いながら
(おとなしくじょしゅせきにゆられ、そのままきたくしました。)
大人しく助手席に揺られ、そのまま帰宅しました。
(それからしばらくして、ちちとれんらくがとれなくなりました。)
それから暫くして、父と連絡が取れなくなりました。
(なんどかけても、ちちがでんわにでなくなったのです。)
何度掛けても、父が電話に出なくなったのです。
(いいえ、でんわじたいつながらなくなっていたかもしれません。)
いいえ、電話自体繋がらなくなっていたかもしれません。
(そのあたりのきおくはあいまいですが、ちちのもとへとつながらないでんわを)
その辺りの記憶は曖昧ですが、父の元へと繋がらない電話を
(なんどもなんどもかけながら、「やくそくしたのに、やくそくしたのに」)
何度も何度も掛けながら、「約束したのに、約束したのに」
(となきじゃくったことだけはせんれつにおぼえています。)
と泣きじゃくった事だけは鮮烈に覚えています。
(なにのやくそくかはおぼえていません。)
何の約束かは覚えていません。
(たぶん、なんにちおきにでんわをするというようなやくそくをしていたのでしょう。)
多分、何日おきに電話をするというような約束をしていたのでしょう。
(けっきょく、ちちとはそれっきり、にどとあえませんでした。)
結局、父とはそれっきり、二度と会えませんでした。
(せいちょうするにつれ、りこんがでりけーとなもんだいだとにんしきするようになったわたしは、)
成長するにつれ、離婚がデリケートな問題だと認識するようになった私は、
(いえでちちについてのわだいをだすことをさけるようになりました。)
家で父についての話題を出す事を避けるようになりました。
(ちちのことはははにとってはいやなおもいででしょうから、)
父の事は母にとっては嫌な思い出でしょうから、
(とうぜん、ははからくちにだすこともありません。)
当然、母から口に出す事もありません。
(おたがいにていこうなくちちのことをくちにできるようになったのは、)
お互いに抵抗なく父の事を口にできるようになったのは、
(ほんとうについさいきんのことです。)
本当につい最近の事です。
(あるひ、ははとわたしでかいものがてら、ちちにかんするおもいでばなしをちらほらとはなしていたとき)
ある日、母と私で買い物がてら、父に関する思い出話をちらほらと話していた時
(ふとちちのゆうじんとのどらいぶをおもいだして、そのことをははにはなしました。)
ふと父の友人とのドライブを思い出して、その事を母に話しました。
(するとはははぜっくし、「おとうさんのともだちって、あのめがねかけたひと?」)
すると母は絶句し、「お父さんの友達って、あの眼鏡かけた人?」
(とかたいこえでたずねてきました。)
と硬い声で訊ねてきました。
(わたしは「え?うん、そうそう。あのひとうちによくきてたよね」というと、)
私は「え?うん、そうそう。あの人うちによく来てたよね」と言うと、
(はははしょうげきてきなひとことをはなったのです。)
母は衝撃的な一言を放ったのです。
(「あのひと、しゃっきんとりだよ」)
「あの人、借金取りだよ」
(そのひとことに、わたしはとびじょうがあんばかりにおどろきました。)
その一言に、私は飛び上が案ばかりに驚きました。
(しかし、もっとおどろいていたのはははのほうです。)
しかし、もっと驚いていたのは母の方です。
(「くるまにのせられたって、いつ?」「うわ~しんじられない」)
「車に乗せられたって、いつ?」「うわ~信じられない」
(「そんなことがあったの、しらなかった」としきりにきょうきょうとしたこえをあげ、)
「そんな事があったの、知らなかった」としきりに恐々とした声をあげ、
(「そんなひとについていっちゃだめだよ」と、)
「そんな人についていっちゃだめだよ」と、
(もうすっかりおとなになったわたしにいいます。)
もうすっかり大人になった私に言います。
(そんなひともなにも、わたしはほんとうに、)
そんな人も何も、私は本当に、
(あのひとがちちのぜんりょうなゆうじんだとしんじてうたがわなかったのですから。)
あの人が父の善良な友人だと信じて疑わなかったのですから。
(しかし・・・ひとあたりがよいからこそ、)
しかし・・・人当たりが良いからこそ、
(しゃっきんとりのまどぐちとしてあのひとはさいてきだったのでしょう。)
借金取りの窓口としてあの人は最適だったのでしょう。
(ちちのゆうじんとのどらいぶのおもいではいっきにかこのきょうふたいけんへとさまがわりしました。)
父の友人とのドライブの思い出は一気に過去の恐怖体験へと様変わりしました。
(ほんとうに、なにごともなくかえってこれてよかった。)
本当に、何事もなく帰って来れて良かった。
(しかし、あのあとちちはどうなったのでしょう。)
しかし、あの後父はどうなったのでしょう。
(ふぃくしょんじゃないんだから、さすがにころされるようなことはないとおもいますが、)
フィクションじゃないんだから、流石に殺されるような事は無いと思いますが、
(しかしそれも、いまとなってはどうでもいいことです。)
しかしそれも、今となってはどうでもいい事です。